そろそろ論語
物事の本質がわかる14章の旅
そろそろ論語
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そろそろ論語
出版社
日本実業出版社

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出版日
2025年11月10日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

「いつか論語を読もう」と思いながらもページを閉じたままの人は少なくないだろう。「そろそろ教養として論語に触れておきたい」と一念発起したものの、1ページ目で挫折した経験のある人も、それと同じくらいいるはずだ。本書はそんなあなたに向けて書かれた一冊である。

著者の浅田すぐる氏は、トヨタ自動車の海外営業部門やグロービス社長室といったビジネスの最前線でキャリアを積み、独立後は国内外で社会人の学びと成長を支援してきた。『トヨタで学んだ「紙1枚!」にまとめる技術』を皮切りに、『頭のいい人の、学びを「20字」にまとめる技術』などのベストセラーを多数生み出した人気作家でもある。

そんな浅田氏の座右の書の1冊が『論語』だ。大学生のときに「さすがに一通り読んで理解しておかないと、これから何を読むにせよ支障が出てくるに違いない」といった問題意識から手に取った浅田氏は、「うーん、全然わからん……」という感想を抱いたそうだ。だがその後、何度も『論語』に触れて職業観や仕事観を磨き続け、日々の人間関係や様々な悩みに活きるヒントを得てきたという。

浅田氏は本書の冒頭で、『論語』を読む上で押さえておきたい5つの誤解を紹介している。そのうちの1つが「『論語』は1ページ目から順番に読む書物ではない」だ。

断言できる。『論語』の最初のページでつまずいた人でも、この本ならすらすら読めるし、自分の生活や仕事、価値観と『論語』をつなげながら、AI時代にも通じる普遍的な学びをつかめるだろう。『論語』ワールドの最初の一歩として、本書を手に取ってほしい。

著者

浅田すぐる(あさだ すぐる)
文筆家。学習・成長・キャリア支援家。
1982年名古屋市出身。旭丘高校、立命館大学卒。カナダ・ブリティッシュコロンビア大学留学。
20代はトヨタ自動車の海外営業部門にて米国勤務、グロービス社長室にてWebPR等に従事。
30歳を機に独立し、社会人のスキル・キャリア学習を支援。古巣のトヨタ、グロービスをはじめ、電通、資生堂、パナソニック等、登壇実績多数。海外でも中国・カンボジアで登壇。累計受講者数1.5万人超。
2015年『トヨタで学んだ「紙1枚!」にまとめる技術』で出版デビュー。ビジネス書ランク月間1位、年間4位を獲得。その後も『頭のいい人の、学びを「20字」にまとめる技術』等ベストセラー多数。全13冊、著者累計61万部超、海外5カ国翻訳。
40歳を機に海外教育移住し、現在はマレーシア在住。音声メディアVoicyにて教育や子育て・キャリア上の学び・気づきを放送中。公式メールマガジンは読者数2万人超。10年以上にわたり1,500号以上配信を継続している。
詳細・お問い合わせ先:https://asadasuguru.com/

本書の要点

  • 要点
    1
    『論語』では、「自ら考えようとしない学習者に教えても意味がない」といったことが書かれている。受動的な学習姿勢では、学びは得られないのだ。
  • 要点
    2
    人間関係の極意は、相手の感情や考えを洞察することにある。相手の心を真剣に推しはかり、自分の考えや世間的に無難な答えではなく、相手にとって本当に必要な応答を導き出すことが大切だ。
  • 要点
    3
    多くの『論語』の解説本では、「仁(じん)」が『論語』最大のキーワード」とされている。仁とは「思いやり」である。

要約

『論語』と「学び」の本質

発憤――『論語』と「自己啓発」
maruco/gettyimages

自己啓発の「啓発」という語と『論語』とのあいだには、深い結びつきがある。実際の引用を見てみよう。

[書き下し文]

子(し)の曰わく、憤(ふん)せずんば啓(けい)せず。悱(ひ)せずんば発(はっ)せず。一隅(いちぐう)を挙(あ)げてこれに示(しめ)し、三隅(さんぐう)を以(もっ)て反(か)えらざれば、則(すなわ)ち復(ま)たせざるなり。

[現代語訳]

先生がいわれた、「〔わかりそうでわからず、〕わくわくしているのでなければ、指導しない。〔言えそうで言えず、〕口をもぐもぐさせているのでなければ、はっきり教えない。一つの隅をとりあげて示すとあとの三つの隅で答えるというほどでないと、くりかえすことをしない。」

原文はこのようになっている。

「不憤不啓(ふふんふけい) 不悱不発(ふひふはつ)」

自己啓発の「啓発」は、じつはこの章句の2字を取って生まれた語である。したがって、「学びの本質」に迫るためには、「啓」と「発」だけでなく、「憤」と「悱」をセットにして理解する過程が欠かせない。

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要約公開日 2025.11.14
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