ここらで広告コピーの本当の話をします。

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出版社
出版日
2014年11月01日
評点
総合
4.3
明瞭性
5.0
革新性
3.5
応用性
4.5
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おすすめポイント

コピーライターの役割は、クライアントが売りたい商材の販売促進を助けることだ。そしてコピーライターの仕事といえば、そのための文章を作成することである。ただ、コピーは通常少ない文字数で構成されているため、なかには「たったそれだけの文字数で、そんな桁違いの額を請求できるのか? そんなに時間も労力もかかるとは思えない」と考える人もいるかもしれない。

しかし、約30年間にわたり、コピーライターとしてクライアントの問題解決に携わってきた著者は、力強くこう断言する。コピーライターは、センスだけで言葉を紡ぎ出す仕事にあらず。むしろ、たった一行を紡ぎ出すために、クライアントに詳しくヒアリングし、自分でも商品を試し、消費者にも聞き込み調査をし……とにかく、あらゆる手段で情報収集をするのが仕事なのだ、と。

実際、商品を深いレベルで理解した結果生まれたコピーには、消費者の行動や生活習慣を変えるほどの力が宿っている。そう考えると、帯にあるように「コピー1本で100万円請求する」というのも特段おかしくは感じなくなってくる。

徹底的に「相手の目線に立つこと」を推奨する本書は、コピーライターだけでなく、クリエイター全般、さらにはコピーを発注するクライアント側にとって、きわめて示唆に富んでいる。「永久保存版」として、何度も読んでいただきたい一冊だ。

ライター画像
平賀妙子

著者

小霜 和也(こしも かずや)
Creative Consulting / Creative Direction / Copywriting

1962年兵庫県西宮市生まれ。1986年東京大学法学部卒業。同年博報堂入社、コピーライター配属。1998年退社。2014年現在、株式会社小霜オフィス no problem LLC. 代表。本書出版時点での主なクライアントは、PlayStation、キリン、クリナップ、サントリー、宇宙航空研究開発機構、Reebok、メガネスーパー、日本生命、武田薬品、NTTグループ、ファミリーマート、サントリーウエルネス、izumoden、Xbox、HONEYS、Nissen、モエ・ヘネシー・ディアジオ、片岡物産、POKKA、エスティローダー、TOYOTA、三井不動産、三菱地所、Amazon、MTV、シャディ、愛・地球博 日本館、資生堂、KOSE、ハイネケン、ポルシェ、東京ガス、明治製菓、DDIポケット、SONY、SONY Music、intel、CASIO、日産自動車、TOTO、TBC、JAL、キッコーマン、ハウス食品、TOKYO CITY KEIBA、レミーマルタン、TDK、オリンパス、リクルート、他多数。広告賞受賞多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    商品の価値定義に特化したコピーを「タグライン」という。たくさん消費されて変化していくキャッチフレーズとは違い、「タグライン」はその商品がある限りなくならない。それゆえに非常に重要だ。
  • 要点
    2
    ブランドの強さを測る指標は、(1)気持ちいいと感じた体験の数、(2)その人が持つ課題との関係の深さ、(3)ブランドロゴを目にする頻度である。
  • 要点
    3
    広告は「生活環境」の一部であり、否応なしに生活者の目の前に飛び込んでくる。だからこそクリエイターは、ターゲットの生活環境も作っているという自覚を持ち、希望に満ちた物語を提供しなければならない。

要約

広告コピーの基礎知識

知るべきはUSPとターゲット
thamerpic/iStock/Thinkstock

たとえば水の入ったグラスが置かれ、この水のコピーを書いてくれというお題が出されたとしよう。この時、コピーライターを志す者であれば、すぐにコピーを書きはじめてはならない。

まずコピーライターがするべきことは、その水がどういった性質のものなのか、どこの企業が販売しているのかなどを知ることだ。詳細を知らずにコピーを書き始めても、所詮「水」というカテゴリーについて述べているにすぎない。それでは単なる大喜利であり、商品としての広告コピーとして成立しているとはいえない。その商品の情報や、競合商品との違い、すなわちUSP(競合優位性)を理解しておくことが、コピーを考えるうえでの必須条件となる。

また、どんなターゲットに売るべきなのかを考えることも、コピーを考えるうえでは基本中の基本だ。どんな商品でも、探せばそれを求めている大きなターゲット層は存在するものである。それを捉えなければ、広告のコピーを書くことはできない。

現代日本という環境

日本でプロの広告クリエイターとして働くのであれば、知っておくべき用語が二つある。1つ目は「コモディティ化」だ。これは、たとえばiPhoneが開発された後に、他の企業がスマートフォンを次々と販売しはじめたように、どんな新しい技術でも似たような製品が出てきてしまう現象を指している。

現在、ほとんどの商品が、機能面で差別化できなくなっているのもそのためだ。ゆえに、商品の優位性ではなく、企業理念や社会貢献への共感を伝える方向にシフトすべきだ、という潮流が生まれつつある。

2つ目は「ハイコンテクスト」であり、日本ではコモディティ化よりも重要な概念である。コミュニケーションにおいて、前提となる言語や体験、価値観などが非常に近い日本は、まさにハイコンテクスト文化の典型だ。だからこそ、微妙な表現の違いで、競合と張り合える価値が作れる。

逆に、ヨーロッパのような移民が多い国の場合、「毎日を楽しもう」、「愛って素晴らしい」などの普遍的なメッセージをベースにし、「とにかくこれが最高」という、ある程度ざっくりとしたコピーでないと、ごく一部の人にしかメッセージが伝わらず、広告として機能しにくい。

キャッチフレーズよりもタグライン
Blankstock/iStock/Thinkstock

広告コピーとは、ターゲットがその価値に気づくよう、商品を「定義付け」するものだ。この「定義付け」に特化したコピーのことを「タグライン」と呼ぶ。商品ロゴの上に置かれていることが多いこのタグラインは、コピーのなかでもとりわけ重要なコピーだといえる。

一方、キャッチフレーズは、広告の最も目立つ場所に置かれるコピーを指す。キャッチコピーの役割は、ターゲットの関心をつかむことだ。そのため、内容はたびたび変更されるし、消費されるスピードも速い。

キャッチフレーズはアマチュアの学生でも書けるが、タグラインを書くにはプロの知見が必要だ。そのため、タグライン1本書くことで100万円程度もらうことはあっても、キャッチフレーズ1本ではなかなかそこまで請求できないという。

コピーを「考える」

マーケティングの重要性

コピーライターにとって、マーケティングは重要である。マーケティングの概念は幅広いが、わざわざ営業や販促活動をしなくても、商品が勝手に売れていく状況を作りあげることが理想だ。

コピーライターは、こうしたマーケティング思考を持ち合わせ、それをツールとして使いこなす必要がある。ずっと机に向かっていても、コピーライティングはできない。マーケティング作業に九割の力を注ぎ、残りの一割で書くのが、「コピーを書く」ことの本質だ。

深層心理を引きずり出す

人は常になにかを意識しながら行動している。しかし顕在化している意識の下では、カタチにならない不満や欲求を抱えているものだ。それを「インサイト」と呼び、とりわけ、ターゲットが内に秘めている本音や欲求のことを「ターゲットインサイト」と呼ぶ。

インサイトは、それに関連する広告を見たときなどに、ひょっこり意識上にあらわれる。たとえば、「えっ、私、年収少なすぎ!?」といったバナー広告を見て、思わずクリックしてしまうのも、そういった不満を漠然と抱えていたからである。

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要約公開日 2016.11.14
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