株で儲けたきゃ「社長」を見ろ!
株で儲けたきゃ「社長」を見ろ!
いちばん大切なのに誰も教えてくれない投資の王道
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株で儲けたきゃ「社長」を見ろ!
ジャンル
出版社
出版日
2025年08月12日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

株を買うとき、決算書やIR資料にばかり目を向けてはいないだろうか。もちろん数字の分析は必須だが、それだけでは未来を予測するには不十分である。本書によると、見るべきは「社長」だ。

著者の田端信太郎氏は、NTTデータを経てリクルートへ転じ、R25を立ち上げた。ライブドアに入社したのちはlivedoorニュースを統括、さらにコンデナスト・デジタルではVOGUEやWIREDのWebサイトとデジタルマガジンの収益化を推進するなど、多彩な実績を持つ人物である。その後も旧LINEの執行役員、ZOZOのコミュニケーションデザイン室長を歴任し、現在はアクティビスト投資家として活動中と、幅広いビジネス経験と豊かな人脈が本書の分析に厚みを与えている。

本書で示される視点は具体的かつユニークだ。学歴や出身高校から価値観を読む、秘書や右腕の在り方から組織文化を探る、決算説明会や不祥事対応における登場タイミングから胆力を見極める――いずれも表面的な情報の裏に潜む「人間の本質」を映し出す。さらに、ファッションや部下の呼び方といった一見些細な視点からも、人望の有無やカルチャーを判断できることに気づかされる。

数字以上に雄弁に企業の姿を語る存在が「社長」であり、企業のカルチャーは社長という人間のあり方にもっとも色濃く反映されるのだ――本書を読んで、そのシンプルな事実に気づかされた。株式投資を数字だけで捉えてきた人ほど、この一冊で企業を見る眼が一変するはずだ。

著者

田端信太郎(たばた しんたろう)
1975年、石川県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。NTTデータを経てリクルートへ。フリーマガジン「R25」を立ち上げる。ライブドア入社後、livedoorニュースを統括。2010年からコンデナスト・デジタルでVOGUE、GQ JAPAN、WIREDなどのWebサイトとデジタルマガジンの収益化を推進。その後、NHN Japan(旧LINE)執行役員、株式会社ZOZOコミュニケーションデザイン室長などを経て、現在はアクティビスト投資家に。YouTubeチャンネル「田端大学 投資学部」を配信中。著書に『これからの会社員の教科書』『これからのお金の教科書』(以上、SBクリエイティブ)、『ブランド人になれ!』(幻冬舎)など。

本書の要点

  • 要点
    1
    社長を知るのに特別なルートや内部情報は必要ない。まずは誰にでもアクセス可能な「公開情報」に注目するべきだ。
  • 要点
    2
    秘書を見れば、その企業のカルチャーや社長の人間性が鮮明に浮かび上がる。
  • 要点
    3
    決算説明会や炎上時の記者会見など、社長がどんな場面で姿を見せるのかに注目すると、経営者としての覚悟や人間性を知る手掛かりが得られる。

要約

公開情報から社長を知る

どのような経路でその大学を選んだのか
sengchoy/gettyimages

多くの人が誤解しているが、社長を知るにあたって特別なルートや内部情報は必要ない。重要な情報の大半は、誰もが目にできる「公開情報」に眠っている。

著者がまず確認するのは社長の「プロフィール(経歴)」だ。あの短い文章の中に本質を探るカギが隠されている。

たとえば学歴は、社長の経営スタイルやコミュニケーションを理解するうえで大きな鍵となる。

特に注目すべきは「どの大学を出たか」ではなく、「どのような経路で入学したか」という背景だ。地元で一番の大学を選んだのか、あるいは目的や野望を持ってあえて遠方の大学を選んだのか。そうした選択からもその人物のモチベーションや価値観が浮かび上がる。

京大出身の社長なら、「関西圏出身で京大を目指した」のか、それとも「あえて関西圏外から京大を選んだ」のかで印象は大きく異なる。関西圏出身者の進学は地元志向と解釈できる一方、遠方から京大を選ぶ人には、独特の知的好奇心や個性を備え、お金や名誉、出世よりも未知への探求心に突き動かされる傾向がありそうだ。こうした人物はビジネスの現場でも独自の切り口を発揮することが多い。

出身高校もまた重要な視点である。著者にとっては、「地方公立か、都会の中高一貫の私立か」という軸が、社長像を理解する際の大きなフィルターだ。

ここで重視するのは偏差値ではなく、「どんな世界を見て育ったか」という点だ。たとえば地元のトップ公立高校出身者は、バランス感覚に優れ、幅広い社会層を理解しやすい傾向がある。

公立高校出身の生徒の多くは地域の公立中学を経由しており、そこには裕福な家庭の子も貧しい家庭の子も、成績優秀な子もヤンキーもいる。その環境で「世の中には様々な人がいる」と実感した経験は、幅広い顧客を相手にする経営において、大きな強みとなる。

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要約公開日 2025.09.17
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