スヌーピーの父 チャールズ・シュルツ伝

未 読
スヌーピーの父 チャールズ・シュルツ伝
ジャンル
著者
デイヴィッド・マイケリス 古屋美登里(訳)
出版社
定価
6,000円 (税抜)
出版日
2019年10月25日
評点
総合
3.5
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
3.0
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スヌーピーの父 チャールズ・シュルツ伝
著者
デイヴィッド・マイケリス 古屋美登里(訳)
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定価
6,000円 (税抜)
出版日
2019年10月25日
評点
総合
3.5
明瞭性
3.5
革新性
4.0
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レビュー

白いビーグル犬、スヌーピーを知らない人はいないだろう。漫画の連載が終了してから20年近くが経った今もなお、その人気は衰えることを知らない。

本書はこの伝説的な人気を誇る漫画、『ピーナッツ』の作者であるチャールズ・シュルツの生涯をつづる伝記である。本書には『ピーナッツ』の漫画そのものも200点以上挿入されており、作者の内面やその時々の心情が色濃く反映されているさまが読みとれるようになっている(父親の営んでいた理髪店「ファミリー理髪店」も同名で登場している!)。

これまで人々の中にあった「チャールズ・シュルツ像」は、内気だがユーモアに富み、妻と子供たちに愛情を注いだ、愛すべき理想的な人物といったものだという。もちろんそうした面もあったはずだ。しかし、インタビューなどの膨大な資料を掘り下げた本書を読み進めると、妻とうまくいかずに離婚を経験していたり、子供との接し方がわからなかったり、様々な人間らしい側面を抱えていたこともわかってくる。本書はこれまで語られなかったシュルツのそうした面にスポットライトを当てることで、『ピーナッツ』の新たな魅力を発見している。

さらに、漫画はもちろんだが、本書にはシュルツの幼少期や家族写真など、なかなか目にすることができない貴重な資料が満載されている。『ピーナッツ』ファンならば、絶対に手に入れなければならない一冊だ。

池田明季哉

著者

デイヴィッド・マイケリス
ジャーナリスト、伝記作家。1957年10月3日にマサチューセッツ州ボストンで生まれ、同州ケンブリッジで育つ。コンコート・アカデミー高校を経てプリンストン大学卒。在学中に書いた『Mushroom』(1978年 邦題『ホームメイド原爆―原爆を設計した学生の手記』 アンヴィエル)で注目される。ほかに『The Best of Friends』(1983)、『Boy, Girl, Boy, Girl』(1989)、ベストセラーとなった『N・C・Wyeth』(1998)、『Schulz and Peanuts』(2007 本書)を出版している。本書は全米批評家協会が挙げた2007年度ノンフィクション推薦図書五冊のうちの一冊。
「アメリカン・ヘリテージ」「エスクァイア」「リーダーズ・ダイジェスト」「ニューヨーク」「ライフ」などに寄稿し、「パリス・レビュー」の編集者も経験している。ニューヨークに在住。妻はドキュメンタリー映画の製作者ナンシー・スタイナー。

本書の要点

  • 要点
    1
    チャールズ・シュルツは後年、自身を「平凡な人間」と語っていたが、幼少期から才能は開花していた。
  • 要点
    2
    『ピーナッツ』は子供だけを描いた漫画でありながら、人生の苦しみを深く描き出している。そこにはチャールズ・シュルツ自身の内面や、私生活が色濃く反映されていた。
  • 要点
    3
    「スヌーピー」は、キャラクターとしての成長は遅かったが、人間らしさと、時代の精神をうまく汲み取ったことで、主人公のチャーリー・ブラウンさえしのぐ人気を獲得した。

要約

チャールズ・シュルツの少年時代

繊細な少年スパーキー
Milan_Jovic/gettyimages

チャールズ・モンロー・シュルツは、ミネソタ州で、ドイツ人の父親とノルウェイ移民二世の母親の間に生まれた。チャールズは当時流行していた漫画のキャラクターにちなんで「スパーキー」と呼ばれるようになった。

一家は身なりがよく、気持ちのいい家族だった。しかし、母親のディナはやや見栄っ張りな性格で、よそよそしく、冷笑的なところがあった。彼女のこの性格は、その後スパーキーの人格や作品に多大な影響を及ぼすことになる。ともあれディナはひとり息子を溺愛していた。

スパーキーは女の子と遊ぶほうを、西部劇よりも漫画のほうを好むおとなしい少年だった。彼は子供のころから絵の才能があったが、母方の親戚は「絵を描く男は女々しい」と思っており、理解を示さなかったという。

父親のカールは自ら営む理髪店で45年あまり働いたが、その間一度も休暇を取ったことはなかった。店は清潔でよく手入れされ、客はカールの心をこめたもてなしを受けた。スパーキーは父親を尊敬しており、父親の店には自分の居場所があると感じていた。

スパーキーは優秀だったため、小学校で飛び級して5年のクラスに編入した。そのせいでいちばんのチビという立場に甘んじることになった。そして、進学した高校はまるで「監獄のよう」だった。スパーキーは、教師は愚かで自分の才能を見抜けないのだと思い、努めて平凡な人間に見えるように過ごしていた。この見せかけは後年まで続くことになる。

初めて目の当たりにした「漫画」

連載漫画はアメリカ全土に広まった初めての娯楽媒体で、連載小説や歌謡集などよりも早くに普及した。当時連載漫画は「配信(シンジケーション)」というシステムによって掲載されていた。それは自分の新聞に載った連載漫画を、他の新聞経営者に売るというものだ。この大量販売システムにより、広域の多数の新聞への一斉掲載が可能となり、連載漫画を読むことはアメリカの国民的習慣となった。

スパーキーも漫画を熱心に読んでいた。漫画を丁寧に模写し、コマ割り漫画を描くという夢を抱いていたが、その夢は当時の価値観からするとまともにとりあってもらえないようなものだった。

ある日、シュルツ一家の住む町の図書館でコマ割り漫画の展示会が開かれた。そこでスパーキーは初めて、プロの漫画家の原画を目にした。そして、プロの仕事の大変さと、絵のレベルの高さに衝撃を受けた。

漫画家としての一歩
artisteer/gettyimages

シュルツ家では犬を飼っており、父親はこの犬をとてもかわいがっていた。最初の犬はスヌーキー、次にやってきた犬はスパイクと名付けられた。スパイクは白地に黒い斑点が散る雑種で、いつも家族を笑わせていた。

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