愛するということ

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愛するということ
ジャンル
著者
エーリッヒ・フロム 鈴木晶(訳)
出版社
紀伊國屋書店 出版社ページへ
定価
1,362円
出版日
1991年03月25日
評点(5点満点)
総合
4.3
明瞭性
4.5
革新性
4.0
応用性
4.5
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レビュー

本書は、『自由からの逃走』で知られる思想家フロムが、愛について語った1冊である。「愛は技術である」という印象的な主張で始まるが、内容は決して小手先のノウハウの類ではなく、極めて論理的に愛の本質や失敗の原因が分析されている。

たとえば、人が愛について学ぼうとしない理由を、フロムはこう分析する。1つ、人は「愛する」ことより「愛される」ことを重視しているから。2つ、愛にまつわる問題が発生するのは、能力が欠如しているのではなく、愛する/愛されるにふさわしい相手がいないからだと考えてしまうから。3つ、「愛する」「恋に落ちる」という愛の始まりの状態と、「愛し続ける」という持続的な状態を混同してしまうから。どうだろう、頷きが止まらなくなる、あるいは耳が痛くなるような指摘ばかりではないだろうか。文中に出てくる「現代」は、原文の書かれた1956年頃のことだが、大半がそのまま現在にも当てはまる。「愛」が人間にとっていかに普遍的で重要な問題か、そして我々がいかにその問題を解決できていないかを痛感させられた。家族や友人、恋人との関係に悩む人にとっては、小手先のテクニックを集めた指南書よりもずっと役立つ内容だといえるだろう。

本書の魅力をさらに挙げるなら、その文章の美しさに触れないわけにはいかない。鈴木の名訳が光り、ハッと胸を突かれる切れ味の鋭い名言・名文がいくつも登場する。これらについては、やはり実際に本書で味わってほしい。「座右の銘」が増えること請け合いだ。

北山 葵

著者

エーリッヒ・フロム
1900年、ドイツのフランクフルトに生まれる。ハイデルベルク、フランクフルト、ミュンヘンなどの大学で学んだのち、ベルリン大学で精神分析学を学ぶ。フランクフルト社会研究所を経て、1933年アメリカに渡り、のちに帰化。イェール、ミシガン、ニューヨークなどの大学で教鞭をとり、さらにメキシコに移住。1980年没。
フロイト理論にマルクスやヴェーバーを接合して精神分析に社会的視点をもたらし、いわゆる「新フロイト派」の代表的存在とされた。また、真に人間的な生活とは何か、それを可能にする社会的条件とは何かを終生にわたって追求したヒューマニストとしても有名である。しだいに、禅や東洋宗教への関心を深めた。
著書:『自由からの逃走』、『人間における自由』、『精神分析と宗教』(以上、東京創元社)、『正気の社会』、(社会思想社)、『愛するということ』、『悪について』、『希望の革命』、『生きるということ』(以上、紀伊國屋書店)、他多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    「愛する」という行為は、音楽や工学などと同じく「技術」を要する。技術を身につけるためには、自分自身の人格全体をより優れたものにするよう努力しなくてはならない。
  • 要点
    2
    人は自分が孤独な存在だと知っており、その恐怖から逃れるために他者との一体化をめざす。自ら能動的に人を愛し、与えることで、相手の中にも愛を生み出すことができる。
  • 要点
    3
    1人で生きられない人間は、だれかと2人で生きることはできない。愛の技術を獲得するには、自分は揺るがないと言い切る信念と勇気が必要不可欠である。

要約

愛は「技術」である

愛の意味を学ばなければ、その成功はあり得ない

愛を軽んじている者は少なく、だれもが愛に飢えている。それなのに、愛することについて学ぶことがあると考えている人はほとんどいないのが現状だ。たいていの人は愛の問題を「どうすれば愛されるか」という視点でとらえ、「愛するのにふさわしい対象」を見つけることを重視しているためだ。さらには、「恋に落ちる」体験と、「愛している」という持続的な状態を混同していることも、「愛について学ぶことはない」という誤解につながっている。

愛の失敗を克服するためには、失敗の原因を調べ、そこから意味を学ぶしかない。そのための第一歩は、「愛する」という行為には、音楽や工学などと同じく「技術」が必要だと知ることである。愛の技術を身につけるためには、この技術に対する関心を持ったうえで、理論を知り、習練を積まなくてはならない。

【必読ポイント!】 愛は孤独から抜け出すための能動的な活動

人間の最大の欲求は、孤立感の解消

動物と異なり、理性を授けられた生き物である人間は、自分が独立した存在であり、やがて1人で死にゆくことを知っている。そこには強烈な孤立感がある。この孤立感を克服したいというのが人間の最も強い欲求であり、どの時代、どの社会においても、どうすれば他者と一体化できるかが重要な問題となっている。

3つの解決法とその限界
m-imagephotography/iStock/Thinkstock

人類はこの問題に答えるために、様々な対策を講じてきた。1つ目の方法は儀式的な「お祭り騒ぎ」である。この儀式には時に性的体験も含まれ、高揚状態の中で集団と融合することによって外界は消え、孤立感もまた失われた。

祝祭的興奮による孤立の解消は社会に認められた手段だったが、こうした共同の行事が失われた現代においては、アルコールや麻薬による個人的な逃避行動が行われるようになった。アルコールや麻薬でも一時的な興奮は得られるが、常に罪悪感が付きまとう。興奮が過ぎるとより一層孤立感が深まり、ますます依存度が高まるという特徴がある。

また、セックスによる孤立感の解消は現代でも有効だが、

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愛するということ
未 読
愛するということ
ジャンル
自己啓発・マインド リベラルアーツ
著者
エーリッヒ・フロム 鈴木晶(訳)
出版社
紀伊國屋書店 出版社ページへ
定価
1,362円
出版日
1991年03月25日
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