もっと学びたい!と大人になって思ったら
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出版社
出版日
2025年05月10日
評点
総合
3.5
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

著者の伊藤賀一氏は、43歳でかつての第1志望だった早稲田大学に一般受験で再挑戦した。見事合格を果たして2度目の大学生活を送った次は、人生3度目の大学生活を目指して「浪人中」である。現在、オンライン予備校スタディサプリで社会科8科目を担当する「日本一生徒数の多い社会科講師」でありながら、自らも大学受験合格を目指すその姿は、まさに「学び続ける」人生を体現している。

本書では、教える側の視点も知る著者が、高等教育の現場に身を置いて得た発見を、余すところなく紹介している。世代を超えた若者との交流や、恩師との出会い、所属ゼミの活動で生まれた地域との縁など、40代での大学生活は多様なつながりを生み出している。そこで得た「学び」が「仕事」にもつながる、そんな理想的な「学び直し」の様子に、自分も学びたいと背中を押される人は多いだろう。

しかし社会人学生として大学で学ぶということが、大変な困難を伴うことも事実である。仕事・家庭と、学業を両立させなければならないことに加え、仕事の時間を減らして学ぶことによる金銭面の負担も無視できない。そもそも大学合格のために受験勉強をすることだけでも、社会人にとっては一苦労であるはずだ。

著者はそうした現実にも触れながら、自らの受験対策の状況についても赤裸々に明かし、その道がけっして平坦ではないことも示している。それでもなお著者が3度目の大学受験に挑戦するのは、「学ぶ」ことの魅力にとりつかれてしまったからだ。その魅力に触れたい、もう一度学びたいと願う人は、ぜひ手に取ってほしい。

ライター画像
池田明季哉

著者

伊藤賀一(いとう がいち)
1972年京都府生まれ。法政大学文学部を卒業後、東進ハイスクール等を経て、現在はリクルート運営のオンライン予備校スタディサプリで社会科8科目を担当する「日本一生徒数の多い社会科講師」。43歳で早稲田大学教育学部を一般受験し合格、49歳で卒業するなど、生涯教育と学び続けることを体現している。著書に『47都道府県の歴史と地理がわかる事典』(幻冬舎新書)『アイム総理 歴代101代64人の内閣総理大臣がおもしろいほどよくわかる本」(KADOKAWA)「明けない夜があっても』(青月社)、共著に『いっきに学び直す 教養としての西洋哲学・思想』(佐藤優氏との共著、朝日新聞出版)など他多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    40代でかつての第1志望であった早稲田大学に合格し、2度目の大学生活を送った著者は、「学び続ける」魅力にすっかりハマってしまった。
  • 要点
    2
    学びの究極の目的は、「自らを高めたい」という総合力的な要求である。もっといい人間になりたい、もっと知識のある人間になりたいという欲求に、学びはこたえてくれる。
  • 要点
    3
    大学に入り直したことによって、著者の仕事の幅が広がり、新たな学問分野への関心も高まっていった。

要約

【必読ポイント!】 50代、3度目の大学生を目指して

「学び続ける」ことの魅力
FreshSplash/gettyimages

1991年、京都出身の著者は、18歳で法政大学文学部史学科に入学した。バブル経済が崩壊し、社会に暗い雰囲気がただよっていたが、だからこそ浮かれることなく22歳で卒業した。

ほんとうの志望は早稲田大学だった。法政には拾ってもらえて感謝もしているし、大好きにもなったが、第7志望だった大学にしか合格しなかったことは心残りであった。

卒業後は大学受験塾と東進ハイスクールで働いていたが、両方を30歳で離職。全国流浪や結婚を経て、40歳で受験サプリ(現在のスタディサプリ)のスタートへ参加し、予備校講師や物書きとして生きてきた。

第1志望の早稲田大学教育学部に落ちたまま、受験業界で仕事をしていていいのか。その葛藤から一念発起し、43歳で早稲田大学を再受験、2つの学部に合格し、2016年に大学1年生として教育学部に入学した。40代での大学生活は始まるまで不安もあったが、「予想以上に楽しかった!」という。試験の失敗やコロナ禍の影響で留年もしたが、6年で無事卒業した。

仕事だけでなくもっと勉強したいという思いに至った著者は、「このまま数学や理科をやらないのは損かもしれない」と思いはじめ、人生3度目の大学生として、今度は国立大学の理系に行くことを考えている。大学院に行ってはどうかと言う人もいるが、それはこの次にやろうと考えている。50代、60代、70代でも新しいことを学び、そこから世界に打って出るつもりだ。

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要約公開日 2025.08.01
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