勇者たちの中学受験

わが子が本気になったとき、私の目が覚めたとき
未読
日本語
勇者たちの中学受験
勇者たちの中学受験
わが子が本気になったとき、私の目が覚めたとき
未読
日本語
勇者たちの中学受験
ジャンル
出版社
定価
1,650円(税込)
出版日
2022年11月20日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

毎年2月には、親子たちのドラマがある。首都圏の中学入試のピークは2月1日〜3日。志望校を目指す小6生と保護者は、連日受験会場へと向かう。試験結果によっては、直前出願可能な学校に出願し日程を組み直す。2回・3回と試験を行う学校もあり、志望校合格を目指して同じ学校に複数回挑む受験生も少なくない。納得のいく合格を勝ち取るまで、4日・5日と受験日程は伸びていく——。

教育ジャーナリストのおおたとしまさ氏が本書で描き出したのは、中学受験を選んだ3組の親子たちのリアルだ。実話をもとにしたフィクションであるが、事実は小説よりも奇なりを体現している。第三者の著者の視点で描かれるからこそ、親の気持ちも子の気持ちも嫌というほどよくわかる。入試本番期間の親子の壮絶な心情は、痛々しくも生々しい。

中学受験は親の受験と言われることがあるが、それは親のサポートが必要だというような単純な話ではないようだ。著者の言葉を借りれば、中学受験によってあぶり出されているのは、親としての未熟さである。全員が第一志望に合格できるわけでもなければ、努力が実るともかぎらない。そんななか、親が結果しか見ていなければ、子どもは「合格」以外に報われる道がなくなってしまう。中学受験を悔いなく終わるためには、親が一歩成長し、ありのままの子どもを受け入れる姿勢が必要であるようだ。中学受験のリアルを通して、よりよい親子のありかた、よりよい生き方に目を向けさせてくれる良書である。

ライター画像
池田友美

著者

おおたとしまさ
教育ジャーナリスト。1973年、東京都生まれ。麻布中学・高校卒業。東京外国語大学英米語学科中退、上智大学英語学科卒業。リクルートから独立後、数々の育児・教育媒体の企画・編集に関わる。教育現場を丹念に取材し斬新な切り口で考察する筆致に定評があり、執筆活動の傍ら、講演・メディア出演などにも幅広く活躍。中学・高校の英語の教員免許、小学校英語指導者資格をもち、私立小学校の英語の非常勤講師の経験もある。著書は70冊以上。

本書の要点

  • 要点
    1
    本書は、実話をもとにしたフィクションである。人物名は仮名だが、受験に関わる事実関係はそのままだ。
  • 要点
    2
    風間家の長男のタカシは、度重なる不合格にもめげず、最後に憧れの第一志望の合格を勝ち取った。
  • 要点
    3
    風間家次男のハヤトは、勉強がよくでき、三冠に最も近い男と呼ばれていた。両親はハヤトに期待をかけ、どんどん勉強の量を増やしていく。

要約

どこにでもある中学受験のエピソードは、こんなにもドラマチックだった

2月初週に展開する、悲喜交々のドラマ

本書は、実話をもとにした創作である。ただし、受験に関する事実関係は事実のままだ。登場人物は仮名だが、学校名も塾名も実名である。特定の学校をすべり止めや不本意な進学先として描いていることもあるが、そうした評価がいかに相対的で無意味であるかを逆説的に描き出すために、あえて実名を残している。塾業界の闇に触れることにもなり、実名を出すことに躊躇いがなかったわけではない。だが、少なくとも親の立場から見た一面の真実であり、この家族にだけ起きた特異なケースではないことはこれまでの取材で判断可能であったのでそのまま書くことにした。

取材対象として、特段ドラマチックな話を探したわけではない。いわば、どこにでもいる中学受験生親子に話を聞いただけだ。毎年2月の第1週には、5万通り以上の悲喜交々のドラマが同時並行で展開しているのだ。

全員が第一志望に合格できることはない。だが、自分を支えてくれる味方がいる、自分には努力して挑戦する勇気があるという確信は、その後の人生を支えてくれるはずだ。中学受験をするならば、そうした感覚を子どもたちに得てほしいと願ってやまない。

長男・タカシの中学受験

父親を付き添わせたのは失敗だった
imtmphoto/gettyimages

風間家の最初の中学受験は2年前、長男のタカシのときだった。水泳教室の選手コースで本格的なトレーニングをしていたタカシは、水泳との両立のために地元の個人塾で中学受験をすることを選んだ。しかし、母親の悟妃(さとき)は志望校の絞り込みの段階で、塾の知識のなさが不安になった。そこで、2つ下の弟・ハヤトが通っていた早稲田アカデミーでセカンドオピニオンを求め、入試直前の正月対策もそこで受けることになった。

1月中旬の栄東の受験には、父親の由弦(ゆづる)がタカシに付き添った。これは失敗だった。神経質なところのある由弦のほうがぴりぴりしてしまい、険悪なムードで試験を迎え、結果は不合格。結果に怒り狂った由弦はタカシを罵倒したうえ、家を飛び出し、酔っ払って帰ってくる始末だった。

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