壊れていく日本社会
日本社会が直面する「二重の減少」

日本では近年、若年層を中心にFIRE願望が高まっている。また、結婚を選ばない人も増え、非婚化・少子化が進行している。
著者は、FIRE願望が高まっている背景として、次の7つを挙げている。
①日本経済の成長停滞に伴い「面白い仕事」が減っていること
②管理職の労働負担と賃金が釣り合わないケースが増えていること
③「働かないおじさん」が若年層のモチベーションを下げていること
④「JTC」という言葉で揶揄されるような非合理・非効率な企業文化が多く残存していること
⑤NISAなどをきっかけに資産運用に関する知識や意欲が高まったこと
⑥非婚化(単身世帯化)の進展により「人生所要金額」が低下した人が増えたこと
⑦株主が重視される裏側で従業員が軽視されがちになっていること
また、非婚化が進む背景として、次の5つを指摘している。
①結婚による「社会的承認」を男性が求めなくなったこと
②結婚による「永久就職」を女性が求めなくなったこと
③女性の社会進出および男性の家事能力向上により結婚による「分業の利益」が低下
したこと
④結婚以前の男女交際自体が減少していること
⑤子を持つことのコストが高まっていること
問題は、「FIRE増加」と「非婚化」が同時に進行している点である。
FIREが増えれば中高年まで働き続ける人は減少し、非婚化と少子化が進めば将来の労働力人口が減る。つまり日本社会は、働く人が二重に減っているのである。結果として、人手不足はさらに深刻化し、社会インフラや行政サービスを含め、社会機能そのものの維持が困難になるかもしれない。
だからといって悲観して立ち止まっていても状況は変わらない。本書は、「FIREを抑止する方法」と「非婚化を抑止する方法」を検討する。そのうえで、仮にFIRE増加や非婚化を止められなかった場合でも、人口減少社会の中で日本の経済・社会をどのように維持していくべきかを考えていく。




















