

本書では「わかってもらうこと」を「言葉を使うことで、他人や自分自身とうまくやっていくこと」と考える。理想は「言葉を使うことで、自分と他人の両方が幸せになること」だが、その第一歩として「わかってもらうこと」を位置づけている。
人間は、他人と関わることなしに生きていくことができない。直接やりとりする身近な人はもちろん、一生会うこともない膨大な人々と、さまざまな形で関わり合い、助け合って私たちは生きている。他人と関わり合う上で、強力な手段となるのが言葉だ。
「わかってもらう」には、どんな言葉を使ってもいいというわけにはいかない。コミュニケーションは話し手と聞き手、双方の協力により成り立つものであり、聞き手に一方的に理解を強いるのはコミュニケーションとはいえない。同時に、他人とうまくやっていくために自分の本心を犠牲にすることとも違う。他人と自分、自分と自分の関係を調整する上で、うまい「落としどころ」となる言葉の使い方を考えるのが本書の目指すところだ。

わかってもらうために絶対に必要なのは、「ある程度の信頼関係」だ。
良好な関係を築くのは容易いことではないが、嫌われるのは簡単だ。敬意を示さないようにすればいい。誰でも、「自分に敬意を払わない人」なら簡単に思い浮かべられるはずだ。しかし怖いのは、自分が他人に敬意を払っていないことに、自分ではなかなか気づけないことだ。著者自身も、相手に指摘されてハッとした経験がある。自分が知らず知らずのうちに敬意を欠いた言動をしていないか、こまめにチェックするしかない。

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