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本書の要点

  • 柳井正氏は、23歳で宇部商店街の紳士服店を継ぐことを決めた。「暗黒の10年間」を経て、「金の鉱脈」と呼べるユニクロの発明に至った。

  • 製造小売業(SPA)のビジネスモデルに出合った柳井氏は、世界一のアパレルブランドをめざすようになる。新しい才能が柳井氏のもとに集うなか、ロンドン進出は撤退戦を強いられた。

  • ユニクロ世界進出の巻き返しの一歩が、潘寧氏が率いた香港での出店である。一方で、ユニクロはブラック企業と批判され、大きな矛盾と向き合うこととなる。

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無気力青年はなぜ覚醒したのか

親子の確執

柳井正の父である柳井等が小郡商事を設立したのは1949年のことだ。宇部中央銀天街の紳士服店は、典型的な家族経営の零細企業である。等は昔ながらの親分気質で、気性が荒かった。「何でもいいから一番になれ」。柳井は父からの期待とも抑圧ともいえる重圧の中で育ち、逃げ道を求めるように受験勉強に打ち込んだ。そうして手に入れたのが、早稲田大学政治経済学部への切符だった。

だが、柳井少年が旅立った東京は期待とは違っていた。学生運動に熱狂する同世代の若者たちに違和感を抱き、大学から足が遠ざかってしまう。どこまでも無気力で、たまにジャズ喫茶やパチンコ店にぶらりと出かけていく。そんな柳井は、下宿先の大家さんに「寝太郎」というあだ名がつけられるほどだった。

ニート生活の終焉

Instants/gettyimages

柳井は、自由の地アメリカへの憧れから世界一周旅行をしたが、打ち込めるものを見つけられなかった。就職活動ではことごとく落選。見かねた父の斡旋でジャスコに入社した。1971年、ジャスコ本店のあった三重県四日市市へ。雑貨売り場を経て、紳士服売り場に配属された。

ところが、柳井はわずか9か月でジャスコを辞めてしまう。23歳の柳井は結婚を考えはじめ、ついに宇部商店街の紳士服店を継ぐことを決めた。

この頃、宇部の経済を支えてきた石炭産業は夕暮れ時を迎えていた。銀天街もやがて衰退の道を辿るだろう。そのままでいいのか。ここから這い上がるにはどうすればいいのか。

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要約公開日 2024.05.13
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