マインドフル・リーダーシップ

"今"に集中するほど、成果が最大化される
未読
マインドフル・リーダーシップ
マインドフル・リーダーシップ
"今"に集中するほど、成果が最大化される
著者
未読
マインドフル・リーダーシップ
著者
出版社
KADOKAWA/中経出版
出版日
2015年09月11日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

世界中の企業からベンチマークされ、人材輩出企業としても名高いGE。そのGEで人材開発部門の責任者として年間約1000人の経営幹部を指導してきた著者によると、リーダーとして他者に影響を与え、どんな環境においても成果を出すための要件は、「マインドフルネス」だという。現在、インテルやグーグルなど、名だたる企業が人材育成の一環として「マインドフルネス」を研修などに取り入れるようになってきた。「マインドフルネス」と聞くと、禅の瞑想をイメージする人が多いかもしれないが、著者の言う「マインドフルネス」とは、「今、目の前に集中すること」であるという。

普遍的なリーダーシップの基盤となる能力とは何か、それを身につけるにはどうしたらいいか、なぜ、こうしたリーダーになることが求められているのか。本書では、この根源的な3つの問いに対する解が導き出されていく。マインドフルネスの本質や、優れたリーダーの具体的な共通点、「今」に集中して成果を出すための行動指針、部下の育成におけるポイント、そしてチームの力と成果を最大化する方法などのテーマが、ビジネスでの実践に結びつきやすい形で取り上げられている。

また、この本に織り込まれたGE歴代経営者の名言は、チームを率い、部下を育てる立場にある人たちを励ましてくれることだろう。リーダーシップの原点に戻らせてくれる意義深い一冊ではないだろうか。

ライター画像
松尾美里

著者

田口 力(たぐち ちから)
1960年、茨城県生まれ。元GEクロトンビル・アジアパシフィック プログラム・マネジャー。株式会社TLCO代表取締役。
83年早稲田大学卒業。政府系シンクタンク、IT企業の企業内大学にて職能別・階層別研修や幹部育成選抜研修の企画・講師などに従事。2007年GE入社。世界最高のリーダー育成機関として知られる「クロトンビル」で、日本人として唯一リーダーシップ研修を任される。日本・アジア太平洋地域の経営幹部育成プログラム責任者として研修を企画・開発・実施。講師としては10年から4年間、研修参加者からの評価点では連続世界一の実績を持つ。14年に退社し、独立。GEをはじめ、国内外の企業幹部に対して「本物のリーダーシップ研修」を指導している。04年、一橋大学大学院商学研究科経営学修士コース修了(MBA)。
著書に『世界最高のリーダー育成機関で幹部候補だけに教えられている仕事の基本』(KADOKAWA)がある。

本書の要点

  • 要点
    1
    マインドフルネスな状態は、自己認識を高め、どんなタイプのリーダーにも共通して必要なリーダーシップの土台となる。
  • 要点
    2
    コーチングの新しいパラダイムは、「P(Performance:業績)=C(Capacity:能力)-I(Interference:阻害要因)」という図式で表せる。部下の育成におけるリーダーの役割は、能力発揮を邪魔する阻害要因を排除することだ。
  • 要点
    3
    リーダーは、成果を出すチームをつくるために、チームの「形成」、「嵐(混乱)」、「規範」、「成果」という4つの成長段階に応じた役割を果たすことが必要である。

要約

マインドフルネス・リーダーをめざすべき理由

あなたは「一つのこと」に集中できているか

マインドフルネスとはどんな状態を指すのだろうか。リーダーシップの文脈でいえば、「意識をその瞬間に集中して新しい物事に気づく」ことである。一度に一つのことに集中することは、実は予想以上に難しい。大量の仕事に忙殺され、脊髄反射のようにメールの返信をし、デジタル・ツールの「しもべ」になってしまっていないだろうか。こうした状況下において、目の前のことに専念し、心を落ち着かせる能力はますます重要になっている。

さらに、マインドフルネスは、リーダーにとって必須の「自分を知る(セルフ・アウェアネス)」の第一歩でもある。マインドフルネスな状態は、自己認識を高め、「混じり気のない本物」のリーダーシップの土台となってくれる。「混じり気のない本物」とは、自らの信念や価値観に従って行動し、目的を達成する情熱に満ちて、果敢な決断ができるという状態を指す。同時にそれは、幅広い人間関係を維持し、厳しい自己統制力を発揮できる状態でもある。このようなリーダーの資質は、変革型や成果重視型、サーバント型などどのようなタイプのリーダーにおいても、その大前提として求められる。

「自分を知る」ことの重要性については、GEのCEOジェフリー・イメルトが強調している。彼は一週間の行動を振り返る時間を、毎週設けているという。また、前CEOのジャック・ウェルチも、自身が最高の経営者と呼ばれるようになった理由について、「自己に対する気づきがあったから」だと述べている。他者に対して影響力を及ぼし、リーダーシップを発揮するには、自分が何者なのかを十分に知ることが必要なのだ。

なぜ自分の価値観を知らなければならないのか?
BevLinder/iStock/Thinkstock

では、自分の「何」を知る必要があるのか。それは、人々の思考や言動の原理原則ともいえる、「価値観」である。自分の「価値観」を知ることが大事なのは、次の3つの理由によるものだ。

1つ目は、価値観が「自分がどうあるべきか(Be)」を規定するからである。価値観を見定めてから行動に移さないと、周囲からは「ブレる」「優柔不断」という印象を持たれてしまう。

2つ目は、自分の価値観と、日々の仕事や働き方、組織が重視する価値観が一致しているかどうかを確かめるためである。

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要約公開日 2016.07.08
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