だけどチームがワークしないの表紙

だけどチームがワークしない

“集団心理”から読み解く 残念な職場から一流のチームまで


本書の要点

  • 組織とは人の集まり、「集団」だ。集団だから出せる成果もあるが、集団で働くからこそ生まれる問題もある。賢い人たちが集まっているのに、判断を誤ってしまうのもその1つである。

  • チームがワーク(機能)するためには「目標の共有」「相互協力」「役割分担」「成員性」の4つの要素が必要だ。

  • チームワークの土台となるのは「リーダーによるリーダーシップ」だ。これが安定しなければ、チームは機能しない。

  • リーダーシップは「行動」で捉えよう。日常的には「課題」と「対人」を回していき、長期的には「変革型」を取り入れるとよい。

1 / 3

【必読ポイント!】「集団」だからうまくいかない

なぜ「集団」で働くと問題が生まれるのか

組織とは人の集まり、つまり「集団」だ。人は日々、会社や組織、あるいは学校や友達グループなど、集団の中で過ごしている。その恩恵の最も大きなもののひとつは、ひとりではできない仕事ができることだ。集団で力を合わせて協力することで、より大きな成果を生み出すことができ、また困ったときには仲間から助けてもらうこともできる。一方で、集団ならではの短所を経験したことがある人も多いはずだ。「会議で誰も本音を言えず、正しくない結論に決まってしまう」「他人任せでまじめに働いていない人がいる」「話し合いは盛り上がったのに、大したアイデアが出ない」「チームがうまく連携できず、仕事がいつも止まり気味」――。こうした問題は、ひとりで働いていては出てこない、みんなで一緒に働くからこそ生まれてくる問題だといえる。こうした問題の背景には、群れをなして暮らすという私たち人間が持つ“集団心理”の特性が深く関わっている。ひとつひとつの組織はさまざまであっても、その根源には集団心理と、そこから生じる集団の課題がある。こうした問題を解決しようと研究されてきたのが、社会心理学や産業・組織心理学といった分野である。こうした分野の知見を用いることで、集団がどのように機能しているのかをよりよく理解することができる。

「優秀な人たち」が愚かな判断をしてしまう理由

Getty Images/gettyimages

賢い人が集まっているのに、ばかげた結論を出してしまう――。これは集団心理のひとつ、「集団浅慮」という現象だ。集団浅慮とは、集団のまとまりを追求するあまり、非合理で未熟な意思決定をしてしまう状態を指す。優れた人たちが集まっていても、集団になると浅はかな考えにとらわれてしまうことは少なくない。その例のひとつに、1986年に起こったスペースシャトル「チャレンジャー号」の爆発事故がある。チャレンジャー号は、打ち上げ後わずか73秒で爆発し、乗組員全員が犠牲になった。

もっと見る
この続きを見るには...
残り3721/4555文字

4,000冊以上の要約が楽しめる

要約公開日 2025.04.17
Copyright © 2025 Flier Inc. All rights reserved.

一緒に読まれている要約

結局、会社は思うように動かない。
結局、会社は思うように動かない。
下地寛也
若手が辞める「まさか」の理由
若手が辞める「まさか」の理由
井上洋市朗
読めば分かるは当たり前?
読めば分かるは当たり前?
犬塚美輪
人は出会いが100%
人は出会いが100%
垣花正
増補改訂版 ヤフーの1on1
増補改訂版 ヤフーの1on1
本間浩輔
「すぐに」をやめる
「すぐに」をやめる
沢渡あまね
決定版 強いチームをつくる! リーダーの心得
決定版 強いチームをつくる! リーダーの心得
伊庭正康
仕事も対人関係も 落ち着けば、うまくいく
仕事も対人関係も 落ち着けば、うまくいく
和田秀樹

同じカテゴリーの要約

Z世代の頭の中
Z世代の頭の中
牛窪恵
一流のマネジャー945人をAI分析してわかった できるリーダーの基本
一流のマネジャー945人をAI分析してわかった できるリーダーの基本
越川慎司
世界標準の1on1
世界標準の1on1
スティーヴン・G・ロゲルバーグ本多明生(訳)
増補改訂版 フィードバック入門
増補改訂版 フィードバック入門
中原淳
完訳 7つの習慣
完訳 7つの習慣
スティーブン・R・コヴィーフランクリンコヴィージャパン(訳)
トリニティ組織
トリニティ組織
矢野和男平岡さつき(協力)
1分で話せ
1分で話せ
伊藤羊一
世界のマネジャーは、成果を出すために何をしているのか?
世界のマネジャーは、成果を出すために何をしているのか?
井上大輔
「仕事ができるやつ」になる最短の道
「仕事ができるやつ」になる最短の道
安達裕哉
部下をもったらいちばん最初に読む本
部下をもったらいちばん最初に読む本
橋本拓也