「ビジネスと人権」
遠くて近い「ビジネスと人権」
あなたの会社は「人権侵害」と無縁のビジネスを展開していると言えるだろうか。普段のオフィスを見渡すかぎりであれば、そう言えるかもしれない。
だが、自社製品の原材料や部品がどのような環境で製造され、「取引先の取引先」の従業員がどのような環境で働いているかは知っているだろうか? 「取引先の問題は自分(自社)とは関係ない」という姿勢は黄色信号だ。それは会社にとって深刻な経営リスクを生じさせる可能性がある。
取引先を含むサプライチェーンを通じて、従業員やその他の人々に対する人権侵害が起きないようにする取り組みは、人権デュー・ディリジェンス(以下「人権DD」)と呼ばれる。人権DDの本質・要点を理解できるように解説するのが本書の役割だ。人権DDは、企業に対して、サプライチェーン上で関わりがある限り、取引先における人権問題に加担しないことを、すなわち「他人」の人権状況について考えることを求めている。
世界では約1億3760万人の児童が労働に従事していると推計される。児童労働が蔓延する背景には、その国や地域の貧困があり、本人の努力によって不遇な環境を脱することもままならない。「ビジネスと人権」の概念は、こうした偶然の事情に基づく格差によって生じる人権課題を是正しようとするものだ。これからの社会では、時代に適合した人権感覚を持つことがビジネスパーソンにとって必須となる。




















