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世界標準の1on1

科学的に正しい「対話の技術」のすべて


本書の要点

  • 1on1では、「人間関係の構築」「エンゲージメント」「状況把握」「課題」「フィードバック」「能力開発・成長・キャリア」のうち、複数の領域から問いを選んで部下に投げかけることで、多角的かつ深みのある対話を構築することが望ましい。

  • 優れた1on1とは、部下の実務的なニーズと個人的なニーズの双方に応えるものである。部下の個人的なニーズを満たすためには、5つの行動が効果的だ。

  • 1on1の進行には「準備」「開始」「本題」「終了」という4つの段階がある。

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1on1の準備

対話の質を高める質問を知る

TrixiePhoto/gettyimages

1on1とは、「マネジャーと直属の部下との間で定期的に繰り返し行われる、部下の健康状態、モチベーション、生産性、対処すべき問題、優先事項、役割分担の明確化、他の業務との調整、目標設定、他者・チームとの調和、個人の成長、キャリアプランなどについて対話する時間・機会」を指す。

ここでは、1on1において対話を引き出す質問の工夫について解説する。

「調子はどうですか?」「最近どうですか?」といった問いかけは、上司の誠意が部下に伝われば、有意義な対話の入り口となり得る。一方で、「調子はいいですよ」「まあまあです」など、表面的な返答で終わってしまうことも少なくない。

より深い対話を実現するために、著者は250名以上にインタビューを行い、1on1でマネジャーが活用すべき質問のあり方を検証した。その結果、以下のような問いかけが有効であることが明らかになった。

・何かお手伝いしましょうか?

・最近、調子はどうですか? 順調ですか?

・何か、私にしてほしいことはありますか?

・私がサポートできること、提供できることはありますか?

・あなたが直面している問題は何ですか? うまくいっていないことは何ですか?

さらに、著者の分析により、質問は次の6つのカテゴリーに分類できることがわかった。1on1ではこれら複数の領域から問いを選び、多角的かつ深みのある対話を構築することが望ましい。

・人間関係の構築

・エンゲージメント

・状況把握

・課題

・フィードバック

・能力開発・成長・キャリア

次項では、この中から「人間関係の構築」に焦点を当てた質問の実例を紹介する。

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要約公開日 2025.09.26
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