すぐやる! 「行動力」を高める“科学的な"方法
すぐやる! 「行動力」を高める“科学的な"方法
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すぐやる! 「行動力」を高める“科学的な"方法
出版社
出版日
2016年07月29日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

やらなければならないことがあるが、なかなか行動に移せない。そんな悩みを抱えている人も多いはずだ。本書では、すぐにやらない原因は「性格」でも「やる気」でもなく、脳がその段階に至っていないからだと説明する。つまり、すぐにやるスキルは先天的なものではなく、後天的なものであり、今からでも身につけられるということである。

その脳の仕組みについて、作業療法士でもある著者が、患者に対するリハビリテーションから得た知見をもとに解説している。たとえば脳の損傷で体が動かなくなってしまった際、問題となるのは動かない体ではなく、それを動かす「脳」に問題があると考える。そのため、リハビリテーションでは体を動かしていくのではなく、脳を動かしていくように治療するのだという。この際に使われるのが「経験的な言葉」である。「主観的な言葉」や「客観的な言葉」での呼びかけでは効果のなかった患者が、「経験的な言葉」で呼びかけると、それまでとは反応が変わる。それまで腕を動かせなかった人が、動かせるようになっていく。そんな様子自体も興味深いが、それを日常の「すぐやる」ことにも応用しようというのが本書の面白いところだ。

根性論に頼らず、科学的な視点から、「すぐやる」ための改善策を提示しているので、「自分にもできそう」と思える内容が多い。「すぐやる」ことに挫折してきた人にも、参考にできることの多い一冊である。

ライター画像
安齋慎平

著者

菅原洋平(すがわら ようへい)
作業療法士。ユークロニア株式会社代表。
1978年、青森県生まれ。国際医療福祉大学卒業後、作業療法士免許取得。民間病院精神科勤務後、国立病院機構にて脳のリハビリテーションに従事。その後、脳の機能を活かした人材開発を行うビジネスプランをもとに、ユークロニア株式会社を設立。現在、ベスリクリニック(東京都千代田区)で外来を担当する傍ら、企業研修を全国で展開し、その活動はテレビや雑誌などでも注目を集める。
著書には、13万部を突破した『あなたの人生を変える睡眠の法則』(自由国民社)など多数がある。
本書では、脳の機能に基づいた「やるべきことを面倒くさがらずにすぐやる方法」を提案。簡単なコツで、誰でも今すぐ行動力を上げることができる。やるべきことをすぐにできないのは、性格ややる気の問題ではなく、脳の使い方に原因があることを、科学的根拠と最新の脳科学から読み解く。
http://activesleep.net

本書の要点

  • 要点
    1
    やるべきこと以外に気を取られてしまうなら、脳に「他のもの」を見せること自体を避けなければならない。
  • 要点
    2
    リハビリテーションでは、経験している通りの言葉を患者さんから引き出し、その状態からいかに体を動かせるようになるかを検討していく。この手法は、すぐやる力を上げるために応用できる。
  • 要点
    3
    人には相手の話からキーワードだけを拾い、脳内に用意してある文法で理解する「メンタル文法」が備わっている。自分のモチベーションを上げる言葉を見つけ、新しいメンタル文法をつくることで、すぐに行動を起こせる脳をつくることができる。

要約

【必読ポイント!】 「やるべきこと」にすぐ手をつける

起床から4時間後、頭はスッキリと冴えているか

脳を「すぐやる」モードに変えるために確認したいことがある。それは、「起床から4時間後に頭がスッキリと冴えているか」ということだ。

起床から4時間後は、人間の脳の活動が1日でもっとも活発になる時間帯だ。その時間帯に頭が働いていないのであれば、それは脳の活動そのものが低下しているということだ。「すぐやる」モードになるための働きかけもうまくはいかない。

脳を活性化し、高いパフォーマンスを出すためには、睡眠が重要だ。脳の働きが活発な状態で、脳に的確な情報を入れれば、体も適切に反応を返してくる。この状態になっていないのに生産性を上げようと試みても、無理が生じる。

睡眠は長ければいいというものではない。適切な睡眠の量は、生まれ持った遺伝子や年齢、日照時間によっても変わってくる。「その日の自分」にとってちょうどいい睡眠時間や脳の活性度の管理には、起床4時間後のパフォーマンスを基準にするのがおすすめだ。

脳に「別のもの」を見せてしまったら手遅れ
Hiraman/gettyimages

帰宅後になんとなくつけたテレビを見ていたら、想定以上の時間がすぎてしまった——。そんなふうに、「すぐやるべきことがあったのに、気づいたら別のことをしていて時間がなくなってしまった」という経験は誰にでもあるはずだ。

脳は目から入った情報に大きな影響を受けている。脳に見せてしまったものは、なかなか覆すことができない。「見せてしまったらもう手遅れ」なのだ。

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要約公開日 2025.11.10
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