起業家のように企業で働く

未読
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起業家のように企業で働く
出版社
クロスメディア・パブリッシング
出版日
2013年10月16日
評点
総合
3.5
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

近年ベンチャー企業に注目が集まり、大企業との提携や資金調達で新聞紙面が賑わっている。一方で、性格面の特性や家庭の事情等もあり、誰もが起業できる、あるいはしたい訳ではなく、依然として起業のハードルは存在していると見ることが妥当であろう。そのような中で、起業家と同じモチベーションや興奮を持って、大企業で働けば良いのではないかということが、本書が投げかけている問いである。

ベンチャーの最前線では、大企業にいながら一見起業家と見分けが付かないような、エネルギーに溢れた方が多い。証券会社、監査法人だけでなく、メガバンクにいる方でさえ、まるで起業家のようにベンチャー企業を支援するために駆け回っている。そのような方には、ベンチャー起業家には持ちえない力もある。それは大企業ならではの影響力だ。つまり、社内で上手く立ち回ることができれば、起業家と同等か、もしくはそれ以上に大きな仕事を素早くすることができるのだ。

つまり、大企業の力を活用しながら起業家のように動く、という選択肢もあるということである。これからの働き方は多様化し、あたかも大企業の社員であるということ自体では、流行から外れているという論調もある。しかし、本書で提言されている働き方にチャレンジし、新たな大企業社員像を作り上げていくこともまた、取り組み甲斐のある大きなミッションではなかろうか。大企業にいて今後のキャリアに思い悩んでいる方こそ、本書をご一読いただき、起業家のように働く意識を強めていただきたいと願う。

ライター画像
大賀康史

著者

小杉 俊哉
1958年生まれ。早稲田大学法学部卒業後、NEC入社。マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院修士課程修了。マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク、ユニデン株式会社人事総務部長、アップルコンピュータ株式会社人事総務本部長を歴任後、独立。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科准教授を経て、現在、同大学SFC研究所上席所員。合同会社THS経営組織研究所 代表社員。著書に『リーダーシップ3.0~カリスマから支援者へ』(祥伝社新書)、『30代の働き方は挑戦だけが問われる』(すばる舎)、『ラッキーをつかみ取る技術』(光文社新書)など。

本書の要点

  • 要点
    1
    現代では、企業で働く場合においても、自ら仕事を作り、オーナーシップを持って自ら実施するという、「自律」が求められている。
  • 要点
    2
    プライベートの活動やネットワークすら、仕事に直接的に繋げる、「ワーク・ライフ・インテグレーション」こそ起業家のスタイルである。
  • 要点
    3
    企業の社員として働いている場合でも、新規事業、出向、傍流の仕事を選ぶということにより、自分からチャレンジをしていくことができる。すなわち、コンフォートゾーンに留まらない働き方をすることが、自身のやる気や成長を促す鍵となる。

要約

志を持つ

「自律」こそ現代のキャリアの鍵

著者の経験によると、企業から派遣された企業研修のセミナーに出席している人に対して、「あなたは、なぜここにいるのか」と質問すると、「会社に言われたから」という答えが返ってくるそうだ。しかし、会社自体がそれを強いることは物理的にないため、実際は上司や人事部長であろう。つまり、そのような指示に従っているのは自分自身であり、仕事をするということは、究極的には自分の選択の積み重ねなのである。

一方で、会社を見渡せば周りには好きなことをして、人事部門も黙認し、自由にさせてもらっている人もいるのではないだろうか。現代では、企業で働く場合においても、自ら仕事を作り、オーナーシップを持って働くという「自律」が求められている。

環境変化が激しい時代において、言われたことをコツコツと行うだけでは、会社は守ってはくれない。いつまで経っても言われたことしかできない人間は、環境が変化すると生き残れないのだ。

ワーク・ライフ・インテグレーション
iStock/Thinkstock

著者によると、多くの日本企業は定年まで雇用することはもはや前提としておらず、むしろ5%以内の適正な退職率が望ましいとすら考えている。企業が提供できることは、自己成長と会社への貢献をコミットする従業員に、能力の発揮と成長の機会を提供することである。

一方で従業員として考えれば、組織ニーズに見合うエンプロイアビリティ(雇用されうる能力)を高めるため、自己投資を継続しなければならないということになる。

そのためにはキャリアビジョンを持つことが肝要だ。キャリアビジョンは、日々の仕事をそのビジョンを実現することに繋げるモチベーションになる。

ワーク・ライフ・バランスという言葉に縛られてはいけない。起業家には毎日18時間、1年に360日働くようなこともあるが、やりたいことをやっているため、メンタル面もいたって良好だ。つまりそれは、ワーク・ライフ・インテグレーションであり、プライベートの活動やネットワークすら、仕事に直接的に繋げているのだ。そして仕事は生活の糧としてではなく、自己実現や世の中への貢献の手段として、充実感を伴うものとなっている。

自分がどうなりたいかよりも大切なこと
iStock/Thinkstock

世の中で何を成し遂げたいのか、貢献したいのかという視点で考えている人がいる。その中で、小島希世子氏は、熊本で生まれ育ち、周囲はほとんど農家で農業政策を学びに上京した。小島はそこで目にした道に寝ている人たちに対し、「ホームレスなんだから近づかない方がいいよ」という周囲からの制止を振り切り、一人一人話しかけた。

彼らは、会社が倒産し奥さんと離婚した人、自己破産してすべての資財を失った人、犯罪を犯してクビになった人など、様々な問題を抱えていた。一方で、ホームレスは働きたいという想いを持っている人も多い。そこで小島氏は、彼らに農業を教え熊本で農家をしてもらうという事業を考えたのだ。そして、神奈川県藤沢市で農園を開き、そこで農業体験を積んでもらい熊本に送っている。

小島氏は、なぜそのような無謀とも言えることを成し遂げたのか。

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要約公開日 2013.12.20
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