生き方
人間として一番大切なこと

未 読
生き方
ジャンル
著者
稲盛和夫
出版社
サンマーク出版 出版社ページへ
定価
1,870円(税込)
出版日
2004年08月10日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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人間として一番大切なこと
著者
稲盛和夫
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定価
1,870円(税込)
出版日
2004年08月10日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
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おすすめポイント

閉塞的な状況が社会を覆いつくしているのはなぜだろうか。

この問いに対して、電子機器などを手掛ける京セラの創業者であり、日本航空(JAL)再生にも貢献した著者の稲盛和夫氏は、多くの人が生きる意味や価値を見いだせず、人生の指針を見失っているからと考えている。仏門に入っている著者は、魂を磨いていくことがこの世を生きる意味と考え、本書にはそのためのメッセージが詰まっている。

著者は企業経営を学ぶ「盛和塾」の塾長を務めているが、本書は経営者としてのノウハウを記した書ではなく、どんな人にでも共通する道徳的観念について著者の意見を述べた本であると言えよう。もちろん、著者の精神的な高潔さは京セラ創業当初からあったというし、そのエピソードも数多く紹介されており、成功するための心の在り方という意味でビジネスにも活かせる内容となっている。

著者は「生き方」を時代の急流に打ち込む一本の杭にしたいと考えている。この本を通じて、読者は生きる喜びを見いだし、幸福に満ちた充実した人生を送るためのヒントを得ることができるのではないか。

ライター画像
苅田明史

著者

稲盛和夫
1932年、鹿児島生まれ。鹿児島大学工学部卒業。59年、京都セラミツク株式会社(現・京セラ)を設立。社長、会長を経て、97年より名誉会長。また、84年に第二電電(現KDDI)を設立、会長に就任。2001年より最高顧問。10年に日本航空会長に就任し、代表取締役会長、名誉会長を経て、15年より名誉顧問。
84年には稲盛財団を設立し、「京都賞」を創設。毎年、人類社会の進歩発展に功績のあった人々を顕彰している。他に、若手経営者が集まる経営塾「盛和塾」の塾長として、経営者の育成にも心血を注ぐ。
主な著書に『稲盛和夫の哲学』『心を高める、経営を伸ばす』『成功への情熱』『敬天愛人』(いずれもPHP研究所)、『ガキの自叙伝』『稲盛和夫の実学』(ともに日本経済新聞社)、『君の思いは必ず実現する』(財界研究所)など。

本書の要点

  • 要点
    1
    強く思い、実現を信じて前向きに努力を重ねていくこと。それが人生においても、また経営においても目標を達成させる唯一の方法であると言える。
  • 要点
    2
    懸命に働き、まじめに一生懸命仕事に打ち込むことによって、精神的な豊かさや人格的な深みを獲得することができるし、趣味や遊びからは得られない、心からわき上がるような喜びを味わうことができる。
  • 要点
    3
    己のためだけに利益を求めるのではなく、周囲や社会にもよかれと思うことを損してでもやるべきである。その利他の精神がめぐりめぐって自分にも利をもたらし、またその利を大きく広げもするからだ。

要約

思いを実現させる

求めたものだけが手に入るという人生の法則
Ingram Publishing/Thinkstock

世の中は思うようにならない―私たちは人生で起こってくるさまざまな出来事に対して、ついそんなふうに見限ってしまうことがある。しかしそれは、「思うとおりにならないのが人生だ」と考えているから、そのとおりの結果を呼び寄せているだけのことで、その限りでは、思うようにならない人生も、実はその人が思ったとおりになっているといえる。

不可能を可能に変えるには、まず「狂」がつくほど強く思い、実現を信じて前向きに努力を重ねていくこと。それが人生においても、また経営においても目標を達成させる唯一の方法である。

京セラが、IBMから初めて大量の部品製造の発注を受けた際、その仕様は、寸法精度を測定する機器すら当社にはないほどの厳格さで、開発は困難を極めた。しかしこれは稲盛氏の常套手段で、創業当時から、大手が断った高度な技術水準の仕事をあえて引き受けることで仕事を取ってきた。引き受けた時点では不可能だと思えることも、最後は神が手を差し伸べてくれるまで必死の思いでやり続け、ついに完成すれば、安請け合いという嘘は実績という真実を生んだことになる。自分の能力は未来進行形で考えて仕事を行うべきだ。

夢を抱けない人には創造や成功がもたらされることはないし、人間的な成長もない。夢を描き、創意工夫を重ね、ひたむきに努力を重ねていくことで、人格は磨かれていく。そういう意味で、夢や思いというのは人生のジャンプ台である。

原理原則から考える

迷ったときの道しるべ「生きた哲学」

私たちはともすると、物事を複雑に考えすぎてしまう傾向がある。しかし、物事の本質は実は単純なもので、いっけん複雑に見えるものでも、単純なものの組み合わせでできている。技術者出身の稲盛氏は、創業当時、会社経営の知識も経験もなかったが、悩み、行き着いた答えが「原理原則」であった。人間として正しいか正しくないか、よいことか悪いことか、やっていいことかいけないことか。そういう人間を律する道徳や倫理をそのまま経営の指針や判断基準にしたのだ。

例えば、バブル景気の際、京セラには多額の現預金があったため、それを不動産投資に回さないかという提案がずいぶんあったが、稲盛氏は「土地を右から左へ動かすだけで多大な利益が発生するなんて、そんなうまい話があるはずがない。あるとすれば、それはあぶく銭であり、浮利にすぎない」として、すべて断った。「額に汗して自分で稼いだお金だけが、ほんとうの『利益』なのだ」という信念は、人間として正しいことを貫くという原理原則に基づいたものであったのだ。

損をしてでも守るべき哲学、苦を承知で引き受けられる覚悟、それが自分のなかにあるかどうか。それこそが本物の生き方が出来るかどうか、成功の果実を得ることができるかどうかの分水嶺になるのではないだろうか。

【必読ポイント!】心を磨き、高める

働く喜びは、この世に生きる最上の喜び
stevanovicigor/iStock/Thinkstock

このごろの日本人が失ってしまった美徳の一つに「謙虚さ」がある。生きていくのに、オレが、私が、という自己主張が必要なこともわかるが、私たちがいま、謙虚さに代表される「美しい心」を忘れつつあるのは、この国の社会にとって大きな損失である。そして、そのことがこの国を住みにくくしている要因の一つであるように思えるのだ。稲盛氏は、自分の有している能力や果たしている役割は、たまたま天から与えられたもの、いや借り物でしかないと考えている。才能や手柄を私有、独占することなく、それを人様や社会のために使うべきであり、謙虚と言う美徳の本質はそこにあると考えている。

戦後の日本は経済成長至上主義を背景に、人格というあいまいなものより、才覚という、成果に直結しやすい要素を重視して、自分たちのリーダーを選ぶ傾向が強かった。しかしながら、

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