スタンフォード大学 夢をかなえる集中講義

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出版社
CCCメディアハウス

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出版日
2016年02月12日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

今までにないものを世に生み出し、画期的なアイデアで社会に影響を与える人と、毎日を漫然と過ごす人との違いは何だろうか?

本書は、ベストセラーになった『20歳のときに知っておきたかったこと』の著者であり、スタンフォード大学工学部の教授にしてスタンフォード・テクノロジー・ベンチャーズ・プログラムの責任者でもあるティナ・シーリグ氏が、いかにしてクリエイティブなアイデアをつくり育てるのかに焦点を絞って書き上げたものである。

「未来は自分自身の手で切り拓くことができる、という起業家精神を若い人たちに教えないのは、犯罪的行為」と断言する著者は、ひとつの正解しか認めない学校教育に疑問を投げかけている。著者によれば、今必要とされているのは従来の画一的な学校教育ではなく、実社会でぶつかる様々な問題を解決できる柔軟な発想力を育むことだ。

そのための方法論として、本書では「インベンション・サイクル」という、ひらめきを形にするための4つのステップが提案されている。「枠にとらわれない発想」という表現を決まり文句として使う人は多いが、実際にクリエイティブになるためには、このような具体的なステップの一つ一つと丁寧に向き合っていく必要があるのだろう。著者のいうように、ひらめきが先天的な才能によるものではなく、後天的に得ることができるスキルなのかどうか、ぜひ本書の内容を実践して、判断を下してみてほしい。

ライター画像
下良果林

著者

ティナ・シーリグ
スタンフォード大学医学大学院で神経科学の博士号を取得。現在、スタンフォード大学工学部教授およびスタンフォード・テクノロジー・ベンチャーズ・プログラム(STVP)のエグゼクティブ・ディレクター。米国立科学財団とSTVPが出資するエピセンター(イノベーション創出のための工学教育センター)のディレクターでもある。さらに、ハッソ・プラットナー・デザイン研究所(通称d.school)でアントレプレナーシップとイノベーションの講座を担当。工学教育での活動を評価され、2009年に権威あるゴードン賞を受賞。著書に『20歳のときに知っておきたかったこと』『未来を発明するためにいまできること』(いずれもCCCメディアハウス)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    最初から情熱がなくてもいいので、まずはひとつ世界にどっぷりと浸かってみることだ。そこで起きるさまざまな物事に好奇心を抱くことで、ひらめきは生まれてくるのである。
  • 要点
    2
    アイデアを「絵に描いた餅」で終わらせてはならない。まずはリスクの少ないところから実験を繰り返してみよう。そこで得られたデータは、新たなアイデアを生むきっかけとなる。
  • 要点
    3
    枠にはまった視点からは、クリエイティブなアイデアは生まれにくいものだ。常識とされることを洗い出し、そのひとつひとつに疑問をもってみよう。

要約

インベンション・サイクル1――想像力――

行動しないと情熱は生まれない
Riccardo Lennart Niels Mayer/iStock/Thinkstock

ナイトクラブのプロモーター、スコット・ハリソンは、夜の世界のすさんだ生活に嫌気がさしていた。その環境から脱却したいと考えた彼は、慈善団体をいくつもリストアップし、ボランティアとして働かせてほしいとかたっぱしから当たってみた。

あらゆる団体から断られ続けたハリソンを受け入れたのは、世界の最貧困国を病院船で巡回し、無料で医療サービスを提供する非営利組織(NPO)だった。西アフリカのリベリアに赴き、フォトジャーナリストとして患者の話をまとめる仕事を任されたハリソンは、貧困国における疾患の原因は清潔な水が手に入らないことにあると知る。そして世界の8億人に清潔で安全な飲料水を届けることを目標にしたNPO「チャリティー・ウォーター」を設立したのである。現在、ハリソンはプロモーターとしての経験を活かして世界中の人々から支援を得るべく駆けずり回り、支援の輪を広げている。

ここで注目したいのは、ハリソンが最初から特定の活動を希望していたのではなく、何十ものNPOに応募した結果、唯一受け入れてくれた団体の活動をきっかけに自分の事業を立ち上げたということである。どこでもいいから、とボランティアの世界に飛び込んでみて、そこで想像を絶する光景を目の当たりにした。そして頭に浮かんださまざまな疑問への解決法を探った結果、「清潔で安全な水を届けたい」という情熱が生まれたのである。

情熱を傾けられるものを見つけようと自分の内側へ目を向ける人は多いが、情熱というものは行動して初めて生まれるものだ。まずはひとつの世界に積極的に関わり、好奇心を持ってチャンスを探っていくべきである。

イメージが成功の鍵
Wavebreakmedia Ltd/Wavebreak Media/Thinkstock

未来がどのように展開していくかは、私たちの想像力次第だ。想像力が豊かであればそれだけ鮮やかなイメージを描けるが、乏しければ過去の延長線上のことしか成し遂げられない。

確固たるイメージを持つことが並外れた偉業を支える土台になることは、アマゾン創業者で最高経営責任者であるジェフ・ベゾスの例を見ればわかるだろう。ベゾスは創業当初から巨大企業を経営する姿をしっかりイメージしていた。アマゾンという社名をつけたのも、世界一の流域面積を誇るアマゾン川や、ギリシャ神話に登場する女戦士の国アマゾネスを意識してのものである。

人々の大半は、大きな目標に挑戦するのを怖がるものだ。実際、大舞台に移ることは、いつでも居心地が悪いものである。

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要約公開日 2016.05.31
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