なぜか人生がうまくいく「優しい人」の科学

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なぜか人生がうまくいく「優しい人」の科学
出版社
クロスメディア・パブリッシング

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出版日
2024年02月11日
評点
総合
3.5
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

誰しも、よかれと思って人に何かをしてあげたのに、その優しさを当たり前のように受け止められたり、拒否されたりした経験があるだろう。そんなときには、釈然としない気持ちや「優しくして損した」という感情を抱いたりしてしまうかもしれない。だが本書を読めば、そうしたモヤモヤから解放されるはずだ。

本書では、読者の心に寄り添う数々の自己啓発書を世に送り出してきた現役精神科医の著者、和田秀樹氏が、あたたかな言葉で、人に優しくすることの効用や具体的な方法を教えてくれる。書名にあるとおり、優しい人の「人生がうまくいく」理由について語られるパートも必読だ。

さらには、誰かに優しくしたいなら、自分自身に対しても優しく接することが重要であるとも指摘されている。自分に優しくし、自分を愛してあげられないと、誰かに優しくする余裕など生まれないからだ。

「優しすぎて疲れてしまう」「自分のことに精一杯で他人に優しくできない」「誰かに優しくしたのに思うような反応が得られないと傷ついてしまう」――そんな葛藤や生きづらさを抱えている方に、本書をおすすめしたい。読み終えると、カウンセリングを受けた後のように心がすっと軽くなるだろう。明日は少しだけ自分に、そして他人に優しくしてみよう、そんな気持ちにさせられる一冊だ。

著者

和田秀樹(わだ ひでき)
1960年大阪府生まれ。1985年東京大学医学部卒業。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、アメリカ・カール・メニンガー精神医学学校国際フェローを経て、現在は精神科医。和田秀樹こころと体のクリニック院長。立命館大学生命科学部特任教授。一橋大学非常勤講師、東京医科歯科大学非常勤講師。川崎幸病院精神科顧問。
著書に『感情的にならない本』『不安に負けない気持ちの整理術 ハンディ版』『70歳が老化の分かれ道』『80歳の壁』『なぜか人生がうまくいく「明るい人」の科学』など多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    人間には、相手から優しくされたり親切にされたりすると、それに「お返しをしたい」と感じる心理がある。周囲に優しく接している人にいいことが起きるのは、当然の結果だ。
  • 要点
    2
    自分を認めてくれる人に囲まれて生活していれば、人は自然に自己愛に満たされて、優しくなれる。いい人生を送るためにも、自分を褒めたり認めたりしてくれる人とつき合おう。
  • 要点
    3
    健康維持のために過度に好物を控えると、ストレスが溜まる。健やかな心を維持し、優しい人でいるために、ささやかな幸せを適度に楽しもう。

要約

「優しい人」の人生がうまくいく理由

優しさの「見返り」を求めていないか?

電車でお年寄りに席を譲ったのに、当たり前のような態度をとられた。困っている後輩を助けてあげたのに、反応が薄かった……。人に親切にしたのに感謝されないと、損した気分になることがある。これは、自分が差し出した優しさに何らかの「見返り」を求めているからだ。

日本人は、相手の「好意」を勝手に期待する傾向がある。夏の暑い日に訪ねてきた人に冷たい飲み物を差し出す文化がいい例だ。気を遣われることに慣れている日本人は、自分の期待値に見合う度合いの感謝を相手から得られないと、裏切られたような気分になりがちである。

無意識に相手からの見返りを期待し、それが得られないと勝手に傷ついて、相手を悪く思ってしまうという経験を何度も繰り返すと、人と関わることを避けるようになる。そうして人に対する「無関心」が助長され、「優しい人」を「優しくない人」に変えてしまう。

「情けは人の為ならず」は科学的に正しい
jacoblund/gettyimages

「情けは人の為ならず」という言葉がある。人に親切にすることが、巡りめぐって自分の利益につながるという意味だ。この言葉は、人に優しくすることの本質を示している。

旧5000円札の肖像画で知られる教育者で思想家の新渡戸稲造は、著書『一日一言』の中で「施せし情けは人の為ならず 己(おの)がこころの慰めと知れ 我れ人にかけし恵は忘れども 人の恩をば長く忘るな」と記している。現代語に訳すと「情けをかけるのは、人のためではない。ただ自分が満足できれば、それだけでいいと知っておこう。人にかけた情けは忘れても、自分がかけられた情けは、ずっと忘れないようにしよう」という意味になる。つまり、親切は自分に還ってくるのだから、人に見返りを求めるのではなく、自分が満足するだけにしておこうということだ。

著者は精神科医として、新渡戸稲造の考え方は科学的にも正しい視点だと考えている。

人間の心理には「返報性の法則」と呼ばれる原理がある。これは、相手から優しくされたり親切にされたりすると、それに「お返しをしたい」と感じる心理のことだ。一方、返報性の法則はマイナスに作用することもある。相手に嫌なことをされると、「仕返しをしたい」「復讐したい」という気持ちが生まれる。

周囲に優しく接している人にいいことが起きるのは、当然の結果だと言えよう。

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要約公開日 2024.05.21
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