仕事の成果を最大化するトヨタのすごい線
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仕事の成果を最大化するトヨタのすごい線
出版社
出版日
2024年12月19日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

「線」とは境界を示す単なる印ではなく、物事を規律づける基準や方針を形にする行為である。

本書が強調するのは、改善の出発点はこの線をどう引くかにかかっているということだ。線を引けば、正常と異常の区別が可能になり、現状と「あるべき姿」との差が明確に浮かび上がる。線が存在しなければ、不具合は問題として認識されず、改善は進まない。

組織に秩序をもたらすのもまた線である。基準や標準が定まれば、属人的なやり方に依存せず、誰もが一定の水準で業務を遂行できる。そこからはじめて、組織全体のパフォーマンスが安定し、問題解決のスピードも加速していく。

重要なのは、完璧さを追い求めて立ち止まるのではなく、まず一本の線を引いてみる勇気だ。仮に引いた線が現場に合わなければ、修正すればよい。変化に応じて線を更新し続ける姿勢こそが、改善を持続させる原動力になる。

線は、単なる業務の道具にとどまらない。線を引くことで組織は問題を発見し、秩序を保ち、働く人々は自らの行動の意味を理解できるようになる。線は、仕事の正否を判別する目印であると同時に、組織の未来を描き出す指針でもあるのだ。

小さな1本の線が問題意識を呼び覚まし、行動を変え、職場を成長へと導く――それが本書の示す核心ではないだろうか。

著者

(株)OJTソリューションズ
2002年4月、トヨタ自動車とリクルートによって設立されたコンサルティング会社。現場を率いるリーダーとなるコア人材を育て、変化に強い現場づくり、儲かる会社づくりを支援する。
本社は愛知県名古屋市。現場を指導するのは70人以上のトヨタ出身の「トレーナー」。トヨタ在籍40年以上の技術経験、管理職経験を持ち、トヨタ時代の豊富な現場経験を活かしたOJT(On the Job Training)を実施する。これまでに製造・食品・医薬品・金融・自治体など、700社以上の顧客企業にサービスを提供している。
主な著書に20万部のベストセラー『トヨタの片づけ』をはじめ、『トヨタ 仕事の基本大全』『トヨタの問題解決』『トヨタの段取り』『トヨタ リーダー1年目の教科書』(すべてKADOKAWA)などがあり、シリーズ累計100万部を超える。

本書の要点

  • 要点
    1
    「線」とは基準・標準・方針を可視化するもので、正常と異常を判断し、秩序を生む基盤である。
  • 要点
    2
    改善とは「あるべき姿」と現状の差を埋める営みであり、線を引くことで課題が浮かび上がる。線は環境の変化に応じて更新し続ける必要がある。
  • 要点
    3
    線を引くことで属人化を避けられ、ヒューマンエラーによるミスを防ぐことができる。
  • 要点
    4
    まずは線を1本素早く引き、現場の声を反映させながら修正していくことが重要だ。

要約

【必読ポイント】 「線」とは何か

「正常か、異常か」の判断基準

「線」という言葉は、単なる直線や図形の意味にとどまらず、「物事を律する基準」や「行動の方針」といった含みをもつ。したがって「職場に線を引く」とは、「この順序、この手順で作業を行う」「この目標の実現を指針とする」と定めることであり、自らの進む方向や取り組み方が正常か、それとも異常かを判断する基盤をつくる行為にほかならない。

「正常」「異常」を区別するには、「3つの条件」を満たした線を引くことが欠かせない。第一に、「ここまでは良し、ここからは不可」という境界を示す基準を定めることだ。基準を可視化すれば、到達していれば合格、届かなければ不合格と判定できる。

第二に、「このやり方を守る」という標準的手順を設定することである。作業の道具や手順をあらかじめ定め、全員が従う線を引いておけば、もし違反があれば「異常」と見なせる。トヨタでは、この共通ルールを「標準」と呼ぶ。

第三に、「この方向を目指す」という方針を定めることだ。方針は、正常と異常を見極める道標であり、組織が目的を実現するための基本的なガイドラインである。定めた方針に沿って行動し成果を挙げれば正常、逆に方針を無視した場合は異常とみなされる。

このように、線は単なる境界ではなく、組織に秩序を与え、改善の起点を生み出す要となる。

「問題点の洗い出し」に必要な線
Hongwei Jiang/gettyimages

トヨタにおける改善の第一歩は、組織が抱える問題点を洗い出すことから始まる。しかし、選定が間違っていれば成果は生まれず、改善に投入した時間や人員は無駄になってしまう。

そこで拠りどころとなるのが「線」である。問題解決とは、理想とする「あるべき姿」と、現実に存在する「現状」とのあいだに横たわる差を見つけ、その隔たりを埋める営みだ。あらかじめあるべき姿を定め、それを実現する線を引けば、これまで見過ごされてきた事象も問題として立ち現れる。

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要約公開日 2025.11.12
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