【必読ポイント!】 あなたには絵を見る眼がある
「モネっぽさ」と「ピカソっぽさ」はなにで決まるのか

自分には絵を見る眼がない――そう思い込んでいる人は多い。だが、実際には絵を見る眼は多くの人に備わっている。
たとえば印象派のモネとキュビズムのピカソを並べられて、どちらがどちらか見分けられない人はさほどいないだろう。ほとんどの人は「モネっぽさ」「ピカソっぽさ」を認識することができる。
ではその「〇〇っぽさ」はどこから来るのか。モネとピカソの見た目の違いは、大きく分けて5つの要素に現れている。
1つ目は色づかいだ。モネはパステルカラーだが、ピカソはあざやかな原色が使われることが多い。
2つ目は明暗のコントラストである。これは白黒の画像にしてみるとよくわかる。モネは明暗がなだらかに変化するコントラストが低い画風なのに対して、ピカソは暗い色がアクセントになったコントラストが高い。
3つ目は輪郭。モネの絵はぼやっとした印象を与えるが、これははっきりした輪郭を持たないことによる。一方でピカソは形ごとの境界が明瞭で、輪郭線がはっきり見える。
4つ目は形。モネはモコモコした丸っこい有機的な形状に落とし込んで、やわらかく描く。対してピカソの絵は直線的で角張っており、かたい印象を与える。
5つ目の筆触も重要な要素である。筆触とは画家の筆さばきの痕跡を指す言葉だ。モネは小さな筆触で画面を覆っているのに対して、ピカソはフラットな塗りで筆触が目立たない。筆触の違いでも、画面の質感が変わって見える。
これらの要素が絡まり合うことによって「モネっぽさ」「ピカソっぽさ」が生まれている。モネとピカソが見分けやすいのは、それぞれの項目において正反対だからだということができるだろう。
こうした「モネっぽさ」「ピカソっぽさ」のことを「様式(スタイル)」という。絵を見るときは「なにが書かれているか」も重要だが、「どのような様式で描かれているか」に注目することも同じくらい重要なことだ。
様式はたんに見た目の印象を決めるだけではなく、そのような様式が持つ先例のイメージを担うことになる。たとえば絵画をモネのような様式で描くとしたら、モネがそこに込めていた想いや理念も背負うことになる。
絵画の様式を観察していくと、おのずと様式の変遷が見えてくるようになる。すると先行作品をどのように受け継いでアレンジしたのかも見えるようになっていく。様式には、時代ごとのものの見方や、画家の価値観が込められている。それは絵の意味や意図を理解するうえでは、避けて通れないことなのだ。




















