Think clearly

最新の学術研究から導いた、よりよい人生を送るための思考法
未読
Think clearly
Think clearly
最新の学術研究から導いた、よりよい人生を送るための思考法
未読
Think clearly
出版社
サンマーク出版

出版社ページへ

出版日
2019年04月02日
評点
総合
4.0
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
4.5
要約全文を読むには会員登録ログインが必要です
ログイン
本の購入はこちら
書籍情報を見る
本の購入はこちら
おすすめポイント

よい人生とはいったい何だろうか。作家でもあり実業家でもある著者は、その問いに「わからない」と答える。よい人生について考える本を書いているにもかかわらずだ。拍子抜けする方もいるかもしれないが、この答えはなんとも誠実ではないだろうか。

私たちは「よい人生」という言葉にたった一つの定義を求めがちで、それを達成するための原則や原理、法則があるような気がしてしまう。しかし実は、よい人生の究極の定義など存在しないのだ。著者はまずそのことを認めたうえで、本書で私たちが生きている世界を理解するための「思考法」を紹介している。著者の言葉を借りれば、本書は「思考の道具箱」だ。

著者は、自身が毎日実践しているという52の思考法を、自信を持って勧めている。思考法の出典は大きく分けてここ40年の心理学研究の成果、ストア派の思想、そして投資関連書籍だ。そして、これらの思考法で「『人生が絶対にうまくいく』と約束はできないにしても、間違いなくあなたの人生がうまくいく可能性を高めてくれるはずだ」と、これまた誠実な呼びかけをしている。

時代はますます速く変化していく。そんな時代だからこそ、私たちは目の前にあるたった1つの答えに飛びつきがちだ。しかし、たった1つの要素だけでは、私たちの住む世界は理解できないのかもしれない。本書の思考法は、「自分にとってよりよい人生を生きること」を考える手助けをしてくれることだろう。

ライター画像
池田明季哉

著者

ロルフ・ドベリ
作家、実業家。1966年、スイス生まれ。スイスのザンクトガレン大学卒業。スイス航空会社の子会社数社にて最高財務責任者、最高経営責任者を歴任後、ビジネス書籍の要約を提供する世界最大規模のオンライン・ライブラリー「getAbstract」を設立。35歳から執筆活動をはじめ、ドイツ、スイスなどのさまざまな新聞、雑誌にてコラムを連載。著書『なぜ、間違えたのか?――誰もがハマる52の思考の落とし穴』(サンマーク出版)はドイツ『シュピーゲル』ベストセラーランキングで1位にランクインし、大きな話題となった。本書はドイツで25万部突破のベストセラーで、世界29か国で翻訳されている。著者累計売上部数は250万部を超える。小説家、パイロットでもある。スイス、ベルン在住。

本書の要点

  • 要点
    1
    誰しも他人からよく思われたいと思うものだが、他人からの評価が自分の人生に与える影響は意外と少ない。他人の評価から逃れて、自分の納得のいく生き方を目指そう。
  • 要点
    2
    人は、「フォーカシング・イリュージョン」にはまりがちだ。特定の要素を過大評価しないよう、その要素から十分な距離を置いてみよう。
  • 要点
    3
    体験と思い出、どちらも大事だ。思い出づくりにばかり気を取られて、現在に目を向けることを忘れてしまえば、人生を本当に充実したものにすることはできない。

要約

簡単に頼みごとに応じるのはやめよう

人の頼みを断れないのはなぜ?

誰かから「ちょっとした頼みごと」をされたとき、深く考えずに引き受けてしまうことはないだろうか。少し立ち止まって、どのくらいの頻度で断っているか、後になって引き受けたことを腹立たしく思うか、断ったことを後悔するかを考えてみよう。

著者がこれを考えてみたとき、講演や寄稿、短いインタビューなどの依頼を引き受けすぎていると気付いたそうだ。頼みごとのほとんどは事前の予想よりも時間がかかったが、引き受けたことによって生じる恩恵や利益は、関係者にもたらされるものも、著者にもたらされるものも少なかった。

互恵的利他主義の落とし穴
Hakase_/gettyimages

人の頼みを断れない、この「好かれたい病」はどこからきているのだろうか。これは、動物の世界でも起こる「互恵的利他主義」と呼ばれる行動で説明することができる。チンパンジーは自分が獲物をとらえた際に、血縁関係がない仲間とでもそれを分け合う。別の機会に獲物を分けてもらえることを期待し、自分が獲物を取れなかったときの保険をかけているのだ。これは、以前どの仲間が分けてくれたかを記憶しておける動物ならではの行動パターンだ。

この行動パターンは人類にも受け継がれている。このおかげで私たちは、血の繋がりのない大勢の人と協力しあい、生活を豊かにするために経済活動ができているといえよう。

しかし、ここには落とし穴もある。それは、誰かから「好意」を受けるとお返しを義務のように感じて頼みを断れなくなってしまうこと、そして「お返し」を期待して相手の利益になるように進んで頼みを引き受けてしまうことだ。しかも、頼みごとの実現に必要な時間のことを考慮して引き受けていることは存外少ない。

どんな依頼も「5秒」で決断しよう

「互恵的利他主義」に対抗するために、ウォーレン・バフェットのビジネスパートナーであるチャーリー・マンガーの「5秒決断ルール」を真似てみてはいかがだろうか。頼みごとをされたとき、その要求を受けるかどうかを5秒で検討するのだ。

5秒で決めると、ほとんどの場合、「ノー」という答えが導き出されるはずだ。「ノー」と言うことで、チャンスを逃しているような気持ちになるかもしれない。だがたいていの場合、断ったところでチャンスを逃したことにはならないはずだし、頼みごとを断られたからといって、すぐにあなたを「人でなし」などと決めつける人はめったにいないだろう。

必要なテクノロジー以外は持たない

あなたの車の「平均速度」から見えてくるもの
Motortion/gettyimages

私たちは、テクノロジーによって自分たちの生活がより効率化されていると信じている。たとえば自動車は、私たちの移動効率を上げてくれた。

だが、私たちの自動車の現実的な平均速度はどのくらいだろうか。

もっと見る
この続きを見るには...
残り2676/3815文字
会員登録(7日間無料)

3,400冊以上の要約が楽しめる

要約公開日 2019.08.12
Copyright © 2024 Flier Inc. All rights reserved.
一緒に読まれている要約
学び効率が最大化する インプット大全
学び効率が最大化する インプット大全
樺沢紫苑
未読
自分の価値を最大にする ハーバードの心理学講義
自分の価値を最大にする ハーバードの心理学講義
児島修(訳)ブライアン・R・リトル
未読
0秒で動け
0秒で動け
伊藤羊一
未読
突破力
突破力
メンタリストDaiGo
未読
Think CIVILITY
Think CIVILITY
夏目大(訳)クリスティーン・ポラス
未読
「おもろい」働き方で社員も会社も急上昇する Peachのやりくり
「おもろい」働き方で社員も会社も急上昇する Peachのやりくり
井上慎一
未読
ニュータイプの時代
ニュータイプの時代
山口周
未読
ランキングのカラクリ
ランキングのカラクリ
谷岡一郎
未読
法人導入をお考えのお客様