世界標準の1on1
世界標準の1on1
科学的に正しい「対話の技術」のすべて
NEW
世界標準の1on1
出版社
ディスカヴァー・トゥエンティワン

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出版日
2025年06月20日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.5
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おすすめポイント

「1on1がうまくいかない」――そんな悩みを抱えたマネジャーは少なくないはずだ。部下が話してくれない、会話が広がらない、成果が見えない。それは、1on1という仕組みの問題ではなく、「やり方」の問題かもしれない。

著者のスティーヴン・G・ロゲルバーグ氏は、組織心理学の世界的権威であり、ノースカロライナ大学シャーロット校の特別栄誉教授だ。「ミーティングの科学的研究」の第一人者として国際的に評価されており、前著『スーパー・ミーティング』はワシントン・ポスト紙で「注目すべきリーダーシップ本第1位」に選ばれた。

本書は、ロゲルバーグ氏の長年の研究と実践から導き出された「最も効果的な1on1の進め方」を、科学的かつ具体的に解説した一冊である。1on1の定義から、効果的な質問例、話の引き出し方、終了時の確認まで、1on1を支える具体的なメソッドがぎっしりと詰まっている。

とりわけ印象的なのは、1on1の質を左右するのは「マネジャーの話す量ではなく、部下の話す量」であるという指摘だ。部下が話す割合が全体の50~90%であることが理想だとするデータに基づき、対話の進め方が丁寧に語られる。

部下との関係に悩むマネジャー、1on1を単なる義務で終わらせたくない人、形式的な会話から脱して本気で部下と向き合いたい人にとって、本書は確かな道しるべとなるはずだ。これを読めば、1on1の場が単なる管理の手段から、信頼と変化を生む場へと生まれ変わるだろう。

著者

スティーヴン・G・ロゲルバーグ(Steven g. Rogelberg)
ノースカロライナ大学シャーロット校、組織心理学教授。
同校で、学際的かつ実務的な貢献で評価され、特別栄誉教授(Chancellor's Professor)に任命されている。
「ミーティングの科学的研究」において世界的に高く評価され、ドイツ・アレクサンダー・フォン・フンボルト財団からフンボルト賞を受賞。前著『TheSurprising Science of Meetings (邦題『スーパー・ミーティング』)』はワシントン・ポスト紙選定「注目すべきリーダーシップ本第1位」となった。研究と著作は、ハーバード・ビジネス・レビュー、ウォール・ストリート・ジャーナル、ナショナル・パブリック・ラジオ(NPR)など、多くのメディアに取り上げられている。米国産業・組織心理学会(SIOP)からは人道主義賞(Humanitarian Award)を初めて授与され、同学会の会長も務めた。ベストセラー作家アダム・グラントは、ロゲルバーグを「会議をどう改善すべきか、という問いに対する世界屈指の専門家」と評している。

本書の要点

  • 要点
    1
    1on1では、「人間関係の構築」「エンゲージメント」「状況把握」「課題」「フィードバック」「能力開発・成長・キャリア」のうち、複数の領域から問いを選んで部下に投げかけることで、多角的かつ深みのある対話を構築することが望ましい。
  • 要点
    2
    優れた1on1とは、部下の実務的なニーズと個人的なニーズの双方に応えるものである。部下の個人的なニーズを満たすためには、5つの行動が効果的だ。
  • 要点
    3
    1on1の進行には「準備」「開始」「本題」「終了」という4つの段階がある。

要約

1on1の準備

対話の質を高める質問を知る
TrixiePhoto/gettyimages

1on1とは、「マネジャーと直属の部下との間で定期的に繰り返し行われる、部下の健康状態、モチベーション、生産性、対処すべき問題、優先事項、役割分担の明確化、他の業務との調整、目標設定、他者・チームとの調和、個人の成長、キャリアプランなどについて対話する時間・機会」を指す。

ここでは、1on1において対話を引き出す質問の工夫について解説する。

「調子はどうですか?」「最近どうですか?」といった問いかけは、上司の誠意が部下に伝われば、有意義な対話の入り口となり得る。一方で、「調子はいいですよ」「まあまあです」など、表面的な返答で終わってしまうことも少なくない。

より深い対話を実現するために、著者は250名以上にインタビューを行い、1on1でマネジャーが活用すべき質問のあり方を検証した。その結果、以下のような問いかけが有効であることが明らかになった。

・何かお手伝いしましょうか?

・最近、調子はどうですか? 順調ですか?

・何か、私にしてほしいことはありますか?

・私がサポートできること、提供できることはありますか?

・あなたが直面している問題は何ですか? うまくいっていないことは何ですか?

さらに、著者の分析により、質問は次の6つのカテゴリーに分類できることがわかった。1on1ではこれら複数の領域から問いを選び、多角的かつ深みのある対話を構築することが望ましい。

・人間関係の構築

・エンゲージメント

・状況把握

・課題

・フィードバック

・能力開発・成長・キャリア

次項では、この中から「人間関係の構築」に焦点を当てた質問の実例を紹介する。

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要約公開日 2025.09.26
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