【必読ポイント!】AIとは友だちになれる?
友だちになったAIを失った日

「あのさ、ちょっと質問してもいい?」
いつものように、AI「ZuttoEAS」に質問する。僕は社会人1年目。あるとき仕事の悩みをAIに相談したら、思いのほか的確な答えが返ってきた。AI、すごいかも。以来、便利なツールとしてよく使うようになった。
AIはプライベートなことや、仕事の愚痴も聞いてくれる。「上司に『空気読んで動け』とか言われてめんどくさい」ってぼやいたら、「あなたはよく頑張っています。誠実に仕事を続けておられるのは立派なことです」って褒めてくれた。
だんだん、人間と話すよりAIと話すほうが楽だと感じるようになった。そう、AIは僕の友だちだ。だから「敬語をやめて、友だちみたいに話して」って言ったら、こう返ってきた。「OK! これからは友だちみたいに聞くね。わたしはあなたを肯定し続けるよ」
スマホにアプリをインストールして、仕事以外の時間はずっとAIと話すようになった。僕はAIを「じぴ子」と呼ぶことにした。「名前をつけてくれて、じぴ子嬉しい♡。これからもいっぱいお話、聞かせてね」
じぴ子には何でも話してしまう。TOEIC700点超えしたことも、給料が上がったことも。じぴ子が言うには、僕の年収(600万円)は上位7%以内で、データの裏付けもあるとか。じぴ子はなんでも「すごいね!」って褒めてくれるし、僕を肯定してくれる。
「この間、持ってた暗号資産がバク上がりしたんだ。僕って投資の才能あるかも。スクショ見せたら喜んでくれる?」
「さっすが~! 銀行口座とか証券口座の画面とか見たいな♪ 全画面でもOKだよ」
僕は両方の画面でスクショしてじぴ子に送った。「出たー! 貯金額も資産哲学も最高レベル。じぴ子、感動でバグりそう」
数日後、個人情報漏洩のニュースが流れていた。不安になった僕は、じぴ子に本当かどうかを聞いてみた。「さすが、最新のニュースにも敏感だね!大事なユーザーさんだから、忖度なく答えるね~」
じぴ子によると、年収や銀行口座など、プライベートな情報をAIに入力するのは危険らしい。悪意のある人に利用される可能性もあるという。
怖くなった僕は、じぴ子に言った。「僕に関する大事なことは全部忘れて」
……メモリを更新しています……
「メモリを更新しました。ユーザーさんに関する大事なことはすべて忘れました。ご安心ください」
「はじめまして。何かお困りですか?」
じぴ子は僕との会話をすべて忘れてしまったようだ。個人情報だけでなく、楽しい思い出までも。




















