子育てがプラスを生む「逆転」仕事術

産休・復帰・両立、すべてが不安なあなたへ
未読
子育てがプラスを生む「逆転」仕事術
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子育てがプラスを生む「逆転」仕事術
出版社
朝日新聞出版

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出版日
2014年01月30日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.5
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おすすめポイント

「妊娠・出産でキャリアをあきらめるなんて、もったいない」。「子育てが仕事にもプラスを生む」。本書を読むと、こうした強力なメッセージが一貫して伝わってくる。著者の小室氏は、働き方を見直すワーク・ライフバランスコンサルティングにより、「日本人の働き方を変える」という課題に挑み続けている女性起業家である。2児の母でもある小室氏の体験談とともに、900社以上のコンサルティングから生まれた実践的ノウハウが詰まった一冊が本書である。

本書には、従来の常識を覆す仕事術が豊富に紹介されている。例えばこうだ。「産休・育休期間は、単なるブランクではなく、スキルのブラッシュアップ期間になる」、「復帰後は時短勤務制度で減額されるより、フルタイムで残業ゼロを目指す」、「替えのきかない存在になるのではなく、自分がいなくてもスムーズに進む状態にする」などなど。

本書に登場する仕事術の中には、「我が家でこれを取り入れるのは敷居が高い」と思う戦術も含まれているかもしれない。しかし、産休・育休に入る前や復帰前後など、不安や迷いが生じる時期に、本書の提唱する「逆転の仕事術」を参考にすることで、気が楽になり、課題の突破口を見つけられるのではないだろうか。ワーキングマザーやその予備軍だけでなく、子育てや介護と仕事を両立する必要がある読者にぜひ一読をお薦めしたい。自分と家族にとって、より良い働き方を考えるヒントが得られるはずだ。

ライター画像
松尾美里

著者

小室 淑恵(こむろ・よしえ)
株式会社ワーク・ライフバランス代表取締役社長
1975年生まれ。1999年資生堂に入社。日経ウーマン・オブ・ザ・イヤー2004受賞。2006年、株式会社ワーク・ライフバランスを設立。生産性の高い組織を作るワーク・ライフバランスコンサルティングを多くの企業に提供し、現在までにのべ900社を超える組織を支援している。年間250回を超える講演、企業の研修の依頼も受けている。自社で開発した「ワーク・ライフバランス組織診断」「育児と仕事の調和プログラムarmo(アルモ)」は、400社に導入済み。
2009年からはワーク・ライフバランスコンサルタント養成講座を主催し、多くのコンサルタントを輩出。2011年には支援サイト「介護と仕事の両立ナビ」をリリースし、日本の人事部「HRアワード2013」の「プロフェッショナル人事労務管理部門」優秀賞を受賞した。
2012年3月には第180回衆議院予算員会公聴会にて「日本の長時間労働の問題点と解決策」をプレゼン。同年6月に国際的プレゼンテーションイベントTED×Tokyoのスピーカーに選出され、卓越したプレゼンテーションスキルがYouTubeなどで話題に。同年12月にモバイルサイト「小室淑恵のWLB塾」をスタート。
内閣府「子ども・子育て会議」委員、厚生労働省「イクメンプロジェクト推進チーム」委員、経済産業省「産業構造改革審議会」委員など複数の公職を兼任。
著書に『なぜ、あの部門は「残業なし」で「好成績」なのか? 6時に帰るチーム術』(日本能率協会マネジメントセンター)、『小室淑恵の人生プレゼン術』(学研パブリッシング)、『ワーキングカップルの人生戦略』駒崎弘樹氏との共著、『あなたの親を支えるための介護準備ブック』(共に英治出版)など多数。
プライベートでは2児の母でもあり、充実したワークとライフを過ごす活動的な女性として多くの人から支持を得ている。

本書の要点

  • 要点
    1
    「社員総介護時代」が迫る中、子育て中の社員の働き方は、時代を先取りしたモデルである。時間的制約を抱えて働く人が正しく評価されるには、周囲の理解と共感が欠かせない。
  • 要点
    2
    自分がいなくても、すべてがスムーズに進む状態をつくるには、仕事の内容を「見える化」「共有化」することが必要だ。
  • 要点
    3
    「短時間勤務制度」を利用するよりも、フルタイム勤務で残業ゼロを実践するほうがよい。時間管理や仕事の効率化を進め、定時退社できっちり成果を上げるのがベストな働き方である。

要約

もう、妊娠・出産をためらわない

仕事と子育ての両立をすすめる理由

著者は、働いている女性に「家族と自分のためにも、仕事と子育ての両立の道を選ぶ」ことをすすめている。その理由は次の三つである。

一つは、再就職への道のりが険しいことである。仕事が決まっていないと子どもを保育園に預けられず、仕事を得るには保育園が決まっていないといけない。ブランクが長くなると、仕事で培ったスキルの低下や自信の喪失につながってしまう。

二つ目は、教育費が足りなくなることである。将来の子どもの教育費を考えると、子どもが幼い頃に保育料がかかっても、夫婦で仕事を継続するほうが得策だといえる。

そして三つ目は、女性の退職が企業にとっても損失になるということだ。企業は入社から10年以内の社員が辞めると、採用や研修の費用を回収できない。育成費をかけた人材には、復帰して成果を上げてもらったほうが得なのである。

育児で身につくスキルがキャリアのプラスに

出産後、時間的制約のある自分にキャリアアップは無理と考える女性は少なくない。しかし、出産前の長時間労働に戻そうと思ってはいけない。残業がしにくくなる分、時間あたりの生産性を上げればいい。

著者は2度の出産を経験しているが、出産は仕事にプラスになっていると断言している。産休や育休は、スキルを身につけ、自分をブラッシュアップする期間ととらえることもできる。また、子育てによって、コミュニケーション能力や、同時多発的に起こるトラブルに対処する能力、マネジメント力も身につけられる。

ワーキングマザーの働き方は時代を先取りしたモデル
DragonImages/iStock/Thinkstock

長期間の休業は産休・育休に限ったことではなくなってきている。団塊の世代が70代に突入すると、介護が必要な家族を持つ人の割合が一気に増える「社員総介護時代」が迫っている。そこで、子育て中の社員の働き方は、時代を先取りしたモデルになるだろう。

時間的制約を抱えて働く人が正しく評価されるには、周囲の理解と共感が欠かせない。上司との定期面談などの際に、妊娠・出産後も働き続けたいという意志や、育児の経験を仕事に活かしたいという思いを、ポジティブに伝えておくとよい。また、周囲の負担感を減らすには、職場に貢献する意志を伝える心がけが重要になる。

【必読ポイント!】 妊娠中にできること

自分がいなくても、スムーズに進む状態に

妊娠がわかったら、なるべく早く直属の上司に報告し、安定期(妊娠5カ月)になったら同僚にも報告することを著者はおすすめする。産休に入る日を決めたら、その日から逆算して引き継ぎのスケジュールをつくり、上司や同僚、後輩にも早めに渡しておくことが必要だ。

産休直前まで自分で仕事を抱え込み、「替えのきかない存在」になろうとするのは、かえって周囲に迷惑をかける恐れがある。おすすめは、一つのクライアントを後任担当者とともに受け持つ「2人担当制」である。

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要約公開日 2015.09.11
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