多くの人が誤解しているが、社長を知るにあたって特別なルートや内部情報は必要ない。重要な情報の大半は、誰もが目にできる「公開情報」に眠っている。
著者がまず確認するのは社長の「プロフィール(経歴)」だ。あの短い文章の中に本質を探るカギが隠されている。
たとえば学歴は、社長の経営スタイルやコミュニケーションを理解するうえで大きな鍵となる。
特に注目すべきは「どの大学を出たか」ではなく、「どのような経路で入学したか」という背景だ。地元で一番の大学を選んだのか、あるいは目的や野望を持ってあえて遠方の大学を選んだのか。そうした選択からもその人物のモチベーションや価値観が浮かび上がる。
京大出身の社長なら、「関西圏出身で京大を目指した」のか、それとも「あえて関西圏外から京大を選んだ」のかで印象は大きく異なる。関西圏出身者の進学は地元志向と解釈できる一方、遠方から京大を選ぶ人には、独特の知的好奇心や個性を備え、お金や名誉、出世よりも未知への探求心に突き動かされる傾向がありそうだ。こうした人物はビジネスの現場でも独自の切り口を発揮することが多い。
出身高校もまた重要な視点である。著者にとっては、「地方公立か、都会の中高一貫の私立か」という軸が、社長像を理解する際の大きなフィルターだ。
ここで重視するのは偏差値ではなく、「どんな世界を見て育ったか」という点だ。たとえば地元のトップ公立高校出身者は、バランス感覚に優れ、幅広い社会層を理解しやすい傾向がある。
公立高校出身の生徒の多くは地域の公立中学を経由しており、そこには裕福な家庭の子も貧しい家庭の子も、成績優秀な子もヤンキーもいる。その環境で「世の中には様々な人がいる」と実感した経験は、幅広い顧客を相手にする経営において、大きな強みとなる。
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