起業の技術

未読
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起業の技術
出版社
かんき出版
出版日
2013年12月02日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

起業を志す人、起業して間もない人、起業に携わる人。そういった方が本書の表紙を見ると思わずこう思うかもしれない。「起業に『成功の型』なんてあるのだろうか」。

起業した人のうち90%が失敗すると言われるなかで、そんなものあるわけないだろう、と思わず懐疑的にページをめくってしまいそうである。しかしながら本書を読み、ワークシートで作業をしていくうちに、起業家が一番陥りがちなワナとは、「客観的な目で自分の事業を見られないこと」なのだと気付くことだろう。

著者である浜口隆則氏は本書の冒頭にて、仕事ができる優秀な人は、起業して一時的には成功する可能性が高いが、起業以前にやっていた仕事はあくまで「部分」であり、経営全体の一部に過ぎないため、長期的視点で見るとどこかで失敗してしまう、と述べている。すなわち、起業においては全体を見る目を養う必要があるとともに、その「目」は客観的なものである必要があるということだ。

起業時は間違いなく忙しいし、目の前の課題をこなすので精いっぱいだ。自分の事業を改めて見直してみる余裕なんてとても無いだろう。しかしそこで敢えてその作業を行うことこそが成功に繋がる、浜口氏はそう言っているように思う。

日本はいま、再び起業ブームに沸いている。本書を読めば成功が約束されるわけではないが、その確率は飛躍的に向上するはずだ。起業家はぜひ本書を読んで、成功を掴み取っていただきたい。

ライター画像
苅田明史

著者

浜口 隆則
会計事務所、経営コンサルティング会社を経て、大好きな起業家を支援するため、1997年に「日本の開業率を10%に引き上げます!」をミッションとする(株)ビジネスバンクを20代で創業。
起業家向けオフィス賃貸の「オープンオフィス」事業は、レンタルオフィスという新たな業界を生んだ。その後に自身の掲げるミッションへ更に近づくために「オープンオフィス」を事業譲渡。社名を(株)ビジネスバンクグループに変更。起業専門会計事務所、ベンチャーキャピタル会社、起業家教育事業など、起業支援サービスを提供する複数の会社を所有するビジネスオーナーで、アーリーステージの事業に投資する投資家(エンジェル)でもある。会社は第2創業期を迎え成長を続けている。
数千社という起業経営の現実を見てきた「起業の専門家」でもあり、その希有な経験から昇華されたアドバイスは多くの会社を<成功と継続>に導いている。主催する勉強会は全国に広がり、独自の経営理論がオーナー社長から若い起業家まで延べ7000名以上に支持されている。
著書に『戦わない経営』『仕事は味方』『誰かに話したくなる小さな会社』『My Credoマイクレド』『社長の仕事』(以上、かんき出版)、『エレファントシンドローム』(フォレスト出版)など海外でもベストセラーに。
横浜国立大学教育学部卒業、ニューヨーク州立大学経営学部卒業。

本書の要点

  • 要点
    1
    経営においては顧客との関係を上手に築くための「商品力」と「営業力」、これをサポートする「管理力」を高めていくことが重要だ。
  • 要点
    2
    経営に不可欠な12要素とは次の通りである。①「ミッション」存在価値を考える、②「商品力の29Cuts」絶対価値を考える、③「ポジショニング」相対価値を考える、④「ブランディング」認知価値を考える、⑤「集客力」8つの集客ツール、⑥「見込み客フォロー」5つのパイプライン、⑦「サイレントセールス」販売業から購入支援業へ、⑧「CLVマネジメント」顧客生涯価値(CLV)を高める、⑨「経理・財務」社長のコックピットをつくる、⑩「チームビルディング」自立型組織をつくる、⑪「仕組み化」安定と継続を築く仕掛け、⑫「投資とリスクマネジメント」永続への善循環を築く

要約

経営の要素と構造

はじめに

『起業の技術』の著者、浜口隆則氏は複数の起業支援事業を通して、これまで何千人もの起業家を支援してきた「起業の専門家」だ。浜口氏によれば、起業には成功の最大公約数的な「成功の型」があるにもかかわらず、多くの人がそれを知らないために失敗してしまうのだという。本書には「(経営には)何が必要なのか」、「明日から何をすべきか」が12の要素に集約されて紹介されている。

なお、本書は3部構成で、Ⅰ部は経営の要素と構造について「理解する」パート、Ⅱ部はⅠ部で紹介された「必要不可欠な『経営の12分野』」におけるパーツを「構築する」ためのパート、Ⅲ部がⅡ部で構築したパーツを「統合する」パートとなっている。

また、本書には『起業の技術』を実践するワークシートが付いており、書籍を読みながら自ら手を動かすことで、経営に対する理解を深めながら自分のビジネスモデルを構築していけるような工夫がなされている。

経営とは何か
Digital Vision./Photodisc/Thinkstock

シンプルに考えれば、経営とは「顧客との関わりをつくっていく活動」のことだ。そのため、「顧客との関わり」を上手に作れた会社は成功する。

顧客との関係を上手に築くには「商品力」と「営業力」が重要だ。そしてこの顧客との2つの関係づくりをサポートする社内の「管理力」も高めていく必要がある。

本書では「商品力」「営業力」「管理力」の3つの力をそれぞれ4つの分野に分解した、次の「12の要素」が経営においては必要不可欠であると述べている。

①「ミッション」存在価値を考える

②「商品力の29Cuts」絶対価値を考える

③「ポジショニング」相対価値を考える

④「ブランディング」認知価値を考える

⑤「集客力」8つの集客ツール

⑥「見込み客フォロー」5つのパイプライン

⑦「サイレントセールス」販売業から購入支援業へ

⑧「CLVマネジメント」顧客生涯価値(CLV)を高める

⑨「経理・財務」社長のコックピットをつくる

⑩「チームビルディング」自立型組織をつくる

⑪「仕組み化」安定と継続を築く仕掛け

⑫「投資とリスクマネジメント」永続への善循環を築く

この12分野を理解して経営に取り組めば「何をすべきか」が明確になり、継続的な成功への道が一気に近くなるのである。次章ではこのうち③、⑦、⑩、⑫について取り上げている。

【必読ポイント!】 必要不可欠な「経営の12分野」を構築する

ポジショニング

ポジショニングとは、「市場における自社の存在位置を徹底的に考えること」だ。優れたビジネスはポジショニングが徹底的に考えられているのである。

著者である浜口氏は「経営の究極のゴールは幸福」であるとし、幸福を追求するためには「戦わない経営」を実践することが重要だと説いている。

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要約公開日 2014.01.24
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