本書の要点

  • 努力は、4階建ての建物のように「量」「質」「設計」「選択」の4つの階層で構成される。

  • 努力で得られる報酬は、「目標との距離」と「時間」を掛け合わせた4つの類型に分けられる。報酬はすぐに手に入るものだけではなく、予想外のものや時間差で得られるものもある。

  • 努力と報酬の因果関係は曖昧であるため、人はそれぞれの経験則からロジックをつくり出している。この経験則を「努力神話」と呼ぶ。努力神話は「努力と報酬の相関の強さ」と「不確実性の大きさ」から、9つの型に分類できる。

1 / 4

「努力」を構造化する

努力には「目標」が必要

努力を語るうえで欠かせないのが「目標」だ。目標なくして努力はない。目標が高いほど努力すべき行為の範囲が広がり、低いほど努力は限定的になる。たとえば、「期末テストの社会科でクラスの平均点以上を取る」という目標に対して考えられる努力は、「試験範囲を理解してきちんと勉強すること」「体調を整えること」くらいだろう。一方、会社員が「1年以内に起業する」という目標を掲げた場合は、「資金を集める」「ビジネスモデルを考え抜く」「人脈をつくる」など、多様な努力が考えられる。目標をどう定めるかによって、努力のバリエーションは大きく変わってくるのだ。目標が高いと、努力のバリエーションが増える。それゆえに、闇雲に何かに励むのではなく、どの努力を優先するか、どこまで努力するかといったことまでが論点となる。

努力は「4階建ての建物」

P.44(クロスメディア・パブリッシング提供)

私たちはレイヤーの異なる多種多様な頑張りを、「努力」という言葉でひとくくりにしている。「努力している・していない」という議論がすれ違うのは、多くの場合、どのレイヤーの努力を指しているかにズレがあるからだ。努力は4つに分類できる。より具体的なものから順に「量の努力」「質の努力」「設計の努力」「選択の努力」となる。まず「量の努力」は、目標達成のために決めたことを繰り返し、回数を重ねてやり切る行為だ。私たちが努力を語る際は、これを念頭に語ることが多い。次の「質の努力」は、行動の結果や他者からのフィードバックから学びながら、どのように行動を改善していくかを考える行為だ。闇雲に量を重ねるのではなく、よりよい方法を取り入れて改善することに重きを置く。「設計の努力」は、目標に立ち返って俯瞰的な思考を深める行為だ。今行っている行為を俯瞰し、その他のオプションを洗い出したり、リソース配分や全体像を考えたりする。

もっと見る
この続きを見るには...
残り3560/4339文字

4,000冊以上の要約が楽しめる

要約公開日 2025.07.28
Copyright © 2025 Flier Inc. All rights reserved.

一緒に読まれている要約

うまくいく人は自分にやさしい
うまくいく人は自分にやさしい
今井孝
成長の書
成長の書
妹尾輝男
賢い人の質と速さを両立させる時短100式
賢い人の質と速さを両立させる時短100式
森田ゆき
もっと学びたい!と大人になって思ったら
もっと学びたい!と大人になって思ったら
伊藤賀一
「伝え方」の本質
「伝え方」の本質
豊島晋作
マウントを取らずにはいられない人
マウントを取らずにはいられない人
片田珠美
本を読む人はうまくいく
本を読む人はうまくいく
長倉顕太
戦略的暇
戦略的暇
森下彰大

同じカテゴリーの要約

AI分析でわかった 仕事ができる人がやっている小さな習慣
AI分析でわかった 仕事ができる人がやっている小さな習慣
越川慎司
壁打ちは最強の思考術である
壁打ちは最強の思考術である
伊藤羊一
しんどい世の中でどうすれば幸せになれますか?
しんどい世の中でどうすれば幸せになれますか?
橘玲樺山美夏
仕事の「判断ミス」がなくなる脳の習慣
仕事の「判断ミス」がなくなる脳の習慣
加藤俊徳
肩書がなくても選ばれる人になる
肩書がなくても選ばれる人になる
有川真由美
頭のいい人が話す前に考えていること
頭のいい人が話す前に考えていること
安達裕哉
きちんと伝わる説明の「型」と「コツ」
きちんと伝わる説明の「型」と「コツ」
阿部恵
AIエージェント革命
AIエージェント革命
シグマクシス
やりきる意思決定
やりきる意思決定
中出昌哉
生成AI最速仕事術
生成AI最速仕事術
たてばやし淳