超一流の雑談力
超一流の雑談力
著者
超一流の雑談力
出版社
出版日
2015年05月20日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

「雑談する」とき、多くの人は、その場で思いついた話題を気軽に話していることが多いだろう。しかし、本書を読んでわかるのは、雑談次第で人間関係はもちろん、ビジネスがうまくいったり、失敗してしまったりするということである。今までしていた雑談を思い起こすと誰でも、「しゃべり過ぎてしまった」「うまく話せなかった」「会話が弾まなくて困った」など、多少の反省点があるのではないだろうか。私たちが思っている以上に「雑談する」ということは、有益であると同時に注意してのぞむべきことなのだ。

本書には、雑談がいかにして自分の印象を決め、相手との距離を縮めていくものなのか、さらに、雑談を有効に活用していくにはどうしたらいいのかが詳しく書かれている。特に役立ちそうなのは、ビジネスシーンにおける人間関係の構築や、営業で「ここぞ」というときに雑談からセールストークへつなげるスキルである。ビジネスでの取引や売買の成立は、当然、扱うサービスや製品の魅力やクオリティを伝えることがベースにあることが前提ではあるが、セールスパーソンの雑談力も大きく影響することが本書を読むとよくわかる。熟読して大いに「雑談力」を磨いてみてほしい。配慮すべきことを知り、的確な方法でトレーニングすることが、「一流の雑談力」の会得につながるのである。

著者

安田 正
株式会社パンネーションズ・コンサルティング・グループ代表取締役。早稲田大学理工学術院非常勤講師。1990年より法人向け英語研修を始め、現在は英語の他、ロジカル・コミュニケーション、プレゼンテーション、対人対応コーチング、交渉などのビジネスコミュニケーションの領域で講師、コンサルタントとして活躍している。大手企業を中心に1700社に研修を行い、一般社員の他に役職者1000人以上の指導実績を持つ。また、東京大学、早稲田大学、京都大学、一橋大学などでも教鞭をとる。
本書のテーマ「雑談」は、ビジネスや人間関係の最初の入り口であり、信頼関係を築く重要な武器になるが、その効果は広く認知されていない。その状況を憂い、実用性、再現性のあるスキルとして確立させたのが「超一流の雑談力」である。
著書に『英語は「インド式」で学べ!』(ダイヤモンド社)『一流役員が実践している仕事の哲学』(クロスメディア・パブリッシング)『一流役員が実践してきた入社1年目からできる人になる43の考え方』(ワニブックス)『1億稼ぐ話し方』(フォレスト出版)
『ロジカル・コミュニケーション®』『ロジカル・ライティング』『会話の上手さで人生は決まる』(以上日本実業出版社)など多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    最初は、あたりさわりのない話題の中から相手の興味を探り、見つかったらその話題を深くしていく。
  • 要点
    2
    「自分2:相手8」の割合を目安に話し、相手の話すことをうなずきながらよく聞く。
  • 要点
    3
    二度目に相手に会うときには、前回の会話を踏まえることで、関係を保ちたいという意思を伝え、より距離を縮めることができる。
  • 要点
    4
    タイプによってアプローチの方法が変わってくるため、相手がどんな人か見極めて話し方を考える。
  • 要点
    5
    最終的に、雑談から着想を得たと見えるように、自然な流れで本題につなげていく。

要約

雑談を始めるコツ

人の評価は会話開始1分で決まる

初対面の人に対する評価は、会って1分から4分で決まると言われている。良い印象を与えるためには自分を知ってもらい、距離を縮めるための適度な「自己開示」が必要だが、一方的にしゃべりすぎないよう注意する。

自己開示では、「自慢話はしない」「軽い失敗談を話す」が基本となる。失敗談でも、人間的に疑問を持たれたり、相手が引いてしまったりするようなものは避ける。あくまで、相手が自分にほどよい気安さをもてるように、会話のきっかけになる情報を与えられるように、ということが目的だ。1つのエピソードは30秒から1分以内に短くまとめて、相手に話してもらう時間をつくっていく。

オノマトペを活用する
©iStock/BrianAJackson

フランス語で擬声語をあらわす「オノマトペ」を使うことは、あたりまえの話をおもしろく、わかりやすく伝えるテクニックの1つである。たとえば、「雨がザーッと降る」というときの「ザーッ」がオノマトペであり、これを活用することで、言葉の勢いやニュアンスが出て、身振り手振りを加えると話に臨場感を与えられる。

また、「一文を短くする」「リズミカルに話す」ことも心がけるとよい。そうすることで、話がわかりやすく、相手の頭に入っていきやすくなる。

こうした話し方は、練習しながら改善していく必要がある。同じ話を3回も練習すれば、それは自分のものになり、慣れて話しやすくなるだろう。

「最初の話題」はあたりさわりのないものに

会話には、タテの軸(会話の深さ)とヨコの軸(何を話題にするか)がある。タテ軸が深まると相手との距離を縮めやすい。ヨコ軸展開でさまざまな話題をふりながら、どんな話題で会話が深まるかを探り、相手が話にのってきたら、タテ展開でその話題を深めていく。

最初のきっかけになるような話題は、「気候/相手の会社情報/衣服/ファッション/健康/最近のニュース/共通のこと/出身地/血液型/仕事」のような、誰にでもあてはまるようなあたりさわりのない話題から選ぶとよい。政治や宗教の話題は、雑談ではなく議論に発展してしまう可能性もあるので、雑談の話題としてはふさわしくない。

人が食いつく「おもしろい話」とは

あたりさわりのない内容から会話のタテ軸を深めていくには、相手が興味を持つようなおもしろい話をすることが重要だ。

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要約公開日 2015.12.04
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