日記ブームとは
日記ブームと日記本ブーム

日記を読むことは他者への解像度を上げるし、いままでの自分の価値観を問いなおすきっかけとなることもある。ただ、とても手軽に綴れるものだからこそ、ほとんどの日記は他者にとって「一見どう読めばいいか、わからないもの」になるだろう。それでも、日常的な些事を記録したり、読んだりしたいと思うのはなぜなのか。ここ最近は、そうして日記をつけている人の姿が目につくようになり、「日記ブーム」と名指されている。
日記ブームには、次の6つの営みが一緒くたになっているという。
①日記をつけ始めること
②自分のつけている/つけていた日記を公開すること
③自分のつけている/つけていた日記を、日記本にまとめて販売すること
④誰かの日記を読んだり、誰かがまとめた日記本を買ったりすること
⑤日記について、各々が考えていることを話し合うこと
⑥日記をつけるのをやめること
このうち、③と④は〈日記本ブーム〉であり、〈日記ブーム〉とは質的に異なっている。また、人にはそれぞれの日記観があるため、⑤は日記への想いの違いを語る行為自体を、「日記という形式を通じた創造性のある営み」と捉えたものだ。そして、⑥のように「つづかないこと」やそれへの対処が語られることも重要なコンテンツとなっている。
〈日記ブーム〉のなかでは、うまく書けないという「どう書くか」の悩みと、想いが溢れすぎて「どこまで書くか」がわからなくなる悩みの2つのベクトルがある。そして王道は「つづかない」悩みだ。
〈日記本ブーム〉では、「目の前の一冊が自分の求めている日記本なのかどうか、判断がつかない」という悩みを抱えがちだ。自分の境遇に近い人の日記を探そうとしても、商業出版に乗ることの少ない「普通の人」の日記からしっくりくるものを見つけるのは、なかなかに難しい。そして、他者の日記に触れることによる罪悪感や親密感から、他人である自分がこれを読んでいいのかという気持ちにつながるというのも、独特なものである。
本書では、こうしたお悩みに対して具体的にどうアプローチしたらいいかを考えていく。
日記をつける
何を書けばいいのか

書き出しをどうするか悩む前に、「今日の日付」を書くことはできるはずだ。日付とは、「『これまで生きてきた時間』と『これから生きていくであろう時間』を『今日』という単位で区切る」ための印となる。その日付から、「今日」過ごした時間を振り返る。だからこそ、日付を書くという行為によって、「日記をつけることの第一歩は完了している」ことになるのだ。




















