ミネルバ式 最先端リーダーシップ
ミネルバ式 最先端リーダーシップ
不確実な時代に成果を出し続けるリーダーの18の思考習慣
ミネルバ式 最先端リーダーシップ
出版社
ディスカヴァー・トゥエンティワン

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出版日
2024年11月22日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

ミネルバ大学をご存じだろうか。2011年に開校し、キャンパスを持たず、学生は世界7都市を巡りながら学ぶ大学だ。その斬新さが注目を集め、「入学はハーバード大学より難しい」とも言われている。

著者は、そのミネルバ大学の設立母体であるミネルバ社提供によるリーダーシップ開発プログラム「Managing Complexity」を日本企業向けに展開する。中心テーマとして掲げられるのが「適応型リーダーシップ」だ。これは、成果を出し続けるために、個々人が環境に適応しながら力を発揮するための変容プロセスを意味する。

「適応」という言葉はリーダーシップ論によく登場するが、組織の適応力を高めるために、リーダーは具体的に何をすればよいのか。本書は、この問いに体系的かつ実践的に答えようとしたプログラムのエッセンスを、できる限り忠実に再構成したものである。

構成は三部から成る。第一部では、適応型リーダーシップの基盤となる思考法を学ぶ。たとえば、システム思考、モチベーション理論、認知バイアス、パーパスを通じた自己理解などだ。第二部では、「対人姿勢を磨く」をテーマに、EQ、多様性、コミュニケーションを扱う。そして第三部では、課題解決とイノベーションを軸に、問題と課題の分析、デザイン思考、意思決定、学習の俊敏性へと話が展開されていく。

各章の冒頭と最後には問いが提示され、自分なりの答えをアウトプットする過程が重視されている。それこそが、本質的な気づきと実践の扉を開いてくれる。本書を道しるべに、自分だけのラーニングジャーニーを築いていただければと思う。

ライター画像
松尾美里

著者

黒川公晴(くろかわ きみはる)
Learner's Learner代表 ミネルバ認定講師
1983年大阪生まれ。2006年に東京外国語大学英語科を卒業後、外務省入省。2009年米国ペンシルバニア大学で組織開発修士を取得し、外交官としてワシントンDC、イスラエル/パレスチナに駐在。2013年に帰国後は、安全保障や経済問題等様々な分野で政府間交渉に携わるかたわら、首相・外相の英語通訳を務める。国益と価値観がぶつかり合う前線に立つ中で、個と組織のあり方に強い関心を持ち、2018年独立。以降、コンサルタントとして国内外の企業の組織・人材開発を支援。リーダーシップ育成、ビジョン・バリュー策定、カルチャー変革、学習型組織作り、事業開発等のサポートを行う。2021年からは米国ミネルバと事業提携し、日本企業向けのリーダーシップ開発プログラム「Managing Complexity」を展開。自身も講師を務める。

本書の要点

  • 要点
    1
    本書では、複雑なシステムをリードする思考法から、対人知性の磨き方、課題解決とイノベーションの方法まで、必要な要素をまとめている。ミネルバ大学が提供するリーダーシップ開発プログラムのエッセンスをできるだけ忠実に届けようとしている。
  • 要点
    2
    ​不確実な時代においては、適応型リーダーシップを磨くことが重要になる。​継続的な学習姿勢と自己変革能力が、リーダーシップを発揮する上での基盤となる。

要約

「適応」を導くリーダーシップ

なぜ適応が重要なのか

私たちは、複雑系システムの中に存在している。物事は予定通りに進まないという前提のもと、不測の事態に備えなければならない。

世界的な物理学者スティーブン・ホーキング博士は、知性とは変化に適応する能力だと語った。なぜ適応が重要なのか。それはすべての変化の予測が不可能であるうえに、適応しないと生き残れないからだ。

私たちが直面する問題には、技術的問題と適応課題がある。前者は問題が明確で、解消するための答えも明らかな問題を指す。一方、適応課題は、問題の所在自体が必ずしも明らかではなく、当事者の考え方や習慣の根本的な変化が必要な問題を意味する。大事なことは、適応課題を技術的問題のように扱ってはいけないという点だ。

適応型リーダーシップとは
CoreDesignKEY/gettyimages

適応型リーダーシップとは、組織や企業が環境の変化に対応し、適応行動を円滑に行うために、個人が周囲に与える影響力そのものである。これは役職の有無に関係なく、思いを持つ者であれば誰しもが発揮可能な力とされ、チームや組織の目標達成に寄与する。適応型リーダーシップは、明確な方向性を示しつつ周囲を巻き込み、柔軟に問題解決を図りながら成果を生み出すスタイルである。

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要約公開日 2025.05.24
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