地方創生実現ハンドブック

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地方創生実現ハンドブック
出版社
出版日
2015年11月24日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

地方が自ら産業を育て、地方の魅力に人が引き寄せられていく環境をつくる「地方創生」に本腰を入れて取り組むべき時代がやってきた。現在、公共事業や企業誘致の推進によって国家主導で行われていた地方再生から、各地方が独自の戦略を立てて挑む地方創生へと、大きな転換点を迎えている。

本書では、地方創生の先駆けとなる17の成功事例や、地方で新たな産業を生み出すべく奮闘するベンチャー企業、そして、地方ベンチャーの活性化・ネットワーク化をサポートするトーマツ ベンチャーサポートの活動などが紹介されている。ワンストップで起業支援を行うカフェをつくって、起業の敷居を下げようとする自治体もあれば、名産の日本酒で酒蔵観光イベントを開発する自治体もあり、実に多種多様な試みがなされている。本書を読めば、地元ならではの観光資源や人の存在感をアピールし、地方に根差した課題解決を考えることで、真に地方が活性化する未来像を描けるのではないだろうか。

また、地方の雇用創出の核になるベンチャー企業が、地域別に182社、そして医療や介護、観光、資金調達、人材活用などのジャンル別に76社、掲載されている。これらの企業を眺めるだけでも、地方創生を促すビジネスのヒントが得られるはずだ。

自治体関係者や地方ベンチャーの経営者、NPOに携わる方にとって、本書は地方活性化の有意義な手引書だといえる。また、それ以外の読者にとっても、ビジネスチャンスの見つけ方や柔軟な発想を学べる貴重な一冊になってくれるだろう。

ライター画像
松尾美里

著者

トーマツ ベンチャーサポート株式会社
デロイト トーマツ グループに属し、全国2500社のベンチャー企業に対する成長支援を中核業務とする。そのネットワークを生かし、大手企業に対するベンチャーとの協業による新規事業創出支援、官庁および全国自治体によるベンチャー政策の立案・実行支援を手がけている。

日経トップリーダー
日経BP社が発行する、攻めるオーナー経営者のための月間経営誌。1984年に「日経ベンチャー」としてスタートし、2009年に現誌名に変更。創刊以来、中堅・中小企業のトップに向けて、リーダーとしての心構え、実力社長の生の声、失敗の本当の理由、逆風に負けず成長を続ける会社のケーススタディーなど、経営に役立つ情報を一貫して提供している。

本書の要点

  • 要点
    1
    地方創生のカギは自治体と中小企業経営者との連携である。本書では、地方創生に一肌脱ぐ自治体、企業の先行事例と、成功の秘訣を紹介していく。
  • 要点
    2
    地方でも起業を促し、新たな雇用を創出する動きが広がっている。豊かな地域資源に目を向けることで、観光業や第一次産業のビジネスチャンスを掘り起こすことができる。また、地方の根本的な魅力である「人の存在感」を感じさせる施策も、地方に人を呼び込むカギとなる。
  • 要点
    3
    地方創生の中心的担い手として、その地方ならではの社会課題解決に挑むベンチャー企業に注目が集まっている。

要約

なぜ、今、地方創生か

中小企業こそ地方に目を向けるべき

これからは地方の中小企業や自治体が日本を牽引し、改革していく時代である。

IT企業サイファー・テックの吉田社長は、条件面以外でも魅力がなければ優秀な人材を採用できないと考え、2012年に徳島県美波町にサテライトオフィス「美波Lab」を置いた。職住近接により、サーフィンや釣り、自転車等の趣味に没頭でき、東京で働いたときと同等の給料で、豊かな生活を送れると、新しい働き方を提唱した。すると、Iターンで移住する社員も現れ、有能なエンジニアの確保、業績向上につながり、2013年には本社を東京から美波町に移したという。

吉田社長は「中小企業こそ地方に目を向けるべき」と強調する。なぜなら地方では、町で出会う人と会話をするだけでも、多くの課題が見つかるからだ。そして、この課題解決と地方創生の担い手には、中小企業と、そこで働く従業員が最適なのである。

地方自治体と地方企業が主体の「地方創生」
Auris/iStock/Thinkstock

地方創生とは、人口が減少し、仕事が減った地方をよみがえらせる試みだ。国は「2060年に1億人程度の人口を維持する」というビジョンのもと、2015年からの5年間で進める方策を「総合戦略」としてまとめ、すべての都道府県・市区町村に、それぞれの「地方版総合戦略」の策定を求めている。これまでの地方活性化は国が主導権を握っていたが、今回は各地方の自主性を重んじるという点で、画期的な大転換だといえる。

目下の人口対策は、地方から東京に向かう人の流れを止めて、東京から地方に人が向かうようにすること、そして少子化の流れを食い止めることの2つである。地方創生によって人口減少による需要低迷を克服すれば、地方企業だけでなく都市部の企業の業績も向上することが予想されている。

注目すべき点は、地方の潜在的魅力に共感する若者が増えている点だ。

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要約公開日 2016.04.20
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