リーダーシップの哲学

12人の経営者に学ぶリーダーの育ち方
未読
日本語
リーダーシップの哲学
リーダーシップの哲学
12人の経営者に学ぶリーダーの育ち方
未読
日本語
リーダーシップの哲学
出版社
東洋経済新報社
定価
1,980円(税込)
出版日
2015年06月11日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
4.5
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おすすめポイント

過去を振り返るとき、人は未来を考えることになると著者は言う。過去にある数多のエピソードからどれを思い出すかは、現在の自分に拠っており、それはそのまま未来の自分へとつながるからだ。そして過去の経験を振り返ることによって自己の哲学や信念は再認識され、それを他者に語ることで、実践知は形式知化される。

だから本書では、リーダー自身が自らの経験を「語る」ことに重きが置かれている。登場する12人は、いずれも日本を代表する名経営者と呼ばれる人々だ。魅力あるリーダーたちは、はたしてどのようにキャリアを積み、自らのスタイルを築いていったのか。語られる内容は様々だが、どのエピソードをとっても平坦なものはなく、それでいて悲劇には終わっていない。インタビューを中心に構成されているため非常に読みやすいが、注釈が丁寧になされ、学術書からの引用も多い、骨太な一冊だ。

本書を読めば、12人の経営者たちがさまざまな局面で何を考え、どのように振る舞ったかのリーダーシップ・ジャーニーを追体験することができるだろう。しかし、リーダーシップはだれかの模倣ではいけない、とも著者は述べている。自分らしさを貫くことでしか人を率いることはできないからだ。本書を読了した後は、ぜひ「あなたの」「あなたらしい」リーダーシップを模索する旅に漕ぎ出してほしい。

著者

一條 和生(いちじょう・かずお)
一橋大学大学院国際企業戦略研究科研究科長・教授。
1958年東京都生まれ。82年一橋大学社会学部卒業、87年一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了、95年ミシガン大学経営大学院にてPh.D.(経営学)取得。一橋大学大学院社会学研究科教授などを経て現職。
知識創造理論に基づいて、リーダーシップ、企業変革に関する教育・研究活動を進める一方で、日本ならびに海外の一流企業のリーダーシップ育成プロジェクト、コンサルティングに深くかかわる。グローバルに行っているエグゼクティブ教育が評価され、同分野では世界トップのビジネススクールと評価されているIMD(国際経営開発研究所、スイス・ローザンヌ)の教授に日本人として初めて就任し、現在も特任教授としてエグゼクティブ教育に従事している。
主な著書に『バリュー経営』、『MBB:「思い」のマネジメント』、『シャドーワーク』(ともに東洋経済新報社)、Enabling Knowledge Creation(Oxford University Press)、『企業変革のプロフェッショナル』(ダイヤモンド社)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    リーダーシップはだれにでも備わっているが、自らの経験を通して「リーダーシップの哲学」を学ばなければ、リーダーとしての旅は始まらない。
  • 要点
    2
    リーダーシップを発揮するには、自分にあった最適なスタイルを確立することが大切。自身の哲学に基づいて行動するからこそ行動に首尾一貫性が生まれ、人々をリードすることができる。
  • 要点
    3
    リーダーシップ・ストーリーを悲劇で終わらせないためには、辛いときにも未来に希望を持ち、苦境を乗り越えるレジリエンスの力が必要である。

要約

人の可能性を最大化させる ――花王 代表取締役社長執行役員 澤田道隆

全員面談で個人の力を引き出す
©iStock/dolgachov

大阪大学を卒業後花王に入社した澤田は、化学品研究、素材開発研究を経て、主力品である家庭品の商品開発部隊を率いる立場となった。しかし当時、主力商品の紙おむつ「メリーズ」は販売不振が続いており、事業を継続するか否かの岐路に立たされており、担当のサニタリー研究所でも、不協和音が生じていた。

改革のために、澤田はみんなのやる気を引き出すことに心を砕いた。その1つが全員面談である。研究所で働く130人全員との面談は半年がかりの取り組みとなったが、時間をかけた分大きな成果が得られた。各人の持つポテンシャルに光を当てることができたのだ。

たとえば澤田は、修士・博士卒の社員と比べて、自分は優れていないと思い込む高卒・短大卒の研究者に対して、「あなたもすごくレベルの高い仕事をしている」と本心から称えた。製品プロトタイプ作りが得意な社員には、手作り試作の技術をほかの人に伝えてもらうリーダーの役割を与え、その作業の重要性を示した。自分では気づかない優れたところを認め、伝えることは非常に大切なことだ。全員とのこうした面談を終えた時点で、研究所全体のモチベーションが上がり、雰囲気が変わったように感じられた。

こうして生まれ変わった組織に対し、「日本でナンバーワンのおむつをめざそう」という目標を掲げ、「メリーズ」の大改革を進めた。製品だけでなく全プロセスを一から見直し、「肌への優しさ」の追求という花王の原点に立ち返った新たな「メリーズ」を開発、市場に再投入したところ、商品は実際に育児雑誌でナンバーワンに輝く。それをきっかけに人気が急上昇し、「メリーズ」は今では花王を支える一大商品に成長した。

1人1人の力を最大化させるリーダーをめざして

マネジメントとして何よりも大切なのが、メンバーそれぞれに活躍のための大きな舞台を用意することだ。人が人を育てるのではなく、人は育つと考えることが重要である。自分の可能性は結局、自分で切り開いて行かなくてはならない。リーダーはそのための場を与え、たとえ思うように伸びなかった場合でも、そこまでだと見切ってはいけない。違う場を与えたり、ひと声かけたりすれば、

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