本書の要点

  • イーロン・マスクは「火星に人類を送り込み、人類を救う」というミッションを掲げ、スペースX、テスラモーターズ、ソーラーシティを軌道に乗せて、新たな挑戦を続けている。

  • スペースXは、3度の打ち上げ失敗に屈せず、人工衛星や国際宇宙ステーションへの補給物資を安定して宇宙に運べるようになるまで成長を遂げた。

  • テスラモーターズは、100%電気燃料の自動車を開発し、先進性や効率性を追求した「モデルS」によって、自動車業界に激震を与えた。

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イーロン・マスクの世界観

救世主か大ぼら吹きか

シリコンバレーのハリウッド化が進んでいるという。斬新なアイデアを実現させてきたIT業界は、いつしか消費者を楽しませ、単純なアプリや広告を垂れ流す方向に変わってしまった。そんな中、シリコンバレー本来の精神を受け継ぎ、巨大マシンの改良に注力し、真のブレイクスルーを目指す男がいる。イーロン・マスクである。

大学卒業後に初めて起業したZip2で大金を手にしたマスクは、ほぼ全額をX.com(後のペイパル)につぎこみ、イーベイの買収によって巨額の富を手にした。マスクはこれをスペースX、テスラモーターズ、太陽光発電のソーラーシティの事業に投じるという一か八かの賭けに出た。

マスクが掲げるのは「火星に人類を送り込み、人類を救う」というミッションだ。型破りなアイデアから製品をつくり出す発明家であり、カリスマ経営者であり、実業家でもあるマスク。彼には、社会的への使命感に満ちた確たる世界観があるのだ。

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成功への第一歩を踏み出す

南アフリカで過ごした少年時代と、シリコンバレーへの憧れ

©iStock.com/zimmytws

マスクは1971年、南アフリカの首都プレトリアに生まれた。彼は子どもの頃からSF的な世界への憧れを持ち、10歳からコンピュータに没頭して、12歳ですでにビデオゲームを開発していた。とにかく好奇心旺盛で、1日10時間も本にかじりつくくらいの読書好きな子どもだった。爆弾やロケットをつくろうとしたこともあれば、弟のキンバルとともにプレトリアとヨハネスブルグを往復する、危険と隣り合わせの旅に出るなど、冒険好きな一面もあった。ところがマスクは、中学でも高校でもクラスでは浮いた存在で、深刻ないじめにより何度か転校を経験していたという。

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要約公開日 2015.11.19
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