DIGITAL STANCE スマホに支配されない生き方
DIGITAL STANCE スマホに支配されない生き方
テクノロジーとの「健全な距離感」を見つける
NEW
DIGITAL STANCE スマホに支配されない生き方
出版社
ディスカヴァー・トゥエンティワン

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出版日
2025年06月20日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

スマホの恩恵と弊害については、すでにさまざまな場面で語られている。恩恵については言うまでもなく、スマホの登場により、わたしたちの暮らしは格段に便利になった。まだ20年も経っていないのに、「スマホ前」の時代は前近代的にすら見えてしまう。

では、弊害はどうだろうか。それについて記される代表的な書籍は、アンデシュ・ハンセンの『スマホ脳』だろう。スマホの利用時間が増えると、集中力の低下や情緒不安を招き、睡眠や生活に悪影響が出る。スマホ依存への警鐘を鳴らした一冊だ。

本書では、巨大テック企業の「闇」の部分にフォーカスを当てる。著者のピョートル・フェリクス・グジバチ氏は、かつてGoogleで人材開発などを担当した「中の人」。いわばビッグテックの光も闇も知り尽くした人物だ。そんな著者が、ビッグテックがスマホを通じてわたしたちの動向を監視し、そのデータを利用して自社の利益に転換している事実を指摘する。無料で便利なサービスには裏があるのだ。

また、わたしたちが総じて「スマホ漬け」になってしまうのにも理由がある。アプリやSNSには科学に基づいた巧妙なしくみが組み込まれているため、「ついハマってしまう」のは当たり前なのである。

とはいえ、わたしたちはもう「スマホ前」の生活に戻ることはできない。それを前提に、スマホと健全に付き合っていくにはどうすればいいのか。そう考えあぐねている人に、本書は格好の一冊である。自身の時間と人生を取り戻すためにも、一読をすすめたい。

ライター画像
矢羽野晶子

著者

ピョートル・フェリクス・グジバチ(Piotr Feliks Grzywacz)
連続起業家、投資家、経営コンサルタント、執筆者。プロノイア・グループ株式会社代表取締役、株式会社TimeLeap取締役、株式会社GA Technologies社外取締役。モルガン・スタンレーを経て、Googleで人材開発・組織改革・リーダーシップマネジメントに従事。
2015年に独立し、未来創造企業のプロノイア・グループを設立。2016年にHRテクノロジー企業モティファイを共同創立し、2020年にエグジット。2019年に起業家教育事業のTimeLeapを共同創立。ベストセラー『NEW ELITE』他、『パラダイムシフト 新しい世界をつくる本質的な問いを議論しよう』『世界最高のコーチ』など執筆。ポーランド出身。東京初のポーランド・ファインダイニングレストラン「Ani Mru Mru」オーナー。

本書の要点

  • 要点
    1
    アテンションエコノミーは、「人々の注目・関心」そのものが価値を生み出すビジネスモデルだ。巨大テック企業は、スマホから個人データを収集・分析し、最適化した広告を届けることで巨額の利益を得ている。
  • 要点
    2
    ウェブサービスやアプリは、「ハマる」ように設計されている。
  • 要点
    3
    デジタルテクノロジーとは、自分の価値観や目的に合わせて適切な距離感で付き合うべきだ。そのために必要なことは「目標を持つ」「自分の大切なものを明確にする」「優先順位をつける」である。

要約

なぜ、スマホに振り回されてしまうのか?

巨大化し続けるビッグテック企業

総務省の「令和3年情報通信白書」によると、平日の「インターネット利用時間」が「テレビ(リアルタイム)視聴時間」をすべての年代において上回った。これは、調査開始以降初めてのことである。

平日のネット平均利用時間は約168分、10代と20代に至っては200分を超えている。わたしたちは、かなりの時間をインターネットに費やしているのだ。

多くの人が利用しているデジタルサービスの大半は、アメリカのビッグテック企業――Alphabet(Google)、Apple、Meta、Amazon、Microsoft(通称「ビッグファイブ」)によって提供されている。2021年におけるビッグファイブの収益は、総額1.4兆ドル。これは、ブラジルやメキシコのGDPに匹敵する規模である。

「無料」にはワケがある
andresr/gettyimages

こうしたデジタルサービスの多くは、“タダ同然”で利用することができる。だが、安いものにはワケがある。わたしたちは無料利用と引き換えに、テック企業に「情報」を売り渡しているのだ。

「アテンションエコノミー」を耳にしたことがあるだろうか。これは、「人々の注目や関心を集めること」そのものが価値を生み出すビジネスモデルを指す。人々の視線や関心が「資本」として流通し、広告やメディアに活用され、最終的には消費行動を促進するツールとなるのである。

事業者は、人々の注目や関心を引くために個人の「情報」を利用する。わたしたちがどんなサイトを訪れて、どんな言葉を検索して、どんな商品を閲覧して何を購入しているのか……。こうしたデータはすべてスマホに記録され、テック企業に送られているのである。

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要約公開日 2025.08.27
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