1on1とは、「マネジャーと直属の部下との間で定期的に繰り返し行われる、部下の健康状態、モチベーション、生産性、対処すべき問題、優先事項、役割分担の明確化、他の業務との調整、目標設定、他者・チームとの調和、個人の成長、キャリアプランなどについて対話する時間・機会」を指す。
ここでは、1on1において対話を引き出す質問の工夫について解説する。
「調子はどうですか?」「最近どうですか?」といった問いかけは、上司の誠意が部下に伝われば、有意義な対話の入り口となり得る。一方で、「調子はいいですよ」「まあまあです」など、表面的な返答で終わってしまうことも少なくない。
より深い対話を実現するために、著者は250名以上にインタビューを行い、1on1でマネジャーが活用すべき質問のあり方を検証した。その結果、以下のような問いかけが有効であることが明らかになった。
・何かお手伝いしましょうか?
・最近、調子はどうですか? 順調ですか?
・何か、私にしてほしいことはありますか?
・私がサポートできること、提供できることはありますか?
・あなたが直面している問題は何ですか? うまくいっていないことは何ですか?
さらに、著者の分析により、質問は次の6つのカテゴリーに分類できることがわかった。1on1ではこれら複数の領域から問いを選び、多角的かつ深みのある対話を構築することが望ましい。
・人間関係の構築
・エンゲージメント
・状況把握
・課題
・フィードバック
・能力開発・成長・キャリア
次項では、この中から「人間関係の構築」に焦点を当てた質問の実例を紹介する。
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