人は情熱と教育によって大きく変わる。偏差値を偏重した今の日本の教育は若者や日本社会をだめにしているのではないか――。そう考えていた著者は、理事長から提案を受け、京都学園大学の再建に取り組むことになった。
日本の大学では、社会が必要とする人材を育てているとはいえない。学生は、新卒社員として入社した後、何年も教育を受けてはじめてビジネスの舞台に立てるのだ。
日本電産でも多くの大卒、院卒者を採用してきたが、一流と呼ばれる大学を出た社員も、そうでない社員も、入社後10年ほどの時点では仕事の成果に大きな差はないことがわかっている。大学の偏差値やブランド力にかかわらず、成果を上げている人は、何でも前向きに取り組み、雑務も率先してこなす気概がある。偏差値の高い大学を出たからといって、必ず社会人として活躍できるとは限らないのである。
人間の能力には知能指数の「IQ」と感情指数の「EQ」の2つがあると言われている。IQが高い人は知能が高く、学校のテストで有利だ。しかし「IQが高い人=社会で成功できる人」とは言い切れない。実際、企業は、知能が高いだけの人材ではなく、EQの高い人、つまり人間力の高い人を求めるようになっている。
著者が多くの従業員や経営者を見ていて実感するのは、IQなどの能力的な差が生み出す成果の差は、どんなに頭のいい人でも普通の人のせいぜい5倍程度だということだ。一方、EQの高い社員とやる気のない社員の成果は100倍以上にもなることがある。
大学での勉強とは、単に情報を暗記することではない。自分の頭で考え、課題を見つけ、意見を言うことだ。加えて、専門的な知識を身につけ、卒業後に即戦力として活躍できるようになる必要がある。
大学時代に最低限鍛えておくべきものは、「専門性」「英語力(特に会話力)」「雑談力」「ディベート力」だ。
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