データ立国論

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出版社
定価
990円(税込)
出版日
2021年03月30日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

データというと、数字では測れないものがこぼれ落ちてしまい、人の細かな意思は反映されないような気がしてしまう。しかし、データサイエンティストである著者の宮田裕章氏の語る「データ」のイメージは真逆だ。むしろ、データは多様な価値観をすくい上げ、誰もとりこぼさないために活用するものだというのだ。たとえば、コロナ禍の定額給付金は金銭的に困っている人にも、困っていない人にも、一律で10万円が配られた。しかし、もしここに、社会保障や所得の状況、その人の感じている辛さや痛みにまつわるデータがあったらどうだろうか。本当に必要な人に集中して、必要な分だけの保障を考えることができたかもしれない。

個人情報に配慮した上で、集めたデータを多くの人に役立つ形で還元するようなデータの利活用が進めば、大きな社会変革を生むことができる。たとえば、選挙のような多数決を越えた、新たな民主主義の形を生むことにもつながるだろう。それぞれの個人の「こういう価値観を大切にしたい」という日常の小さな選択がデータとして可視化され、尊重されるようになれば、それらが多層に重なり合い、次第に大きなうねりを生む。データが持つ力を正しく知り、データが実現する社会に対して希望を持ってほしいと語る著者の描く未来は明るい。「データ」という言葉にネガティブなイメージを持っている方にこそ、本書を手にとっていただきたい。

ライター画像
しいたに

著者

宮田裕章(みやたひろあき)
1978年生まれ。慶應義塾大学医学部医療政策・管理学教室教授。専門はデータサイエンス、科学方法論。2003年、東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻修士課程修了。同分野保健学博士(論文)。2015年より現職。専門医制度と連携したNCD、LINE×厚生労働省「新型コロナ対策のための全国調査」など、科学を駆使し社会変革を目指す研究を行う。2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)テーマ事業プロデューサーも務める。著書に『共鳴する未来』(河出新書)がある。

本書の要点

  • 要点
    1
    貨幣も含めて、信用や環境への貢献度などのさまざまな共有価値を可視化して、駆動される社会が「データ共鳴社会」である。
  • 要点
    2
    そこでは、経済合理性という一元的な軸ではなく、何を大切に生きていくのか、どう社会に貢献していくのか、などの多元的な豊かさの中で社会や経済をつくり上げていくことができる。
  • 要点
    3
    これまでの社会では「最大多数の最大幸福」を実現することが合理的であったが、そこにはかならずこぼれ落ちる人がいた。しかし、これからはデータの力により「最大“多様”の最大幸福」の追求が現実のものとなる。

要約

【必読ポイント!】 データ共鳴社会

多様な価値を可視化する

著者は、データサイエンティストとして、人と人や、人と世界をデータでつなぐ仕事をしている。著者が目指すのは、「データを使った社会変革」だ。

データは、産業革命以来続いてきた価値=貨幣という大前提を覆し、多様な価値が行き交う社会を実現する可能性を秘めている。中国のアント・フィナンシャルなどが始めている社会信用スコアは、データの力で貨幣以外の価値を可視化している例だ。これは個人の日々の行動履歴データに基づき「信用スコア」を算出し、融資などの審査を行うものだ。プライバシーなど解決すべき多くの問題があることも確かだが、「貨幣以外の価値」が可視化され、社会を動かす新たな駆動力になっている。その点において、これからの世界の新たな可能性を示していると言えるだろう。

最大“多様”の最大幸福
Ada daSilva/gettyimages

貨幣だけでなく、データによって信用や環境への貢献度などのさまざまな共有価値(Shared Values)が可視化され、それによって人々が響き合いながらともに構成する社会を、著者は「データ共鳴社会」と呼んでいる。データ共鳴社会では経済合理性という一元的な軸ではなく、何を大切に生きていくのか、どう社会に貢献していくのかなどの、多元的な豊かさの中で社会や経済をつくり上げていくことができる。

データ共鳴社会は、一人ひとりの多様なニーズを満たすことを可能にする。これまでは、最大多数の「平均の人たち」を想定してパッケージをつくるのが一般的だった。しかし、データを活用すれば、これまでよりも格段に低コストで一人ひとりのニーズや状況を細かく把握し、それに応じて商品やサービスを提供することができる。

これまでの社会では「最大多数の最大幸福」を実現することが合理的であったが、そこには必ずこぼれ落ちる人がいた。しかし、これからはデータの力により「最大“多様”の最大幸福」の追求が重要な考え方となる。これが、データ共鳴社会の目指す目標だ。

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