本書の要点

  • カブトムシは有機廃棄物を食料とし、それ自身が優れたタンパク質になる。宇宙の分野では有機物の再利用についての積極的な議論はこれからであるため、カブトムシの技術が活かせるかもしれない。

  • 雑草は環境の変化にうまく適応することによって勢力を一気に拡大できる。一方、変わらないと思われがちだが、変化に敏感なのが老舗企業だ。

  • 人の様々なライフスタイルに応じた働き方がウェルビーイングにつながる。生産性が課題となったビジネスの現場では「会社のUX」、つまり働き方の体験の変革がカギとなる。

1 / 4

「×(かける)」の重要性

知の組み合わせは面白い

激しい変化の荒波にさらされる現代、日本人に求められているのは「個人のイノベーション」といえる。今後は、新しいものの発想力をもって挑戦していくしかない。こうした発想力は「知の探索(=ハイブリット思考)」といえるだろう。新しいアイデアは、既存の知と既存の知の掛け合わせによって生み出されていく。

人の認知には限界があり、つい自分が観測できる範囲で知を組み合わせがちになる。これからの時代、一つの専門性だけではなく異なる分野の知見・アイデアを組み合わせることが不可欠といえる。「知の探索」はアメリカやヨーロッパの研究分野において重要な概念で、日本でも浸透しつつある。

「離れた知」の突飛な組み合わせは面白い。本書を読めばそれが理解できる。そうした組み合わせにも驚くような共通点や新たな視点があることが、パーソナリティを務める入山章栄氏のファシリテーションによって明らかになっていく。「面白い」と感じた組み合わせを楽しむからこそ継続的に新しいアイデアが生まれ、その結果として仕事やキャリア形成に活かせるのだ。浜松町イノベーションカルチャーカフェ(浜カフェ)はまさにそんなハイブリッドな対話の場である。

2 / 4

宇宙×カブトムシ

ふたりの石田

adventtr/gettyimages

石田真康氏(宇宙の石田、以下石田〈宇〉)は宇宙産業を発展させる活動をしている。石田〈宇〉氏はスペースタイドという組織を立ち上げていて、「宇宙ビジネスカンファレンス」では宇宙に関わる人が一堂に会して議論する。

一方、石田陽佑氏(カブトムシの石田、以下石田〈カ〉)は「TOMUSHI(以下トムシ)」の代表で、カブトムシの可能性を広げようとしている。

もっと見る
この続きを見るには...
残り3116/3819文字

4,000冊以上の要約が楽しめる

要約公開日 2025.11.08
Copyright © 2025 Flier Inc. All rights reserved.

一緒に読まれている要約

ベンチャー人事のすごい仕組み
ベンチャー人事のすごい仕組み
村上亮
できるリーダーが意思決定の前に考えること
できるリーダーが意思決定の前に考えること
内田和成
オズの魔法使い
オズの魔法使い
ライマン・フランク・ボーム
伝え上手になりたい
伝え上手になりたい
小川奈緒
夜、寝る前に読みたい宇宙の話
夜、寝る前に読みたい宇宙の話
野田祥代
決定版 バフェットの投資哲学がマンガで3時間でマスターできる本
決定版 バフェットの投資哲学がマンガで3時間でマスターできる本
桑原晃弥べじこ(マンガ)
伝わるコツ
伝わるコツ
山本渉
「自分には価値がない」の心理学
「自分には価値がない」の心理学
根本橘夫

同じカテゴリーの要約

新版 エスキモーに氷を売る
新版 エスキモーに氷を売る
ジョン・スポールストラ佐々木寛子(訳)
【新】100円のコーラを1000円で売る方法
【新】100円のコーラを1000円で売る方法
永井孝尚
小澤隆生 起業の地図
小澤隆生 起業の地図
北康利
15秒!集客革命
15秒!集客革命
仲野直紀
経営者のための正しい多角化論
経営者のための正しい多角化論
松岡真宏
ユニクロ
ユニクロ
杉本貴司
心理的安全性のつくりかた
心理的安全性のつくりかた
石井遼介
地頭力を鍛える
地頭力を鍛える
細谷功
起業の天才!
起業の天才!
大西康之
実践版 孫子の兵法
実践版 孫子の兵法
鈴木博毅