総務省の「令和3年情報通信白書」によると、平日の「インターネット利用時間」が「テレビ(リアルタイム)視聴時間」をすべての年代において上回った。これは、調査開始以降初めてのことである。
平日のネット平均利用時間は約168分、10代と20代に至っては200分を超えている。わたしたちは、かなりの時間をインターネットに費やしているのだ。
多くの人が利用しているデジタルサービスの大半は、アメリカのビッグテック企業――Alphabet(Google)、Apple、Meta、Amazon、Microsoft(通称「ビッグファイブ」)によって提供されている。2021年におけるビッグファイブの収益は、総額1.4兆ドル。これは、ブラジルやメキシコのGDPに匹敵する規模である。
こうしたデジタルサービスの多くは、“タダ同然”で利用することができる。だが、安いものにはワケがある。わたしたちは無料利用と引き換えに、テック企業に「情報」を売り渡しているのだ。
「アテンションエコノミー」を耳にしたことがあるだろうか。これは、「人々の注目や関心を集めること」そのものが価値を生み出すビジネスモデルを指す。人々の視線や関心が「資本」として流通し、広告やメディアに活用され、最終的には消費行動を促進するツールとなるのである。
事業者は、人々の注目や関心を引くために個人の「情報」を利用する。わたしたちがどんなサイトを訪れて、どんな言葉を検索して、どんな商品を閲覧して何を購入しているのか……。こうしたデータはすべてスマホに記録され、テック企業に送られているのである。
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