子どもを一流ホワイト企業に内定させる方法

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子どもを一流ホワイト企業に内定させる方法
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子どもを一流ホワイト企業に内定させる方法
出版社
出版日
2019年12月16日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

大手有名企業から内定を得るためには、有名大学に在学していると有利である。しかし、有名大学に在学しているからといって、大手有名企業に入社できるとは限らない――これを実際に経験しているのが、著者の竹内健登氏だ。

著者は、東大生であったにもかかわらず、就活がうまくいかずに就職浪人を経験している。竹内氏の弟も同様に、東大薬学部でありながら、大手製薬会社からの内定は得られなかったのだという。

著者らの例からわかるように、売り手市場とはいえ、苦労している就活生は多い。しかし、親世代から見ると、なぜそんなに就活が大変なのかわからない。ついつい親自身の経験からアドバイスをしてしまうこともあるだろう。実は、この行動は大間違いだ。

著者によると、今の就活と親世代の就活では、根本的にシステムが異なっているという。それを理解せずに、親が自分の成功体験かアドバイスをすると、子どもを傷付けたり、子どもの足を引っ張ったりしてしまうことになりかねない。そこで本書は、親が子ども世代の就活の実情を知り、的確なサポートするためのノウハウを紹介している。

働き方改革が推進される一方で、確実にブラック企業は存在している。ブラック企業で働きたい子どもも、入社させたい親もいないはずだ。やはり、子どもが望む業種の一流ホワイト企業であってほしいというのが本音である。よりよい形で社会に送り出すことができれば、親としても一安心だろう。そんな親御さんに、ぜひお読みいただきたい一冊だ。

ライター画像
中山寒稀

著者

竹内健登(たけうち けんと)
就活コンサルタント。Avalon Consulting株式会社代表取締役社長。元デロイトトーマツグループの人材戦略コンサルタント。
東京大学工学部卒にもかかわらず、自身の就活に失敗し就職浪人した経験から、企業の人材戦略の道へ。新卒の学生が一流企業に内定するための独自の方法論と、3年後離職率・OpenWorkでの評価・帝国データバンクの評点を用いた客観的視点から「ホワイト企業」を研究。自社メディア「ホワイト企業への道」で掲載したところ、就活生や親御さんの間で話題となり、月間で35万PVを達成した。
現在も、「ホワイト企業からの内定が1件も得られなければ、授業料全額返金」という方針で、上位大学だけでなく、全国幅広い大学の学生の就活指導を行なっている。
「就職浪人から、ANAグループに内定した!」「留年すれすれから、日本IBMに内定!」「指導を受けた次の日から大手企業の面接で落ちなくなった!」など、喜びの声多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    一流ホワイト企業から内定を得られる学生の条件は、「企業から何が評価されるのかを知っていること」と「企業から評価される力を得る機会が与えられていること」である。
  • 要点
    2
    「今は売り手市場だから、就活はそこまで大変ではないはず」と考えている親御さんも多いだろうが、状況は厳しい。学生の7人に1人は就活うつになるという調査結果もあるほどだ。
  • 要点
    3
    「一流ホワイト企業」に入るためには、IQとEQを高めるのが近道である。加えて、就活力も必要だ。

要約

東大卒でも就活がうまくとは限らない

一流ホワイト企業に入れる人、入れない人
skynesher/gettyimages

「せっかく20年間育てて東大にも入れたのに、なんでそんな会社にしか入れないの!?」

就活中の著者が、中小企業一社のみの内定しか得られず、母親から言われた言葉である。著者の弟も、東大薬学部に在籍していたにもかかわらず、内定を得たのは製薬事業とは関係がない中堅企業だけだった。

著者は、こうした経験をきっかけに、業界、企業、内定をもらえる学生ともらえない学生の違い、学生に対する評価基準についてさまざまな角度から研究した。著者がたどり着いた「一流ホワイト企業から内定を得られる学生」の条件は2つだ。「企業から何が評価されるのかを知っていること」と「企業から評価される力を得る機会が与えられていること」である。

前者について、企業が評価する内容を事前に知り、取り組んでいる人は、やはり結果が違ってくる。この「企業からの評価軸」は時代の流れを受けて変化しているため、親の時代錯誤な考えが悪影響を及ぼすこともある点に注意したい。

後者について、大学生は、自分の通う大学や学部と業種・職種とのつながりを理解していないことも多い。だからこそ、職業観を醸成する機会、選考の対策を行う機会、自分の強みを理解してアピールする力を養う機会を、親が意識して提供することが大切である。

なお本書では、「一流ホワイト企業」を見抜く3つの指標として、Openworkの企業評価指標、『就職四季報』に掲載された3年後離職率、帝国データバンクの信用程度を挙げている。

親が知らない現代就活事情

売り手市場でも楽ではない
Pekic/gettyimages

「今は売り手市場だから、就活はそこまで大変ではないはず」と考えている親御さんも多いだろう。しかし、学生の7人に1人は就活うつになるという調査結果もあるほど、状況は厳しい。

著者の就活スクールで実施したアンケートによると、「就活で内定を取ることの厳しさについて、(親が)理解してくれない」と感じている学生は実に35%を占めている。親の時代と今の学生では、状況がまったく異なる。学歴や志望業界にかかわらず、競争が激化しているのだ。その要因は3つある。

まずは、就活が自由競争化していることだ。親の時代は、学内の求人票か教授や研究室からの推薦を駆使して就活をしていたため、応募者が限られており、1社から数社に応募すれば内定をもらえることがほとんどだった。しかし今は、学生が「新卒就活サイト」を利用して自由に応募する形が基本になっている。そのため、各業界のトップ企業や人気企業ランキング上位の企業に応募が殺到するようになった。

次に、大学生の希少価値が落ちていることだ。親世代の進学率(大学+短大)は、30~40%前後、大学入学者数は40万~50万人であった。ところが2018年の進学率は57.9%、大学入学者数は2017年で62.9万人になっている。「一流ホワイト企業」の採用枠も多少は増えているものの、大学生の増加のスピードには追いついていないのが現実だ。

最後に、求める人材のレベルが上がっていることだ。多くの大学生が自由に応募できるようになると、当然ながら「一流ホワイト企業に採用される人材」のレベルは上がっていく。文系理系問わずコミュニケーション能力(コミュ力)は必須であり、なければそもそも土俵にも立てないほどだ。

このように、競争が激化して「就活に適応し複数の一流ホワイト企業の内定を取る一握りの学生」と「一社も内定を取れない学生」の二極化が進んでいるのだ。

学歴フィルターは存在する

就活の構造を見てみよう。就活生は在籍する大学によって、5つのグループに分けられる。

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要約公開日 2020.05.30
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