


ビジネスにおける意思決定で欠かせないのは、「利益をどのくらい上げられるか」という視点だ。利益を最大化するためには、どのような選択をすればいいのだろうか。次の事例を見てみよう。
スタートアップ企業の経営者である3人(根来君、山田君、谷口さん)が、あなたの元に「運転資金を貸してほしい」とやってきた。彼らは一律に「200万円を貸してほしい」とのことだったが、金利はそれぞれ違っていた。根来さんは年10%、山田君は年15%、そして谷口さんは年20%であった。
一方で、あなたは400万円しか持っていないため、貸せるのは2人までである。そこに金融業を営む内田君が「お金が足りないなら貸してもいいよ。ただし、金利は年17%ね」と言ってきた。さて、どうすればいいだろうか?
まず考えつくのは、内田君から200万円を借りて、3人全員に200万円ずつ貸してあげることだ。しかし「利益の最大化」という視点から言うと、それは正しいとは言えない。
この問題の正解を得るためには、次の順番で考える必要がある。
(1)手元の400万円で最大利益を上げる選択は何か
この答えは、「利率の高い人から順に貸していくこと」。つまり、年利の大きい谷口さんと山田君に200万円ずつ貸し、根来君には諦めてもらう。
(2)内田君にお金を借りてまで資金提供すべきか否か
谷口さん・山田君からのリターンは合計70万円だ。さらに内田君から200万円借りて根来君に貸すと、プラスで20万円のリターンが見込める。しかし、内田君への返済金が34万円あるため、根来君に貸した場合の最終利益は56万円となる。
谷口さん・山田君だけに貸していた場合のリターンが70万円だと考えると、内田君からお金を借りてまで根来君に貸すと損してしまうため、「利益の最大化」を目指すなら資金提供すべきではない。
意思決定の際には、競争相手の動向もチェックしなければならない。「これは売れる!」と商品を大々的に売り出したとしても、相手の商品のほうが魅力的であれば、お客さんはそちらを購入するからだ。
では、次の事例を考えてみよう。
牛丼チェーン業界でライバル関係にある、吉野家、松屋、すき家。3社にはそれぞれ特徴があり、老舗の吉野家に対し、松屋はカレーや定食などバラエティに富んだメニューを展開。そしてすき家は、牛丼の具を工夫するなどで差別化をしてきた。
さて、ここで問題だ。すき家と松屋が相次いで牛丼の値下げをした。吉野家は、この2社に合わせて値下げをすべきだろうか? 経営者になったつもりで考えてみよう。

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