ペンタゴン式 ハードワークでも折れない心のつくり方

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ペンタゴン式 ハードワークでも折れない心のつくり方
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ペンタゴン式 ハードワークでも折れない心のつくり方
出版社
出版日
2015年12月11日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.5
革新性
3.0
応用性
4.5
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おすすめポイント

アメリカ国防総省、通称「ペンタゴン」――彼らについて、筋骨隆々のマッチョな男性というイメージから、ちょっとやそっとのことではくじけない鋼鉄のような心の持ち主の集まりだと我々は考えがちだ。しかし本書で描かれる彼らは、ときに涙するといった側面を持つ普通の人物たちである。

では、彼らの持つ「折れない心」とはどこから来ているのか。著者によれば、「折れない心」とは「鋼鉄のように強靭な心」ではなく、どんな逆境や困難にも振り回されずに適切な対応ができる「しなやかな心」を指しているのだという。ペンタゴンにおけるさまざまな事例やメンタルトレーニングの手法を紹介していくことで、彼らのようなしなやかな心をどのようにして練りあげていくべきか、本書は鮮やかに描き出している。

特に、すぐに実践でき、応用性が高そうなテクニックとして、ペンタゴンにおける呼吸の整え方はぜひ注目しておきたい。スナイパーたちが狙撃する際、集中力を高めるために用いる呼吸法を「タクティカル・ブリージング」と呼ぶが、これはプレゼンテーションの場などで、自分の最大限のパフォーマンスを発揮したいというビジネスパーソンにうってつけである。簡単にできるので、本書を読んでぜひ皆様もトライしてほしい。

ペンタゴンの人々とまではいかなくとも、ハードな状況にさらされがちな現代のビジネスパーソンたち。正しい心の鍛え方を記した本書は、困難な状況下においても頼りになる、相棒のような一冊となってくれるに違いない。

ライター画像
下良果林

著者

カイゾン・コーテ
サンフランシスコ生まれ。University of Washington卒業。科学者を志すも、その後アメリカ空軍将校の道へ。在軍中に、アメリカ軍事大学院で修士課程を修める。その直後に、アメリカ国防総省国防情報システム局へ入局。情報部隊のエキスパートとして、国防総省でも保有率わずか1%というサイバーテロスペシャリストのライセンスを取得。国防総省、軍で行われている様々なトレーニングの中から、人生の可能性を広げ、成功するために有益なノウハウを抽出し、一般向けにアレンジした独自メソッド「リビング・エンライトメントシステム」を2011年に完成。現在は国防総省、軍にも籍を置きつつ、プライベート機関、ディフェンス・ディベロップメント・コンセプツ社をベースに、セミナー、サイバーセキュリティコンサルティングなども行っている。著書に『ペンタゴン式目標達成の技術』(幻冬舎)、監修本に『ペンタゴン式諜報員の英語』(講談社)がある。空軍での階級は少佐。
カイゾン・コーテ
サンフランシスコ生まれ。University of Washington卒業。科学者を志すも、その後アメリカ空軍将校の道へ。在軍中に、アメリカ軍事大学院で修士課程を修める。その直後に、アメリカ国防総省国防情報システム局へ入局。情報部隊のエキスパートとして、国防総省でも保有率わずか1%というサイバーテロスペシャリストのライセンスを取得。国防総省、軍で行われている様々なトレーニングの中から、人生の可能性を広げ、成功するために有益なノウハウを抽出し、一般向けにアレンジした独自メソッド「リビング・エンライトメントシステム」を2011年に完成。現在は国防総省、軍にも籍を置きつつ、プライベート機関、ディフェンス・ディベロップメント・コンセプツ社をベースに、セミナー、サイバーセキュリティコンサルティングなども行っている。著書に『ペンタゴン式目標達成の技術』(幻冬舎)、監修本に『ペンタゴン式諜報員の英語』(講談社)がある。空軍での階級は少佐。
http://pentragon-academy.jp/

本書の要点

  • 要点
    1
    「折れない心」とは、鋼鉄のように強靭な心ではなく、どのような状況でも柔軟に対応し、何があっても自分自身に戻ることができるという心である。
  • 要点
    2
    物事に行き詰まって上手くいかないのなら、それは「従来の手法では問題解決は難しい」ということである。問題解決したいのなら、それまでにない視点で物事をとらえよう。
  • 要点
    3
    いかに困難な状況に陥っても、自分自身をその混沌の一部にしてはならない。そのような状況から自分を引き離し、信念や希望といった本質から目を逸らさないようにしよう。

要約

「折れない心」を定義する

「折れない心」=強い心ではない
Fuse/Thinkstock

「折れない心」をつくりあげるために必要なことを考える前に、何をもって折れない心とするか、まず明確に定義することが大切だ。「何をもって成功とみなすか」というゴールがないミッションは、どんな努力を積んでも達成することはできない。

ペンタゴンというと、タフで命知らずのミッションを遂行するマッチョな集団を連想する人が多い。もちろん、ペンタゴンのスタッフには想像を絶するミッションを与えられることが多く、タフな精神は必要不可欠だ。しかし、「折れない心」というのは、何があっても痛みを感じない、鋼鉄のような強靭な心を指しているわけではない。むしろ、ペンタゴンで求められているものは、どのような状況下でも柔軟に対応し、何があっても常に自分自身に戻ることができるという態度である。

意外に思われるかもしれないが、一見屈強なペンタゴンの兵士であっても、ときに涙し、ときにボーっとしながら心をひたすら休める時間を大切にしている。心身を意図的に休ませ、自分の弱さを受け入れる、というプロセスを積極的に取り入れているのだ。

自らの弱さを直視し、受け入れることができない人間に、それを克服することはできない。ペンタゴンの定義する「折れない心」とは、自分の弱点を直視し受容できる素直さ、どのような変化にも対応できる柔軟性、そしていかなる困難や失敗からもしなやかに回復できるタフさのことなのである。

「ストレストリガー」をあぶり出す

心が折れそうなとき、多くの人はそれがどこからやってくるのかという「原因」ではなく、目の前にある「状況」にフォーカスしてしまい、冷静さを失ってパニックを起こしてしまう。しかし、状況に振り回されてそれだけを解決しようとしたところで、肝心の原因が放置されるのでは、根本的な解決にならない。いったん冷静になって状況を俯瞰するためには、それがなぜ起こったのかという原因に目を向けることが必要だ。

悩み、苦しみ、心が乱れる原因となる引き金のことをストレストリガーという。例えば、職場で度重なる遅刻やケアレスミスによって自信喪失しそうな人に、「早く起きられるように努力しろ」「仕事量を減らすように上司に相談しろ」とすぐにできそうなアドバイスを投げかけても、ストレストリガーが家族の問題や金銭トラブルなど、職場以外のところにあるのであれば、それは根本的な解決にはならないのである。

【必読ポイント!】 心のキャパシティを増やす

呼吸を味方につける
zabelin/iStock/Thinkstock

呼吸――それはあまりに自然な生理的機能であるため、人がその重要性を日常の中で意識することはほぼ無い。しかしペンタゴンには、「呼吸を制するものは、人生を制す」という格言がある。

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要約公開日 2016.05.09
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