4D Leadership
Competitive Advantage Through Vertical Leadership Development

未 読
4D Leadership
ジャンル
著者
Dr.AlanWatkins
出版社
出版日
2015年12月08日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
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4D Leadership
4D Leadership
Competitive Advantage Through Vertical Leadership Development
著者
Dr.AlanWatkins
未 読
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出版社
定価
0円 (税抜)
出版日
2015年12月08日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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レビュー

私たちは心が落ち着いている時は、頭も冴え、人にも優しくでき、物事がスムーズに進むと感じる。逆に、山積みの書類の中で悪戦苦闘している時は、近視眼的にしか自他の状況を見られなくなる。この事実に気が付いているにもかかわらず、予め設定された「すべきこと」を最優先し、心を置き去りにして多忙な日々に埋没してしまっている。このような状況から抜け出せないビジネス・リーダーも多いのではないだろうか。

著者は、神経科学者としての見地から、人の生理、主観的な感情や思考、客観的な行動の良いバランスの上に、優れたリーダーが生まれると主張する。外に表れる行動は、自己の内面を反映した結果であり、リーダーの精神的成熟度といった内的自己の洗練が、組織の業績さえも大いに左右するというのである。

リーダーシップに関連する多くの書籍が、具体的な「行動」に着目しているのに対し、リーダーシップに欠かせない側面として精神的な成熟を重視する本書の視点は非常にユニークである。知識や技術といったアプリケーションを増やすだけでなく、人格、いわばOSのバージョン・アップを図ることの必要性を、読者は本書を通して強く感じられるはずだ。

取りかかっている仕事から手を休めて、良きリーダーシップの本質とは何か、また、どのようにリーダーシップ能力を開発していけばよいのかについて再考してみてはいかがだろう。日々の業務を新たな観点から見つめられるかもしれない。

佐藤瑞恵

著者

ドクター・アラン・ワトキンス(Dr Alan Watkins)
ビジネスコンサルタント、医師、神経科学者。コンサルティング会社Complete Coherenceの設立者。医師および神経科学者の立場から、神経科学や生理学の論理をもとに、ビジネス・リーダーが直面する課題に斬新なアプローチを提示する。ヨーロピアン・スクール・オブ・マネジメント客員教授、および、インペリアル・カレッジ・ロンドン医学部にて神経科学と心理学の上級講師を歴任。著者のTEDトークの視聴回数は130万人を超える。Coherence:The Secret of brilliant leadership (Kogan Page)の著者でもある。

本書の要点

  • 要点
    1
    現在、ビジネス・リーダーたちは、「行動すること」に多くの時間を費やし、自分のあり方や他人との関係性について熟慮することがほとんどない。しかし、優れたリーダーはIT、 ITS、I、 WEの4つの側面を向上させる必要がある。
  • 要点
    2
    垂直的な自己開発こそがVUCAの世界で成功するために決定的な要素となる。
  • 要点
    3
    リーダーとしての精神的成熟度が、ビジネスの結果に多大な影響を及ぼす。
  • 要点
    4
    二人称の視点に立つことが人間関係を円滑に進めるうえで重要だ。他人に「譲る」能力を持てるかがカギとなる。

要約

リーダーたちが陥った罠

Human doingと化したビジネス・リーダーたち

ビジネス・リーダーたちに、日常の行動について尋ねると、すらすらと答えが返ってくる。しかし、心の中で起こっていることについて尋ねると、彼らのほとんどが返答に苦慮する。彼らの意識は、客観的に観察できる「行動(doing)」に向いていて、「自己の存在(being)」や「他人との関わり合い(relating)」については、空白の状態である。彼らは、「human being」ではなく「human doing」となってしまっている。

行動がすべてという誤解
BsWei/iStock/Thinkstock

リーダーたちは、自らのビジネスにおけるパフォーマンスによって評価を下されることが多いので、客観性の世界(doing)を重視しがちなのは不思議ではない。しかし、不安定(Volatility)で、不確実性が高く (Uncertainty)、複雑(Complexity)かつ不透明(Ambiguity)な現状において、多くのリーダーが目標達成に苦慮し、ますますdoingにばかり傾倒してしまっている。

この現状を著者は非常に残念なことだと捉えている。考えてみてほしい。より良いパフォーマンスを発揮できるのは、怒っている時、イライラしている時、集中できている時、また、情熱のみなぎる時のいずれだろうか。また、重要な会議に出席する前に、悪いニュースを聞いたら、目の前で話される内容に集中できるだろうか。こうした例から、主観的な内的世界である「being」が、「doing」の結果にも大きな影響を及ぼすことがわかるだろう。

【必読ポイント!】 4Dリーダーシップ・モデル

良きリーダーとなるために不可欠な4つの側面

米国の思想家ケン・ウイルバーは、人の経験には「客観的に観察できるもの(IT)」、「主観的なもの(I)」、「対人的なもの (WE)」の側面があるとした。著者は、このウイルバーのモデルをもとに、VUCAの状況において、洞察力、本質を見極める力、優れた判断力を兼ね備えた見識あるリーダーを育てるために、独自のモデルを構築した。

著者は、「IT」、「 ITS」、「I」、「WE」という4つの側面を、リーダーシップの観点からさらに分析していった。具体的には、4つのマス目にふり分け、マス目の左上を、収益の追求やリスク管理といった「商業実績」に、右上を、目標の設定や市場戦略策定などの「市場におけるリーダーシップ」とした。これらは、「doing」で表わされる「IT」と「ITS」の側面である。これらに対して左下は、 思考、エネルギ―、人生の目的の発見などの「being」を表す「I」の側面であり、右下は、組織文化の育成、チームの牽引などの「relating」を表す「WE」の側面である。そして、マス目の中心にリーダーを据え、4つの領域を同等に高めていくことが、優れたリーダーとなるうえで不可欠だということを、このモデルは示している。

水平型と垂直型の自己開発
LoveTheWind/iStock/Thinkstock

著者によると、人材開発には、水平型と垂直型の2種類がある。水平型は、技術や知識の獲得といった学習のプロセスであり、ビジネスにおいて大切な要素である。そのため多くの組織は従来、人材の登用にあたり、この水平的な要素を重視してきた。例えば、最高財務責任者を任命する際には、IRの活動実績や国際経験などを必須条件とする一方で、候補者のリーダーとしての資質や価値観、人間的な成熟度などは、ほとんど考慮されてこなかった。その方が、評価が簡単だったからという理由も大いにある。

しかし、4Dリーダーシップのモデルは、学習だけでは不十分だとし、これら4つの側面を垂直的に発展させることを重視する。現在、多くのリーダーが直面するVUCAの状況下では、垂直型の開発が、成功を決定づけるものだと著者は確信している。

人間としてのOSをグレードアップさせる

水平型の学習は、コンピュータのアプリケーションの数を増やすようなものである。これに対し、垂直型の開発は、オペレーション・システム自体のグレードアップだと見なせばよい。リーダーまたはリーダーをめざす人は、ビジネスについての見識は豊富だが、垂直型の自己開発が不十分である。

4Dリーダーへと垂直型の開発を続けることで、能力を全体的に開花させ、絶えず良い業績を残せるようになる。ここからは「IT」、「ITS」に比べて、多くのリーダーたちがしばしば軽視しがちな「I」、「WE」の側面について詳しく見ていくことにしよう。

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