ゴールドプランなら4,000冊以上が全文読み放題! 7日無料体験はこちらから

本書の要点

  • 貨幣も含めて、信用や環境への貢献度などのさまざまな共有価値を可視化して、駆動される社会が「データ共鳴社会」である。

  • そこでは、経済合理性という一元的な軸ではなく、何を大切に生きていくのか、どう社会に貢献していくのか、などの多元的な豊かさの中で社会や経済をつくり上げていくことができる。

  • これまでの社会では「最大多数の最大幸福」を実現することが合理的であったが、そこにはかならずこぼれ落ちる人がいた。しかし、これからはデータの力により「最大“多様”の最大幸福」の追求が現実のものとなる。

1 / 3

【必読ポイント!】 データ共鳴社会

多様な価値を可視化する

著者は、データサイエンティストとして、人と人や、人と世界をデータでつなぐ仕事をしている。著者が目指すのは、「データを使った社会変革」だ。

データは、産業革命以来続いてきた価値=貨幣という大前提を覆し、多様な価値が行き交う社会を実現する可能性を秘めている。中国のアント・フィナンシャルなどが始めている社会信用スコアは、データの力で貨幣以外の価値を可視化している例だ。これは個人の日々の行動履歴データに基づき「信用スコア」を算出し、融資などの審査を行うものだ。プライバシーなど解決すべき多くの問題があることも確かだが、「貨幣以外の価値」が可視化され、社会を動かす新たな駆動力になっている。その点において、これからの世界の新たな可能性を示していると言えるだろう。

最大“多様”の最大幸福

Ada daSilva/gettyimages

貨幣だけでなく、データによって信用や環境への貢献度などのさまざまな共有価値(Shared Values)が可視化され、それによって人々が響き合いながらともに構成する社会を、著者は「データ共鳴社会」と呼んでいる。データ共鳴社会では経済合理性という一元的な軸ではなく、何を大切に生きていくのか、どう社会に貢献していくのかなどの、多元的な豊かさの中で社会や経済をつくり上げていくことができる。

データ共鳴社会は、一人ひとりの多様なニーズを満たすことを可能にする。これまでは、最大多数の「平均の人たち」を想定してパッケージをつくるのが一般的だった。しかし、データを活用すれば、これまでよりも格段に低コストで一人ひとりのニーズや状況を細かく把握し、それに応じて商品やサービスを提供することができる。

これまでの社会では「最大多数の最大幸福」を実現することが合理的であったが、そこには必ずこぼれ落ちる人がいた。しかし、これからはデータの力により「最大“多様”の最大幸福」の追求が重要な考え方となる。これが、データ共鳴社会の目指す目標だ。

もっと見る
この続きを見るには...
残り3526/4352文字

4,000冊以上の要約が楽しめる

要約公開日 2021.06.14
Copyright © 2025 Flier Inc. All rights reserved.

一緒に読まれている要約

人間主義的経営
人間主義的経営
ブルネロ・クチネリ岩崎春夫(翻訳)
つながり過ぎた世界の先に
つながり過ぎた世界の先に
大野和基(インタビュー・編)マルクス・ガブリエル髙田亜樹(訳)
野生の思考
野生の思考
クロード・レヴィ=ストロース大橋保夫(訳)
大衆の反逆
大衆の反逆
オルテガ・イ・ガセット神吉敬三(訳)
理不尽な進化 増補新版
理不尽な進化 増補新版
吉川浩満
リーダーの「挫折力」
リーダーの「挫折力」
冨山和彦
資本主義から脱却せよ
資本主義から脱却せよ
松尾匡井上智洋高橋真矢
「顧客消滅」時代のマーケティング
「顧客消滅」時代のマーケティング
小阪裕司

同じカテゴリーの要約

カイシャがなくなる日
カイシャがなくなる日
名和高司
大きなシステムと小さなファンタジー
大きなシステムと小さなファンタジー
影山知明
はじめる力
はじめる力
安野貴博
きみのお金は誰のため
きみのお金は誰のため
田内学
大学4年間の経済学が10時間でざっと学べる
大学4年間の経済学が10時間でざっと学べる
井堀利宏
「就職氷河期世代論」のウソ
「就職氷河期世代論」のウソ
海老原嗣生
ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー
ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー
ブレイディみかこ
FACTFULNESS
FACTFULNESS
ハンス・ロスリングオーラ・ロスリングアンナ・ロスリング・ロンランド上杉周作(訳)関美和(訳)
無料
これからの「正義」の話をしよう
これからの「正義」の話をしよう
マイケル・サンデル鬼澤忍(訳)
新しい階級社会
新しい階級社会
橋本健二