日本スターバックス物語
はじめて明かされる個性派集団の挑戦

未 読
日本スターバックス物語
ジャンル
著者
梅本龍夫
出版社
早川書房
定価
1,728円
出版日
2015年05月22日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
3.5
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日本スターバックス物語
日本スターバックス物語
はじめて明かされる個性派集団の挑戦
著者
梅本龍夫
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出版社
早川書房
定価
1,728円
出版日
2015年05月22日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
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レビュー

世界65か国に2万1000店舗以上を展開し、今や世界一のコーヒーチェーンとなったスターバックス。その隆盛は、日本進出の成功なくしては語れない。そしてスターバックスの日本進出を支えたのは、生活雑貨とティールームの複合ショップ「アフタヌーンティー」で洗練されたライフスタイルを打ち出し、フランスのアパレルブランド「アニエスベー」との合弁事業を成功させていたサザビー(現サザビーリーグ)だ。

日本でほとんど知られていなかったスターバックスが、なぜあれだけの成功を収めることができたのか。その疑問は、本書を読み終えるころにはすっかり氷解しているだろう。「ほんもののコーヒー」へのこだわり、「サードプレイス」「スターバックス体験」という明確なコンセプト、優れたセンスと強いカリスマ性をもったリーダーたちの共鳴……むしろうまくいかないはずがない、と思えてしまうくらいだ。

しかし本書がこれまでの「スターバックス本」と異なる点は、「フォロワー」の目線で書かれていることだろう。もともとコンサルタントとしてサザビーに関わっていた著者は、当時サザビーの社長だった鈴木隆三の最初のフォロワーを自認し、日本スターバックス立ち上げプロジェクトの総責任者となった。そんな著者の行動や判断は、常にリーダーを信頼し支えようという信念に満ちており、その決意と手腕に何度も唸らされた。特に合弁会社設立時の対立を解消する場面は必読である。リーダーシップだけでなく、「良きフォロワーシップとは何か」を学ぶことができる貴重な1冊だ。

北山 葵

著者

梅本 龍夫(うめもと・たつお)
1956年東京生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。電電公社(現NTT)に入社し、社内留学制度を利用してスタンフォード大学ビジネススクール修了(MBA)。ベイン&カンパニー、シュローダーPTVパートナーズを経て、サザビー(現サザビーリーグ)の取締役経営企画室長に就任。同社の合弁事業、スターバックス コーヒー ジャパンの立ち上げプロジェクトの総責任者を務める。2005年に退任し、同年アイグラム、2011年にリーグ・ミリオンを創業。サザビーリーグ退職後もコンサルタントとして10年間、同社が展開するブランドの企画などに携わってきた。現在、立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科特任教授。

本書の要点

  • 要点
    1
    リーダーをリーダーたらしめるのは、「最初のフォロワー」の存在である。フォロワーであるサザビーがリーダーであるスターバックスにほれ込み、心をつなげたからこそ、成功がもたらされた。
  • 要点
    2
    フォロワーとは「徹底してリーダーにたてつく絶対的な味方」である。両者は対等だが、もしも対立したときには先に「ギブ」できるのが良きフォロワーであり、その覚悟と勇気が「ウィン・ウィン」の関係を創造する。
  • 要点
    3
    リーダーとフォロワーの本気がシンクロしたとき、事業の歯車は噛み合い、とてつもなく大きな夢も達成できるようになる。

要約

【必読ポイント!】 リーダーとフォロワーの出会い

「いいにおい」に惹かれて
©iStock/Robert Herhold

スターバックスとサザビーの出会いは、当時サザビーの社長だった鈴木隆三の兄、角田雄二が、米国のスターバックスを訪れたことから始まる。コーヒーのにおいだけでない、どこかなつかしい「いいにおい」を感じた雄二は、やがてその理由に思い至った。スターバックスの店舗デザインや、スタッフの醸し出す雰囲気が、サザビーで手掛けていたアフタヌーンティーのものに似ていたのだ。コーヒーと紅茶という違いはあれど、スターバックスもアフタヌーンティーも、「洗練されたライフスタイル」を提供するショップという点で一致していた。

すっかりスターバックスに魅了された雄二は、日本で展開できたらおもしろいのではないかと思い立つ。すぐに隆三に許可を取り、当時スターバックスのCEOだったハワード・シュルツに手紙を書いた。「いっしょに日本での事業展開を考えませんか」。すると、シュルツ本人から電話で、シアトルへの「招待状」が届いた。シュルツもまた、日本での展開を考えて、パートナーを探していたのだ。実際に会った3人は、すっかり意気投合する。話はとんとん拍子に進み、当時サザビーの経営計画室長であった著者がプロジェクトの総責任者として指名された。

その後、パートナーとしてのサザビーを不安視したハワード・ビーハー(スターバックス・コーヒー・インターナショナル社長)が日本を視察に訪れたが、アフタヌーンティーの店舗に招待することで、その不安は払拭できた。「店舗に足を踏み入れた瞬間に状況を把握する」という伝説をもつビーハーは、アフタヌーンティーのセンスの良さ、ライフスタイルへの理解の高さを即座に見抜いたのだ。こうして、共通の魂を持つ「主人公」たちが集まり、日本でのスターバックス立ち上げプロジェクトはスタートした。

コーヒービジネスではなく、ピープルビジネス

立ち上げの後には、苦しいプロセスが待っていた。深い香りと味わいをもたらすダークローストのコーヒーと、魅力的な店舗によって、家でも職場でもないもう一つの居場所「サードプレイス」を提供することがスターバックスの理念だった。しかし当時日本のサラリーマンにとって、コーヒーの値段は1杯200円が限度であった。ドトールなどの従来のチェーンはあくまでコーヒーを飲むためだけの場所で、回転率も高い。それと比べると、スターバックスの店舗は効率が悪く、その値段ではペイしないことがわかっていた。

現在の日本では、米国スターバックスのような店舗で収益を上げることは難しい。そう報告すると、ビーハーは顔を真っ赤にして怒った。

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