私たちはみな、無意識のうちに他者の意見や価値観を取り込んでいる。もし今、あなたが何らかの「生きづらさ」を感じているなら、それは“呪い”のせいかもしれない。本書では、「他者のメッセージが持つ強い影響力」のことを“呪い”と呼ぶ。
私たちの周りには、さまざまな“呪い”が蔓延している。「日本の未来に希望はない」「幸せになるために生きよう」「競争や成長から逃げよ」「情熱を持って仕事をせよ」「人生は遺伝で決まる」――。これらは代表的な“呪い”である。
“呪い”は一見もっともらしく聞こえるが、実は根拠があいまいで、誤解に基づく思い込みによるものがほとんどだ。にもかかわらず、私たちの思考と行動にじわじわと影響を与えていくのでタチが悪い。
本書では、私たちが囚われやすい“呪い”の実態を検証し、無益な呪い合いから距離をとるための方法を考えていく。
「この国には未来がない」「日本は終わっている」。そんな言葉をあちこちで聞くようになった。長きにわたって経済が停滞する日本では、未来を悲観する声が後を絶たない。識者たちは「日本が先進国であった時代は終わり、これまでのやり方を踏襲していたら日本は絶滅してしまう」と声高に叫ぶ。
だが、それは確かなのだろうか。この国の未来には、本当に絶望しかないのだろうか。
日本にまつわる“絶望系の呪い”のひとつに、「日本は貧しい国になった」というものがある。その裏付けとしてよく持ちだされるのが、「1人あたりGDP」だ。
日本の1人あたりGDPは、2000年に世界2位だったのが、2023年には34位まで下がっている。今後も下がり続けることが予測されており、ゆえに「日本は貧しい国」だと言われるようだ。
しかし、この指標のみで国の豊かさを判断するのは早計である。なぜなら、日本にとって不利な結果が出やすいからだ。
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