イノベーション
イノベーションとは何か

イノベーションとは何か。本書では「経済効果をもたらす革新」、つまり「今までにない新しい価値をつくりだすこと」と定義する。
ここには2つの意味がある。1つは「経済効果」だ。イノベーションを継続させ、広めていくには経済効果をもたらす必要がある。
もう1つは「革新」だ。イノベーションにおける革新とは、今までにない善き取り組みや事象を指す。新しくても「善きこと」でなければ、イノベーションとは呼べない。逆に、「カイゼン活動」のような小さな工夫でも、経済効果をもたらせばイノベーションと言えるのだ。
イノベーションが起きる流れは次のとおりである。まず、個人がイノベーションの芽を思いつき、それが組織に伝播して磨かれる。そして社会に実装され、結果的に経済効果をもたらす革新(=イノベーション)となるのである。
イノベーションの「7つの機会」
マネジメント理論を発明したドラッカーは、イノベーションの創出について、「7つの機会」に注目すべきだと述べている。
(1)予期せぬ成功と失敗を利用する
(2)ギャップを探す
(3)プロセスを見直す
(4)産業構造の変化を知る
(5)人口構造の変化に着目する
(6)認識の変化を捉える
(7)新しい知識を活用する
一例を挙げると、病院向けに開発された麻酔薬が、歯科で偶然ヒットしたというのは「予期せぬ成功と失敗を利用する」にあたる。また、健康食品や運動用品の市場拡大は、「健康は医師任せではなく自分で管理するもの」という「認識の変化」が関係している。
イノベーションに必要な「越境」
イノベーション理論の開祖であるシュンペーターは、著書『資本主義・社会主義・民主主義』の中で、企業内起業家(イントレプレナー)を対象にしたイノベーション創出モデルを提案している。
組織でイノベーションを起こすには、個人が思いつき、チームとして磨き、組織として事業化するというプロセスを辿る。そして、シュンペーターのモデルによると「外的な科学と発明(組織外)」と「内生的な科学と技術(組織内)」との接点が、イノベーションの起点になるという。
著者(井上)はこの理論から、イノベーションの創出には組織内と組織外のコミュニケーション、つまり「越境」が必要だと考える。




















