人間関係の問題は「自己欺瞞」から生まれる
2人が抱える問題
「君たちには問題がある」
入社して1ヶ月、ザグラム社の会議室。開発部のトムと営業部のアナは、新任リーダー向け研修の講師を務めるテオから突然告げられた。
テオによれば、その問題はあらゆる組織の機能不全の根底にありながら見過ごされがちで、本人にも自覚しにくいものだという。20年前には、そのせいでザグラム社がばらばらになるところだったそうだ。
その問題とは「自己欺瞞」である。
箱に入るということ

テオは、自身が若手弁護士だった頃の経験を語る。
大規模な金融プロジェクトに携わっていたテオは、第一子が生まれた直後にサンフランシスコへの長期出張を命じられた。妻と息子を残して働くことへの不満や孤独感を募らせながらも、自分は誰よりも懸命に働いていると思っていた。
しかし実際には、重要な打ち合わせが行われているフロアにほとんど顔を出さず、プロジェクトの変更内容を把握できていなかった。結果として文書の修正漏れを起こし、チームにも迷惑をかけていた。
テオは当時、自分の置かれた不遇な状況ばかりに意識が向き、クライアントや同僚、自分の仕事によって影響を受ける人たちのことを考えていなかったと振り返る。そして、もし当時誰かから問題点を指摘されていたら、自分は長時間働いていることや家庭を犠牲にしていることを理由に反発しただろうとも語る。
だが本当の問題は、プロジェクトへの関わり方ではなかった。自分自身に問題があることに気づいていなかったことこそが、より深刻な問題だったのである。
テオはこの状態を「自己欺瞞」(自分を欺くこと)と呼び、ザグラム社では「箱に入っている」と表現すると語る。




















