外資系コンサルのリサーチ技法

事象を観察し本質を見抜くスキル
未読
外資系コンサルのリサーチ技法
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外資系コンサルのリサーチ技法
出版社
東洋経済新報社

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出版日
2015年10月15日
評点
総合
3.5
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

誰もが身近にインターネットを使えるようになったことで、情報を「調べる」ことは一昔前と比べてずっと容易くなった。だが果たしてその情報は本当に信頼に足るものだろうか? 日常生活レベルの些細な情報を調べる分には表層的な情報でも構わないし、わざわざ裏を取る必要もない。しかしそれがビジネスで使う情報であれば話は別だ。求められている情報を決められた期間内にきちんとした質でアウトプットするためには、普通に検索するだけでは不十分であり、「ビジネスレベル」のリサーチ法が求められる。だが、調べることは様々な業務の基礎となる大事な作業であるにもかかわらず、その具体的な方法論についてはよくわかっていないという方も少なくないのではないだろうか。

本書の最大の特徴は、ビジネスレベルで必要な情報収集テクニックを、これでもかというぐらい丁寧に説明しているところにある。多種多様なリサーチ技法について、それぞれの主な使用シーン、テクニック、ルール、注意点がわかりやすくまとまっており、非常に使いやすい一冊と言えるだろう。特に注目すべきなのは、情報は「調べる」だけでなく「つくる」ことができると指摘している点であり、インタビューやフィールド調査を行う際の注意点まできちんとカバーされている。

「一度読み終わったら終わり」という書籍ではない。ぜひ本棚に忍ばせておき、折を見て何度も読み返してみてほしい。

ライター画像
和田有紀子

著者

アクセンチュア 製造・流通本部 一般消費財業界グループ
アクセンチュア 製造・流通本部、戦略コンサルティング本部にて、消費財・サービス業界を中心とした企業へのコンサルティングを専門にするメンバー。デジタル化やグローバル化によって競争環境の劇的変化に直面する消費財・サービス企業のビジネス変革を支援するプロフェッショナル集団であり、中期経営計画策定、マーケティングや営業戦略の改革、全社構造改革/コスト削減、M&A、グローバルオペレーティングモデル構築、業務システム再構築など消費財・サービス企業の成長戦略を実現するための様々な国内外プロジェクトに携わっている。

宮尾大志(みやお だいし)
アクセンチュア製造流通本部 シニア・マネジャー。国際基督教大学教養学部卒業。消費財業界を中心に、製造・流通業クライアントに対して、全社・事業戦略、M&A・提携戦略、全社構造改革、営業・マーケティング戦略の策定・実行支援、グローバルオペレーティングモデル構築、業務システム再構築等の多数のプロジェクトを担当。『Think!』(東洋経済新報社)、「日経BP IT pro Marketing」等寄稿多数。グロービスマネジメントスクール講師。

本書の要点

  • 要点
    1
    目的意識を持たずにリサーチを進めても、いたずらに情報が増えるだけである。完成図を意識しながら、今求められている情報が何かを選別しなければならない。
  • 要点
    2
    実際のリサーチに入る前に、どの情報源にどの順番で当たるべきなのかの計画をたてたほうがいい。きちんと計画をたてることで、リサーチの改善点も見えてくる。
  • 要点
    3
    リサーチの技法には大きく分けて「さがす」技法と「つくる」技法がある。それぞれの特徴をよく理解して、必要な場面で適切な技法を用いるべきだ。

要約

【必読ポイント!】目的の確認

「答えるべき問い」をはっきりさせる
ismagilov/iStock/Thinkstock

ビジネスにおけるリサーチには、「目的の確認」「リサーチプランの設計」「リサーチの実行」「アウトプット化」という4つのステップがある。

第一に行うべきは「目的の確認」である。目的意識を持たず興味の赴くままにリサーチを進めると、いざ結果をまとめるタイミングになって「いろいろ知識は溜まったけれど、肝心のことがよくわからない」という事態に陥ってしまう。それを避けるためにも、リサーチをする際には必ず「何のためにリサーチをしているのか」という目的意識を持つ必要がある。

そのためにはまず、何を知りたいかを考える前に、そもそもどんな課題を解決したいのかという「答えるべき問い」をはっきりさせておくべきだ。例えば上司から「中国の飲食店市場を調べてくれ」と指示された場合、その上司の本当の目的が何なのかを真っ先に考えなければならない。中国の飲食店経営に乗り出したいのか、食材の新しい取引先を見つけたいのかによって、リサーチすべき内容が大きく変わってくる。可能な限り最初の段階で「答えるべき問い」を絞り込むことが、リサーチを成功させるポイントになる。

企画がどの段階なのか見極める

次に、その企画が現在どの段階にいるのかについて認識しておく必要がある。まだ全体像を把握しようとしている段階なのか、もう仮説立案の段階に移っているのか、あるいはすでに仮説を検証する段階なのかで、リサーチの目的は変わってくる。

まだ着手したばかりの段階であれば、その後の本格的なリサーチで得る情報を正しく解釈するための基礎情報を得ることがリサーチの目的となる。この段階では企業のホームページなどですぐに取得できる情報をざっと読みこむ程度にとどめ、まずは全体観を把握するよう努めたほうがいい。

仮説を打ち立てる段階では、それぞれの情報を比較しながら、調べるべきポイントを絞ることがリサーチの目的だ。多くの情報の中から自分なりの仮説を組み立て、深くリサーチすべき対象を見つけ出すことが、この段階では求められている。

仮説ができたら、それが

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要約公開日 2016.06.08
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