子どもが本当に思っていること
子どもが本当に思っていること
子どもが本当に思っていること
出版社
日本実業出版社

出版社ページへ

出版日
2024年04月20日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
4.0
要約全文を読むには
会員登録・ログインが必要です
本の購入はこちら
書籍情報を見る
本の購入はこちら
おすすめポイント

いつも笑顔のやさしいお母さんでいたい――。

それができれば理想だが、ご多聞にもれず子育ては大変だ。とくに子どもが小さいあいだは朝から晩まで息をつく暇もなく、一日が終わるころにはヘトヘトだ。つい叱りすぎてしまい、自己嫌悪に陥ってしまうこともあるだろう。

本書は子育てに悩む親、とくにお母さんに向けて書かれた一冊だ。著者の精神科医さわさんは、児童精神科・心療内科のクリニックを営むかたわら、2人の娘さんを育てている現役ママ。上の娘さんには発達特性があり、現在は不登校だという。そんな著者が、自身の子育てやクリニックに訪れる患者さんから感じ、学んだことを、やさしく語りかけるような筆致でつづっている。

子どもは未熟であるためつい手や口を出してしまいたくなるが、「子どものため」の言動が、彼らの心を傷つけてしまっていることも少なくない。その結果、心を閉ざしたり、問題行動を起こしてしまったりする子もいる。

こんなにがんばっているのに、なぜうまくいかないのか――。泣きたい気持ちになることもあるだろう。でもそれは、親の思いと、子どもが望んでいることが食い違っているからかもしれない。本書では「子どもが本当に思っていること」を紹介しながら、両者のすれ違う心を解きほぐしていってくれる。

もしいま「子育てがうまくいかない」と悩んでいるなら、迷わず本書を手にとってほしい。心が少し軽くなり、新しい気持ちで子どもと向き合っていけるだろう。

ライター画像
矢羽野晶子

著者

精神科医さわ(せいしんかい さわ)
塩釜口こころクリニック(名古屋市)院長。児童精神科医。精神保健指定医、精神科専門医、公認心理師。1984年三重県生まれ。開業医の父と薬剤師の母のもとに育ち、南山中学校・高等学校女子部、藤田医科大学医学部卒業。勤務医時代はアルコール依存症など多くの患者と向き合う。発達ユニークな娘2人をシングルで育てる母でもあり、長女の不登校と発達障害の診断をきっかけに、「同じような悩みをもつ親子の支えになりたい」と2021年に塩釜口こころクリニックを開業。開業直後から予約が殺到し、現在も月に約400人の親子を診察。これまで延べ5万人以上の診療に携わる。患者やその保護者からは「同じ母親としての言葉に救われた」「子育てに希望が持てた」「先生に会うと安心する」といった声が多く寄せられ、「生きる勇気をもらえた」と涙を流す患者さんも多い。YouTube「精神科医さわの幸せの処方箋」(登録者10万人超)、Voicyでの毎朝の音声配信も好評で、「子育てや生きるのがラクになった」と幅広い層に支持されている。著書にベストセラー『子どもが本当に思っていること』『「発達ユニーク」な子が思っていること』(いずれも日本実業出版社)、監修に『こどもアウトプット図鑑』(サンクチュアリ出版)がある。
塩釜口こころクリニック https://shiogamakokoro.com
精神科医さわHP https://dr-sawa.net/

本書の要点

  • 要点
    1
    子どもの不安をあおるような言葉でコントロールしようとすることは、一時的には効果があるが、長期的には悪影響をもたらしてしまう。
  • 要点
    2
    お母さんが笑顔でいると、子どもは「自分はここにいてもいいんだ」と安心することができる。
  • 要点
    3
    受験に落ちても親が失敗だと思わなければ、子どもは希望を持つことができる。子どもが自信を失うような声かけは、決してすべきではない。
  • 要点
    4
    子どもがただそこにいてくれるだけで幸せだということ。それを言葉にして伝えよう。

要約

子どもは安心したい

「さっきと言ってることがちがうんだけど」

子どもは大人の嘘に敏感だ。たとえば、お母さんに「遊びに行く前に、さっさと宿題をやってしまいなさい」と言われたから素早く終わらせたけど、あとになって「まちがいだらけじゃない! 適当にやるんじゃない!」と叱られた。また、「怒らないから正直に言ってごらん」という言葉を信じて友達をたたいてしまったことを打ち明けたら、ひどく怒られた――。

このような、伝えたメッセージと実際の言動に矛盾がある状態を「ダブルバインド(二重拘束)」という。大人は無意識にやってしまいがちだが、子どもは敏感にその矛盾を感じとる。

子どもはダブルバインドに直面すると、混乱して「自分はなにをやってもダメなのか」と感じるようになる。そのため、もし「早く宿題をしなさい」と言ったなら、まずは、早く宿題をすませたことを認めてあげなければならない。それをしないで別の要求をすると、子どもは心理的に混乱し、親に対して不信感を抱くようになる。

親に嘘をついている自覚はないかもしれない。しかし、子どもが期待通りの行動をしなければ、矛盾する言動をとっていることがある。子どもは親をよく見ている。自身の言動に矛盾がないかを、振り返ってみてほしい。

「こんなふうだから、友だちができないの?」
FangXiaNuo/gettyimages

「悪い子は置いていくよ!」「○○しないと鬼が来るから」。

子どもの不安をあおって、行動をコントロールしようとしていないだろうか。実際には、「置いていくこと」も「鬼が来ること」もない。だが、それを理解しているのは大人だけで、子どもにわかるわけはない。

もっと見る
この続きを見るには...
残り3423/4092文字

4,000冊以上の要約が楽しめる

要約公開日 2025.10.11
Copyright © 2025 Flier Inc. All rights reserved.
一緒に読まれている要約
愛される書店をつくるために僕が2000日間考え続けてきたこと キャラクターは会社を変えられるか?
愛される書店をつくるために僕が2000日間考え続けてきたこと キャラクターは会社を変えられるか?
ハヤシユタカ
決定版 「稼げる営業」と「ダメ営業」の習慣
決定版 「稼げる営業」と「ダメ営業」の習慣
菊原智明
「就職氷河期世代論」のウソ
「就職氷河期世代論」のウソ
海老原嗣生
すばらしいクラシック音楽
すばらしいクラシック音楽
車田和寿
現代語訳 福翁自伝
現代語訳 福翁自伝
福澤諭吉齋藤孝(編訳)
AI分析でわかった 仕事ができる人がやっている小さな習慣
AI分析でわかった 仕事ができる人がやっている小さな習慣
越川慎司
増補改訂版 フィードバック入門
増補改訂版 フィードバック入門
中原淳
新版 エスキモーに氷を売る
新版 エスキモーに氷を売る
ジョン・スポールストラ佐々木寛子(訳)