マウントを取らずにはいられない人の表紙

マウントを取らずにはいられない人


本書の要点

  • 相手の意見や批判に過剰に反応し、感情的に攻撃する背景には、「拒絶過敏性」が潜んでいる可能性がある。このようなケースでは、たとえ相手の機嫌を損ねるとわかっていても、最低限の指摘はしておくべきだ。指摘内容は必ず文書に残し、ときには録音するなどの工夫も必要である。

  • 不機嫌な態度によって相手をコントロールしようとする人に対して、あなた自身が「イネーブラー」になってしまっている可能性がある。その人が不機嫌になっても、必要以上に反応せず、伝えるべきことは伝えるという姿勢を貫こう。

  • マウントを取りたくなったときは、それによって起こり得る事態を想像して、自制する必要がある。

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【必読ポイント!】 職場におけるマウント

否定マウント

mapo/gettyimages

著者の外来を受診したある男性は、部下の意見を頭ごなしに否定する上司に辟易している。上司の求めに応じて意見を述べても、そのたびに「そんなやり方でうまくいくわけない」と一蹴されるという。否定の矛先は、部下の提案にとどまらない。親会社から出向してきたこの上司は、現場で長年培われてきた方法論すら否定し、ことあるごとに親会社のやり方を持ち出してくる。さらに厄介なのは、アメリカの大学でMBAを取得したことをひけらかし、「MBA流」の新手法を強引に導入した点である。部下も取引先もその手法に順応できず、結果として業績は悪化した。最も理不尽なのは、自ら却下した部下の案を、数日後にまるで自分のアイデアであるかのように再提案してくることである。こんな状況が続けば、部下の意欲が削がれて当然だ。この上司は、自ら導入したやり方が正しいと信じ込み、現実に目を向けようとしない。このような心理は、精神医学では「幻想的願望充足」と呼ばれる。うまくいってほしいという願望と、実際の成果は切り離されるべきであるにもかかわらず、それらを混同してしまうのだ。対処法としては、新手法の導入が業績悪化を招いている事実を、具体的な数字とともに詳細に記録し、上層部へ報告することが挙げられる。否定的な言動によって被害を受けている同僚数名と連携し、集団で動くほうが効果的だろう。特に、部下の提案を否定したにもかかわらず、のちに上司が自らの案として再提示したケースがどれほどあったかについては、丁寧に記録して報告すべきである。そのためには、上司とのやり取りをすべて録音しておくくらいの覚悟も必要だろう。

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要約公開日 2025.07.30
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