子どもが本当に思っていることの表紙

子どもが本当に思っていること


本書の要点

  • 子どもの不安をあおるような言葉でコントロールしようとすることは、一時的には効果があるが、長期的には悪影響をもたらしてしまう。

  • お母さんが笑顔でいると、子どもは「自分はここにいてもいいんだ」と安心することができる。

  • 受験に落ちても親が失敗だと思わなければ、子どもは希望を持つことができる。子どもが自信を失うような声かけは、決してすべきではない。

  • 子どもがただそこにいてくれるだけで幸せだということ。それを言葉にして伝えよう。

1 / 3

子どもは安心したい

「さっきと言ってることがちがうんだけど」

子どもは大人の嘘に敏感だ。たとえば、お母さんに「遊びに行く前に、さっさと宿題をやってしまいなさい」と言われたから素早く終わらせたけど、あとになって「まちがいだらけじゃない! 適当にやるんじゃない!」と叱られた。また、「怒らないから正直に言ってごらん」という言葉を信じて友達をたたいてしまったことを打ち明けたら、ひどく怒られた――。

このような、伝えたメッセージと実際の言動に矛盾がある状態を「ダブルバインド(二重拘束)」という。大人は無意識にやってしまいがちだが、子どもは敏感にその矛盾を感じとる。

子どもはダブルバインドに直面すると、混乱して「自分はなにをやってもダメなのか」と感じるようになる。そのため、もし「早く宿題をしなさい」と言ったなら、まずは、早く宿題をすませたことを認めてあげなければならない。それをしないで別の要求をすると、子どもは心理的に混乱し、親に対して不信感を抱くようになる。

親に嘘をついている自覚はないかもしれない。しかし、子どもが期待通りの行動をしなければ、矛盾する言動をとっていることがある。子どもは親をよく見ている。自身の言動に矛盾がないかを、振り返ってみてほしい。

「こんなふうだから、友だちができないの?」

FangXiaNuo/gettyimages

「悪い子は置いていくよ!」「○○しないと鬼が来るから」。

子どもの不安をあおって、行動をコントロールしようとしていないだろうか。実際には、「置いていくこと」も「鬼が来ること」もない。だが、それを理解しているのは大人だけで、子どもにわかるわけはない。

もっと見る
この続きを見るには...
残り3423/4092文字

4,000冊以上の要約が楽しめる

要約公開日 2025.10.11
Copyright © 2025 Flier Inc. All rights reserved.

一緒に読まれている要約

すぐ役に立つものはすぐ役に立たなくなる
すぐ役に立つものはすぐ役に立たなくなる
荒俣宏
「就職氷河期世代論」のウソ
「就職氷河期世代論」のウソ
海老原嗣生
愛される書店をつくるために僕が2000日間考え続けてきたこと キャラクターは会社を変えられるか?
愛される書店をつくるために僕が2000日間考え続けてきたこと キャラクターは会社を変えられるか?
ハヤシユタカ
しんどい世の中でどうすれば幸せになれますか?
しんどい世の中でどうすれば幸せになれますか?
橘玲樺山美夏
休息する技術
休息する技術
菅原道仁
Z世代の頭の中
Z世代の頭の中
牛窪恵
「わかってもらう」ということ
「わかってもらう」ということ
川添愛
「月曜の朝がつらい」がなくなる本
「月曜の朝がつらい」がなくなる本
森下克也

同じカテゴリーの要約

壁打ちは最強の思考術である
壁打ちは最強の思考術である
伊藤羊一
しんどい世の中でどうすれば幸せになれますか?
しんどい世の中でどうすれば幸せになれますか?
橘玲樺山美夏
とりあえずやってみる技術
とりあえずやってみる技術
堀田秀吾
無料
肩書がなくても選ばれる人になる
肩書がなくても選ばれる人になる
有川真由美
子どもが本当に思っていること
子どもが本当に思っていること
精神科医さわ
忘我思考
忘我思考
伊藤東凌
ハーバード、スタンフォード、オックスフォード… 科学的に証明された すごい習慣大百科
ハーバード、スタンフォード、オックスフォード… 科学的に証明された すごい習慣大百科
堀田秀吾
ハーバードの心理学講義
ハーバードの心理学講義
ブライアン・R・リトル児島修(訳)
なぜあの人は同じミスを何度もするのか
なぜあの人は同じミスを何度もするのか
榎本博明
1つの習慣
1つの習慣
横山直宏