なぜ部下は不安で不満で無関心なのかの表紙

なぜ部下は不安で不満で無関心なのか

メンバーの「育つ力」を育てるマネジメント


本書の要点

  • マネジャーは、メンバーとの対話を通して、メンバー自身が「キャリアの目的」を描く手助けをする必要がある。このプロセスを通して、お互いの理解が深まり、相互信頼を築ける。

  • メンバーが自身の持ち味を活かせるように支援するのも、マネジャーの仕事だ。持ち味を活かせると、自己肯定感が育まれ、主体的に動けるようになる。

  • メンバーが行動を起こせない要因の1つに「自己効力感の不足」がある。メンバーの自己効力感を育むためには、成功体験を積ませるとともに、成長思考の醸成を支援することが大切だ。

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部下の「育つ力」を育てる

「できない人」ではなく「まだできていない人」

人間には「できる人」と「できない人」がいるのではない。「できる人」と「まだできていない人」がいるだけだ。「まだできていないメンバー」を「できるメンバー」に変えるには、スキル差が生まれる土台となる「育つ力」を育てる必要がある。「育つ力」が上がれば、その先のスキルは自然と身につく。一方、「育つ力」という土台を整えないまま単発の人材育成を続けても、メンバーは育たないままだ。次項より、メンバーの「育つ力」を育てる5つのステップを解説していく。

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【必読ポイント!】 ステップ1:「目標のすり合わせ」ではなく「目的を育む」

「キャリアの目的対話」を行う

koumaru/gettyimages

変化が激しく先行きが不透明な時代には、キャリアの目標「私は~になりたい(becoming)」の前に、キャリアの目的「私はいつでも~という存在でありたい(being)」を描くことが必要不可欠だ。そこでマネジャーには、メンバー自身の軸となる「being」を一緒に探求する場として「キャリアの目的対話」を行うことが求められる。キャリアの目的についてマネジャーとメンバーで対話するプロセスを通して、お互いの理解が深まり、相互信頼が築かれる。「キャリアの目的対話」には3つの段階がある。段階(1)では、「キャリアの目的」について互いに正しく理解する。「キャリアの目的」の定義や、描くことの意義を伝えよう。「キャリアの目標」と「キャリアの目的」の違いについては、「病気に苦しむ人を助ける存在でいたい」(目的)、「大人になったら、お医者さんになりたい!」(目標)の例を用いるとわかりやすいだろう。「医師になる」という「キャリアの目標」がかなわなくても、「キャリアの目的」に立ち返ることで、「薬をつくる」「医療機器をつくる」「カウンセラーになる」など、キャリアの可能性を広げられる。段階(2)では、2つの方法を用いて「キャリアの目的」を一緒に探求していく。

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要約公開日 2025.01.16
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