発達障害「グレーゾーン」 その正しい理解と克服法

未 読
発達障害「グレーゾーン」 その正しい理解と克服法
ジャンル
著者
岡田尊司
出版社
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定価
990円(税込)
出版日
2022年02月15日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
3.5
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発達障害「グレーゾーン」 その正しい理解と克服法
著者
岡田尊司
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990円(税込)
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2022年02月15日
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明瞭性
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革新性
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おすすめポイント

発達障害という言葉はずいぶん身近なものになった。それに伴い、「もしかして自分も……」と大人になってから自らの発達障害を疑うようになった人も増えているという。長年の生きづらさは発達障害のせいだったのではないか、原因が発達障害だとわかったら新たな一歩が踏み出せるのではないか——。そう期待して診断した結果が「グレーゾーン」だったら、なんだか自分の生きづらさが「大したことない」と言われている気分になってしまうだろうことは想像に難くない。その気持ちは、発達障害未満であるのだから、「グレーゾーン」のほうが問題は小さいに違いないというイメージから来るのだろう。しかし、その考えは間違いだと本書は指摘する。

著者の岡田尊司氏は、精神科医として長年パーソナリティ障害や発達障害治療の最前線に立ち、多くの人の心に向かい合ってきた。そんな著者によれば、「グレーゾーン」は生きやすいどころか、ときには発達障害よりも大きな困難を抱えているのだという。現在の診断の枠組みは完全ではなく、診断名の裏に本当の問題が隠されていることも少なくない。大切なのは、診断名だけでわかったつもりにならずに、それぞれの人の特性に向き合うことだ。

発達障害の診断が下りていなくとも、そうした「傾向」を持つ人は少なくない。だからこそ、診断名を越えて、目の前の人の特性と向き合うための方法を提示する本書は多くの人におすすめできる一冊だ。自分や身近な人に発達障害の傾向がある方だけでなく、これから発達障害について知ろうとする方にも、ぜひ本書を手にとっていただきたい。

ライター画像
池田友美

著者

岡田尊司(おかだ たかし)
1960年、香川県生まれ。精神科医、作家。医学博士。東京大学文学部哲学科中退。京都大学医学部卒。京都大学大学院医学研究科修了。長年、京都医療少年院に勤務した後、岡田クリニック開業。現在、岡田クリニック院長。日本心理教育センター顧問。パーソナリティ障害、発達障害治療の最前線に立ち、現代人の心の問題に向かい合っている。著書に『アスペルガー症候群』(幻冬舎)、『愛着障害』(光文社)、『母という病』(ポプラ社)、『パーソナリティ障害』(PHP研究所)などベストセラー多数。小説家・小笠原慧としても活動し、作品に横溝正史賞を受賞した『DZ』、『風の音が聞こえませんか』(ともに角川文庫)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    発達障害が広く認知されるようになり、自らの発達障害を疑って受診する人が増えている。グレーゾーンと診断された場合でも、問題が小さいということはなく、むしろ発達障害よりも強い生きづらさを抱えていることもある。
  • 要点
    2
    同じ診断名であっても、特性で見れば正反対の人が混在する。診断名だけで判断せずに、それぞれのベースにある特性を把握し、その人に合わせて、適切なサポートやトレーニングを行うことが大切だ。

要約

【必読ポイント!】 発達障害未満なのになぜ生きづらいのか

「グレーゾーン」の診断に戸惑う人たち
Kudryavtsev Pavel/gettyimages

「発達障害」という言葉が広く知られるようになり、周囲の人に受診をすすめられた人だけでなく、自ら「発達障害」を疑って医療機関や相談機関を訪れる人が増えてきた。後者のケースでは、長年生きづらさを抱えて悩んできて、その原因が「発達障害」だとわかれば一歩前に進めるのではないかと期待を抱いていることが多い。

正確な診断のためには、丁寧な問診と診察、発達検査が必要だ。きちんとした発達検査が行われずに診断が下されるケースがある一方、長時間の検査の結果、障害というほどではない「グレーゾーン」、境界域だと判定されることもある。障害というレベルでなかったことは喜ぶべきことのはずだが、自分の生きづらさの原因を「発達障害」に求めて検査をしにきた人は、曖昧な回答をどう受け止めていいのか戸惑い、複雑な反応を示すことがほとんどだ。

グレーゾーンという判定は、「それは苦しむほどの深刻なものではない」という意味ではない。多くのケースに向き合ってきた著者の経験から言えば、グレーゾーンの人は障害レベルの人と比べて生きやすいどころか、より深刻な困難を抱えていることすらある。グレーゾーンには特別な治療アプローチが必要であるが、そうしたことはあまり理解されていない。

本書では、分断されがちな子どもと大人のグレーゾーンを、子どもから大人まで通した問題として考えていく。両者をつながった一人の人生として連続した視点で捉えることで、はじめて何が起きているかを見通すことができるようになるはずだ。

早期対応が必要な子ども、本当の原因の発見を目指す大人

グレーゾーンと診断され、「様子を見ましょう」と言われた場合、本当に何もしなくて良いという意味ではない。子どもの場合、軽度な課題であってもできるだけ早くから療育やトレーニングを行うことが、予後を改善することにつながる。重い自閉症と言われたケースでも、早期の集中的な療育で、健常と変わらない状態にまで回復し、発達の遅れを取り戻すケースがある。一方、比較的軽度な問題であっても、自然の成り行きに任せていると、弱い部分がさらに弱くなって、ある時期から深刻な問題として表面化することになりやすい。「グレーゾーン」は、細やかな注意と適切なサポートが必要な状態であるということをよく認識しておくべきだ。

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