世界の一流は「休日」に何をしているのかの表紙

世界の一流は「休日」に何をしているのか


本書の要点

  • 一流たちの休日の過ごし方には、2つの共通点がある。「土日の休日を次の1週間を成功に導くための準備期間と考えていること」と「身体と心、脳のリフレッシュを図り、次の1週間に向けてエネルギーをチャージしていること」だ。

  • 世界の一流は、簡単な目標を設定して小さな達成感を得る、新しいことにチャレンジする、人とのつながりを大切にする、自己省察(せいさつ)の時間を持つ、という4つのアプローチを通して、休日に自己効力感を高めている。

  • エグゼクティブたちは、土曜日を「チャレンジデー」、日曜日を「リフレッシュデー」と位置づけて、休養と教養を実現している。

1 / 4

【必読ポイント!】 一流ビジネスパーソンの「休み方」の基本

「疲れたら休む」ではなく「疲れる前に休む」

oatawa/gettyimages

世界のトップクラスのビジネスパーソンと接する中で、著者が最も衝撃を受けたのは、休日に対する姿勢だった。日本のビジネスパーソンは、休日を、平日の疲れを癒す「休息の時間」と捉えている。一方で、世界のビジネスパーソンにとっては休日こそが人生の中心であり、平日の仕事はその充実した休日を支えるためにあるのだ。彼らの行動を観察すると、疲れたから休むのではなく、疲れる前に計画的に休んでいることがわかった。日本の多くのビジネスパーソンは、仕事の進捗を見ながら「今週は休めそうだな」「この調子だと休日出勤だな」と判断するのが一般的だろう。ところが世界の一流たちは、週末の休みを前提として仕事を効率的に進める姿勢を貫いている。「休めたら休む」のではなく「休むために仕事をする」という考え方が基本にあるのだ。自分を疲弊させるまで働いてしまうと、回復に時間がかかるだけでなく、体調を崩すリスクも高まる。その結果、仕事自体が滞ってしまう可能性さえある。さらに注目すべき点は、彼らの休日の過ごし方だ。日本では土日を疲労回復のための「休息日」と捉える人が多いが、世界のエグゼクティブたちはスポーツや趣味、キャンプ、バーベキューなどを楽しみ、休日をアクティブに過ごしている。日本人が「静」で体を癒すのに対し、世界の一流は「動」を通じたリフレッシュも取り入れているのだ。

「ワーク・ライフ・ハーモニー」を目指す

著者が執行役員を務めていたマイクロソフトには、約300人ものバイスプレジデントが在籍している。彼らの休日の過ごし方には、共通する大きな特徴が2つあった。1つ目は、土日を次の1週間を成功させるための「準備期間」と位置付け、自己再生(本来の自分を取り戻すこと)を意識している点である。もう1つは、スポーツや趣味、家族や友人とのバーベキューやキャンプを楽しむことで、身体・心・脳をリフレッシュし、次の週に向けてエネルギーをチャージしている点だ。彼らは、休日を楽しむことを通じて、自己再生とエネルギーチャージという2つの目的を達成していた。そして「充実した休日を過ごすことで、仕事の成果が上がる」→「成果が上がれば、休日が楽しくなる」→「休日が楽しくなれば、さらに成果がアップする」というサイクルを作り出し、人生そのものを楽しんでいるように見える。彼らが休日に実践しているのは、次の5つである。1つ目は、休日と仕事を切り離すこと。仕事のことを完全に忘れ、スポーツや趣味に没頭することで、身体・心・脳をリセットしている。2つ目は、エネルギーを再充電して創造性や集中力を高めること。休日を満喫し、ストレスを軽減することで、創造性や集中力を高め、長期的なパフォーマンスの向上を目指している。3つ目は、デジタルデトックスの時間を作ること。メールやSNSから離れて仕事のプレッシャーを忘れ、リラックスしている。4つ目は、健康管理を徹底すること。軽い有酸素運動をはじめ、健康的な食事、十分な睡眠、適度な運動が休日のルーティンに組み込まれている。5つ目は、良好な人間関係を維持すること。家族や親しい友人との時間を大切にし、つながりを深めている。エグゼクティブたちが目指しているのは「ワーク・ライフ・ハーモニー」(仕事と生活の調和)の実現だ。仕事と私生活を対立するものではなく、相互に支え合う関係と捉え、どちらも高いクオリティを維持しようとしている。その中心的な役割を果たしているのが「休日」なのだ。

「脳」を休ませる5つの習慣

SrdjanPav/gettyimages

世界のトップクラスのビジネスパーソンは、身体やメンタルのコンディションだけでなく、脳を休めることにも細心の注意を払っている。具体的に彼らが実践しているのは、次の5つである。

もっと見る
この続きを見るには...
残り2106/3682文字

4,000冊以上の要約が楽しめる

要約公開日 2025.02.18
Copyright © 2025 Flier Inc. All rights reserved.

一緒に読まれている要約

仕事のできる人がやっている減らす習慣
仕事のできる人がやっている減らす習慣
中村一也
朝1分、人生を変える小さな習慣
朝1分、人生を変える小さな習慣
小笠原藤子(訳)リュ・ハンビン
ライフハック100
ライフハック100
内藤誼人
時間デトックス
時間デトックス
吉武麻子
部下をもったらいちばん最初に読む本
部下をもったらいちばん最初に読む本
橋本拓也
感謝脳
感謝脳
樺沢紫苑田代政貴
週末アウトプット
週末アウトプット
池田千恵
「この人なら!」と秒で信頼される声と話し方
「この人なら!」と秒で信頼される声と話し方
下間都代子

同じカテゴリーの要約

ハーバード、スタンフォード、オックスフォード… 科学的に証明された すごい習慣大百科
ハーバード、スタンフォード、オックスフォード… 科学的に証明された すごい習慣大百科
堀田秀吾
悩まず、いい選択ができる人の頭の使い方
悩まず、いい選択ができる人の頭の使い方
小川仁志
なぜ、あの人との会話は嚙み合わないのか
なぜ、あの人との会話は嚙み合わないのか
米澤創一
1つの習慣
1つの習慣
横山直宏
精神科医が教える! 心がスッと軽くなる93の処方箋
精神科医が教える! 心がスッと軽くなる93の処方箋
樺沢紫苑
社会は、静かにあなたを「呪う」
社会は、静かにあなたを「呪う」
鈴木祐
DIGITAL STANCE スマホに支配されない生き方
DIGITAL STANCE スマホに支配されない生き方
ピョートル・フェリクス・グジバチ
不機嫌を飼いならそう
不機嫌を飼いならそう
藤野智哉
時間・自己・幻想
時間・自己・幻想
マルクス・ガブリエル大野和基(インタビュー・編)月谷真紀(訳)
不条理な世の中を、僕はこうして生きてきた。
不条理な世の中を、僕はこうして生きてきた。
宮下友彰
無料